大塚製薬株式会社

医療関連事業
2014年7月4日

「イーケプラ®点滴静注500mg」 国内承認取得
4歳以上のてんかん患者さんの服薬継続に寄与

  • 「イーケプラ点滴静注」の承認により、経口投与が一時的に困難な患者さんに対して「イーケプラ」の継続した治療を可能とするために開発され、このたび日本で承認された。既存の錠剤、ドライシロップに加え初めての注射剤となる。注射剤は、欧州、米国では2006年に承認を取得、40以上の国・地域で承認されている
  • てんかんは、約100人に1人が発症し、小児期と高齢期の発症率が特に高い。抗てんかん薬の服薬を継続できれば約7割の患者さんは発作のない生活を送ることができることから、代替投与経路として注射剤の開発が望まれていた
  • 「イーケプラ®」は、2010年に日本で発売し、抗てんかん薬の国内売上市場シェアが最も高い薬剤となった※1。100以上の国・地域で承認され、小児から高齢者まで世界で幅広く処方されており、日本でも既に10万人に使用されている

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:岩本太郎、以下「大塚製薬」)とユーシービージャパン株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:ジョエル・ピーターソン、以下「ユーシービージャパン」) は、「イーケプラ点滴静注500mg」(一般名:レベチラセタム、以下「イーケプラ点滴静注」)の国内における製造販売承認を7月4日に取得しました。「イーケプラ点滴静注」の効能・効果は、経口投与ができない場合の一時的な代替製剤として経口製剤に準ずるものです。

てんかんは、乳幼児から高齢者まで幅広い年代で発症する病気で、国や地域によって性別や人種による発症率に大きな違いはなく、およそ100人に1人という発症頻度も変わりません。日本には約100万人のてんかん患者さんがいると言われていますが、適切な診断と薬物治療によりおよそ70%の患者さんはてんかん発作のない通常の生活を送ることができます。

高齢発症てんかんの原因は脳卒中が30~40%と最も多く、次いでアルツハイマー病などの神経変性疾患(脳内の様々な場所で神経細胞が死んでしまう病気)や頭部の外傷、脳腫瘍などが挙げられます。しかし、全体の25~40%は原因不明とされています。

てんかんの薬物治療は長期にわたることから、胃腸障害や手術などで一時的に経口投与ができない場合でもてんかん発作に対する継続的な「イーケプラ®」の治療が必要であり、代替投与経路として注射剤の開発が望まれていました。

日本において「イーケプラ錠250mgおよび同500mg」は、2010年7月に「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない成人てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」の効能・効果で最初の承認を取得後、2013年5月に4歳以上の適応(小児用量の追加)の承認を取得しました。また、2013年6月に承認された「イーケプラドライシロップ50%」は水に溶かして飲むドライシロップ製剤であるため、小児の患者さんのみならず、高齢者を含む成人患者さんで錠剤を飲みにくい場合にも使用できます。また、成長過程にある4歳以上の小児てんかん患者さんの体重に合わせた用量調整が可能となりました。更に2014年3月にてんかん患者の「部分発作に対する単剤療法(二次性全般化発作を含む)」の効能・効果で一部変更承認申請を行いました。「イーケプラ®」は、国内で既に約10万人を超える患者さんに使用されています。

大塚製薬とユーシービージャパンは、「イーケプラ®」を共同開発・販売していく中で、患者さんを更にサポートできるように、単剤での使用をはじめとする適応の拡大を目指し開発を進めています。今後もてんかん治療をはじめとする中枢神経疾患治療への貢献してまいります。

  • ※1 IMS©2014 IMSジャパン(株)MDI2013~2014年をもとに作成。無断転載禁止

参考

【イーケプラ®について】

「イーケプラ®」は、1980年代初期にユーシービー社(ベルギー)で発見された中枢作用物質で、従来の抗てんかん薬と異なる作用機序を有する抗てんかん薬です。

海外ではKeppra®のブランド名で発売され、全世界で600万人の使用経験がある抗てんかん薬で1999年に米国、続いて2000年に欧州で発売されています。日本では「イーケプラ®」として2010年9月から成人てんかん患者の部分発作に対する併用療法で発売され、小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法として錠剤の適応が2013年5月に、ドライシロップが6月に追加承認されました。

2013年1月現在、「成人てんかん患者の部分発作に対する併用療法」の適応では、欧米をはじめ100以上の国・地域で承認され、「小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法」の適応でも欧州をはじめ80以上の国または地域で承認されており小児に対しても広く使用されています。

なお欧米では、成人部分発作だけでなく、ミオクロニー発作及び強直間代発作に対する併用療法や乳幼児の部分発作に対する併用療法についても追加承認されました。また欧州では、成人てんかん患者の部分発作に対する単剤療法としても承認されています。

【てんかんについて】

てんかんとは、重篤な脳神経系の疾患のなかでも発症頻度が高く、人口の0.5%~1.0%にみられ、世界中で約5,000万人、国内では約100万人が罹患していると言われています。しかし、てんかんの患者さんがこれほど大勢いるにもかかわらず、多くの患者さんが今なお社会の偏見・差別を受けています。それは、ほとんどの場合、周囲の人々がてんかんについての正しい知識を持っていないことにより生じています。

てんかん患者さんの多くは、適切な診断と薬物治療により発作をうまくコントロールできれば、生きること、働くこと、趣味を持つことができ、普通の社会生活を楽しみ、社会の一員として生活できます。

てんかんは、発作を繰り返す脳の慢性疾患であり、年齢、性別、人種、社会的地位や国籍に関係なく罹患します。交通事故や頭部外傷により脳に傷がついたり、感染による高熱などによって、てんかん発作が引き起こされることもあります。また高齢者では、脳血管の病気や脳卒中、脳腫瘍やアルツハイマー病等によって脳が損傷されて、てんかんを発症することがあります。しかし、原因がわからないてんかんが多いことも事実です。てんかん発作(しばしば単に発作とか、ひきつけということもあります)を繰り返す場合に、脳波などの検査によりてんかんと診断されます。発作が1回だけの場合には、てんかんではないことが少なくありません。

(てんかんの患者さんとその家族・友人のための小冊子から一部抜粋:http://www.tenkan.info/download/pdf/What_is_epilepsy_web_rev.pdf

てんかんについての詳細情報は、てんかんinfo:http://www.tenkan.info/about/epilepsy/about_01.htmlをご覧ください。また、てんかん治療における医師とのコミュニケーションに役立つてんかん発作日誌アプリの「Epi Diary」:http://www.tenkan.info/appliもご参照ください。