大塚製薬株式会社

医療関連事業
2012年1月18日

抗精神病薬「エビリファイ®
新しい適応症「双極性障害における躁症状の改善」
および新剤形「エビリファイ®OD錠」が承認

  • 臨床第III相試験において、双極性障害*1の躁症状を早期に改善することを確認
  • 従来の抗精神病薬の副作用であった「眠気」などが少なく長期にわたって無理なく飲み続けられる薬
  • 口の中でさっと溶け、水なしで飲めるタイプの「エビリファイOD錠*2」が同時承認

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:岩本太郎)は、抗精神病薬「エビリファイ®」(一般名:アリピプラゾール)に関し、「統合失調症」の適応症に加え新たに「双極性障害における躁症状の改善」の適応症および新剤形「エビリファイ®OD錠」の日本国内における承認を取得しました。

「エビリファイ」は、国際共同治験として実施された臨床第III相試験において、双極性障害の躁症状に対して早期に改善を示すことが確認された薬剤です。双極性障害の躁状態では気分が高揚し「判断力が損なわれる」、「怒りっぽくなる」など社会生活に困難をきたす場合があります。双極性障害の治療は薬をきちんと飲み続けることが重要ですが、従来の抗精神病薬では「眠気」などの副作用が原因で薬を飲むことをやめてしまうという問題がありました。「エビリファイ」は、これらの副作用をきたしにくく、QOL(生活の質)を損なうことなく飲み続けられる第一選択薬として期待されます。

「エビリファイ」は、世界で初めてのドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト作用を有する抗精神病薬です。国内では統合失調症の治療薬として、2006年6月に販売を開始しました。
双極性障害の躁症状の治療に関して、「エビリファイ」は2004年の米国での承認をはじめとし、欧州やアジアを含む世界57ヵ国・地域で適応を取得しています。

また、「エビリファイOD錠」は、口の中でさっと溶け、どこでも水なしで飲める新しいタイプであるため、患者さんにとって飲みやすく、受け入れやすい剤形です。本剤は、薬価収載後速やかに発売する予定です。

  • *1:双極性障害は、躁うつ病とも呼ばれる疾患で、症状として躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。
  • *2:Orally Disintegratingの略称。通常の錠剤とは異なり、口の中ですぐに溶ける製剤です。

双極性障害について

双極性障害は、躁うつ病とも呼ばれる疾患で、生涯有病率は人口の0.4%*と言われています。症状として躁状態とうつ状態を繰り返し、躁状態では、気分が高揚し判断力が損なわれるので、病気であるという認識に欠け、人の助けを拒もうとすることが多くなります。一方、うつ状態では、絶望感を感じ、人の助けを求め、現状を受け入れることができず、自分は助からないと考えることもあります。混合状態では、躁状態、うつ状態の両方の症状が同時に起こります。疾患の特徴としては、再発率が高いため、長期にわたる治療が必要と言われています。

  • *:こころの健康についての疫学調査に関する研究より:平成18年度厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業)

エビリファイについて

「エビリファイ」は、ドパミン・システムスタビライザー(DSS:Dopamine System Stabilizer)と呼ばれ、脳内でドパミンが大量に放出されているときには抑制的に働き、ドパミンが少量しか放出されていないときには刺激する方向で作用し、結果としてドパミン神経を安定化させます。このためドパミンの異常によって起こると考えられている統合失調症の陽性、陰性症状を改善する一方、眠気や体重増加などをきたしにくいため、長期にわたり継続服用が可能です。双極性障害の躁症状に対しては、統合失調症に対する作用機序と同様に、共通した薬理作用であるドパミン神経を抑制することでその作用を示すと考えられます。海外の豊富な使用実績や多くの臨床試験の報告をもとに、世界の各種ガイドラインにおいて双極性障害の躁症状の第一選択薬として推奨されている薬剤です。
現在までに日本を含めた世界65ヵ国・地域で発売され、2010年度の世界での売上は約4,000億円です。

国内における「エビリファイ」の承認概要

国内における「エビリファイ」の承認概要