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大塚製薬株式会社

2013年10月10日

医療関連事業

大塚製薬とルンドベック社で共同開発中
アルツハイマー病新規治療薬Lu AE58054の臨床第III相試験を開始

  • Lu AE58054は、大塚製薬とルンドベック社がグローバルで共同開発しているアルツハイマー病治療薬。その作用機序は世界初でファーストインクラスとなる選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗作用で、アセチルコリン神経のさらに上流であるGABA神経に作用
  • 従来のアルツハイマー治療の標準薬であるドネペジルを服薬している患者にLu AE58054を併用した臨床第II相試験において、ADAS-Cogスコアにおいてプラセボ併用群と有意な差を示し、その認知機能改善効果を確認。本試験より順次開始する複数の臨床第III相試験では、アルツハイマー病を対象に、合計17カ国で約3,000人の登録を予定
  • 認知症患者の数は世界全体で3,600万人と推定され、疾病費用は世界全体で推定6,040億米ドル(約60兆円、1ドル100円換算、2010年)。認知症の60~80%と、最も多い病型はアルツハイマー病
  • Lu AE58054は、大塚製薬とルンドベック社のグローバル事業で「エビリファイメンテナ」、「ブレクスピプラゾール(OPC-34712)」に続く3つ目の国際共同開発品目となる

大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岩本太郎、以下「大塚製薬」)とH.ルンドベックA/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、CEO:ウルフ・ウインバーグ、以下「ルンドベック社」)は、アルツハイマー病治療薬Lu AE58054の開発において、臨床第III相試験のうち最初のグローバル試験を開始しました。

開発中の化合物であるLu AE58054は、既存のアルツハイマー病治療薬とは異なる作用機序を持つ新規の選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗剤です。これまでの研究からセロトニン5-HT6受容体は脳内の抑制性神経であるγ-アミノ酪酸(GABA)神経に存在し、神経終末からのGABAの放出を調節しています。一方で、このGABA神経は、アセチルコリン (ACh)やモノアミンの神経系を抑制しています。従って、セロトニン5-HT6受容体を拮抗することでGABAの放出が抑制されると、ACh神経が活性化し、その結果AChの放出が促進されると考えられます。ドネペジル等のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEIs)は神経終末より放出されたAChの分解を抑制しACh神経伝達を増強しますが、Lu AE58054を併用することで神経終末からのAChの放出も増加し、更にACh神経伝達が増強されると考えられます。

ルンドベック社と大塚製薬は、約3,000人の患者さんの登録を予定した複数の臨床第III相試験を実施します。10~60mgのLu AE58054をドネペジルと併用し、軽症から中等度アルツハイマー病を対象に、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEls)の補助療法としてのLu AE58054の効果を検証します。主要評価項目はADAS-Cogスコアであり、重要な評価項目はADCS-ADL、ADCS-CGICです。最初の臨床試験は米国、カナダ、欧州など17カ国で930名の患者さんの登録を目指し、最長で3年間に渡って実施する予定です。

臨床第II相試験のデータは、2013年7月にアルツハイマー病協会国際会議(AAIC)で発表されました。この試験では、Lu AE58054併用群(ドネペジル1日10mgとLu AE58054 1日90mgとの併用)と、プラセボ群(ドネペジル1日10mgとプラセボ)を24週間にわたる治療期間で比較し、Lu AE58054併用群ではADAS-cogスコアにおいて認知機能を有意に改善することが示されました。また、全般臨床症状や日常生活動作などの副次評価項目についても、Lu AE58054併用群ではプラセボ群と比較して改善する傾向がみられました。


大塚ファーマシューティカルD&C Inc.のCEO兼社長のウィリアム・H・カーソンは、「アルツハイマー病の認知効果に対するセロトニン5-HT6受容体拮抗作用は有望な仮説であり、臨床第III相試験でより十分に検証していきます」と述べています。

ルンドベック社のエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼研究開発部門長アンダース・ゲーセル・ペデルセンは、「各規制当局との協議を経て、パートナーである大塚製薬と共にこの大規模臨床試験を開始する準備が整いました。アルツハイマー病のよりよい治療薬が切望される中、Lu AE58054はこの深刻な疾患に対する有望な新規治療薬になると考えています」と述べています。

参考資料

Lu AE58054について

Lu AE58054は、選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗剤です。セロトニン5-HT6受容体は、皮質や海馬のような脳の認知機能に関わる領域に発現しており、複数の神経伝達系の活動を調節しています。Lu AE58054は、モデル動物において認知機能を改善させ、またアセチルコリンエステラーゼ阻害薬であるドネペジルの海馬機能に対する効果を増強させました。複数の先行試験にて、セロトニン5-HT6受容体拮抗剤がアルツハイマー病のような疾患の治療に有益である可能性を示したことから、ルンドベック社は2009年11月より上記の24週間投与の臨床第II相試験(中等度アルツハイマー病におけるドネペジルとLu AE58054の併用療法)を実施しました。

アルツハイマー病について

アルツハイマー病は、進行性の脳疾患で、脳機能が次第に低下していきます。65~70歳以上の高齢者に一般的にみられる病気です。アルツハイマー病の患者さんは、記憶、思考、機能や行動が悲惨なほど変化して、時間の経過とともに悪化し進展していきます。この変化はだんだんと日常生活に強く影響を与え、1人で生活することができなくなり、最後には生活の全てに介護を要します。アルツハイマー病は、介護者にも大きな影響を与えます。大抵の患者さんは、自宅で介護を家族から受けているのです。家族にとっては、精神的、身体的な負担となっています。
アルツハイマー病は、脳の細胞障害や細胞死と関連しており、明らかに脳の萎縮と神経伝達のアンバランスがおきています。脳細胞が減少するときに、脳内の“プラーク”の蓄積や,“神経原線維変化”と呼ばれる特徴的な病理学的変化が現れます。
世界中に3,600万人の認知症の患者さんがいますが、その内の2,800万人もの患者さんが診断を受けておらず、治療、情報、介護が行き届いていません。毎年、推定で460万人が新しく認知症と診断されています。高齢者の人口割合が増えることで、認知症となる患者数は20年ごとにほぼ2倍にとなり、1億1,500万人にもなる予測となっています。
認知症の最も多い病型はアルツハイマー病で、60~80%の認知症患者がアルツハイマー型です。世界の認知症に関する費用(2010年は6,040億USドル;約60兆円、1ドル100円換算)は、世界全体の国内総生産(GDP)の1%以上となっています。

本ニュースリリースの掲載情報は、発表当時のものです。