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大塚製薬株式会社

2014年7月4日

医薬関連事業

40年ぶりの抗結核薬の新薬
「デルティバ®」 日本初の多剤耐性肺結核の適応で承認取得

  • 大塚製薬が創製した「デルティバ」は日本において約40年ぶりの抗結核薬の新薬で、日本で唯一の多剤耐性肺結核の薬剤となる。本年4月の欧州に次ぐ承認
  • 日本の結核患者数は年々減少してきたが、現在約2万人で先進諸国の中では最も高い水準である。とりわけ根治が難しい多剤耐性結核の治癒率は過去10年以上向上しておらず、未だ結核撲滅に至っていない。多剤耐性結核の旧来の薬剤治療では効果が不十分で入院が長期化し、治癒率は40~70%と低く死に至ることも少なくないため、新薬が強く望まれてきた
  • 臨床試験において本剤は、WHO推奨の多剤耐性結核の標準治療と併用することで多剤耐性結核に効果を示し、長期的な治療効果を改善した
  • 世界では多剤耐性結核患者数は約45万人で、そのうち治療を受けているのは20%に留まり、治療成功率は半分以下。年間17万人が亡くなっている

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:岩本太郎、以下「大塚製薬」)は、「デルティバ錠50mg」(一般名:デラマニド)について、成人における多剤耐性肺結核に対する治療薬として国内で承認を取得しました。

本剤は結核菌の細胞壁を構成するミコール酸の生成を阻害することにより殺菌効果を示す、新たなメカニズムを有する抗結核薬です。特に、結核治療の第一選択薬であり長期間使用されるイソニアジドおよびリファンピシンに対して耐性を獲得した結核菌種(多剤耐性結核)に対して強い効果を示します。本剤は希少疾病用医薬品として指定されています。

現在の日本の結核罹患率は戦後低下してきたものの、人口10万人あたり17人という現状は先進諸国の中で最も高い水準です(図)。

抗結核薬の耐性は、副作用のために治療を完遂できない等、薬が適切に使用できない場合に生じます。多剤耐性結核の出現は世界的な脅威となっており、少なくとも20カ月におよぶ治療期間を強いることになるため患者さんの負担は非常に大きなものになります。

日本においては、多剤耐性結核の治療成功率は40~70%で、その治療には旧来の抗結核薬を使用するしかなく40年以上も新薬がないため新しい治療法が望まれていました。治療の選択肢が限られていることから、5年以内の死亡率は21.6%、10年以内の死亡率は36.7%となっています。その主な原因として、日本では他のアジアの国と比較して多剤耐性結核の中の超多剤耐性結核※1の比率が高いことがあげられます。

世界9カ国※217施設で実施された臨床試験において、多剤耐性結核の標準治療(OBR※3)に「デルティバ」100mgを1日2回併用した超多剤耐性結核を含む患者さんでは2カ月後の喀痰中の結核菌陰性化率は45.4%であり、同様の標準治療にプラセボを併用した患者さんでの陰性化率29.6%と比較し有意に上昇したことが示されました。また重要な結果として、多剤耐性結核の標準治療に「デルティバ」を6カ月以上併用した場合、多剤耐性結核、超多剤耐性結核の両方に対して死亡率を低下させ長期的な治療効果の改善を示しました。「デルティバ」群とプラセボ群の副作用は心電図でのQT延長※4以外では同程度でした。QT延長は、「デルティバ」100mgを1日2回投与した群では9.9%で、プラセボ群での3.8%と比べ若干多くみられましたが、立ちくらみや不整脈は認められませんでした。

※本剤を使用するにあたり、QT延長があらわれるおそれがあるので、投与開始前及び投与中は定期的に心電図検査等を行い、リスクとベネフィットを考慮して本剤の投与を慎重に判断する必要があります。

大塚製薬の専務執行役員 抗結核グローバルプロジェクトリーダー 吉武益広は、「日本の企業として、わが国で『デルティバ』が承認され使用可能になったことをたいへん誇りに思います。この重要なマイルストーンに到達するためには、当社の多くの研究者の創意工夫が必要でした。私たちのやるべきことはまだ終わったわけではありませんが、この度の承認は、この病気と闘っている患者さんや様々な国で多剤耐性結核を撲滅したいという長期的な目標を実現化する大塚製薬の強い思いを反映したものです」と述べています。

公益財団法人結核予防会 複十字病院 呼吸器センター副センター長 吉山崇先生は、「今日、多くの結核症は治癒する病気になりましたが、多剤耐性または副作用などにより結核で亡くなる、あるいは長期の療養を余儀なくされる若い方がいまだ後を絶ちません。『デルティバ』は、副作用が少なく有効な薬剤であり、今日の難治の結核のみならず、その感染を受ける将来の難治の結核を減らすために有用と考えます」と述べています。

「デルティバ」が将来にわたって多剤耐性結核の治療選択肢であり続けられるよう、薬剤耐性の出現を防ぐ必要があります。大塚製薬は高精度な薬剤感受性試験が実施できる医療機関を登録することによる薬剤供給統制を含む最適な治療アクセス計画(Responsible Access Program : RAP)を開始してまいります。RAPは多剤耐性結核の専門医療従事者のために本剤の適正使用をすすめるものです。

本年4月に本剤は、成人の多剤耐性肺結核の適応で欧州委員会より販売承認を取得しました。大塚製薬は現在、欧州での使用を促進しており、高蔓延国や試験を実施した国々でも承認を取得できるよう努めています。

  • ※1 イソニアジドとリファンピシンに加えてカナマイシン等の注射剤及びフルオロキノロン剤に対しても耐性を示す難治性結核
  • ※2 エジプト、ラトビア、エストニア、日本、フィリピン、中国、韓国、米国、ペルー
  • ※3 optimized background regimen: 多剤耐性結核に対して効果のある薬剤を確認して行う薬物治療をいう
  • ※4 心電図でQ波開始からT波終了までの時間が延長されること。薬剤の心臓への影響をみる指標

【参考資料】

 

結核および多剤耐性結核について

結核は、エイズ、マラリアとならび世界3大感染症のひとつであり、世界の人口の3分の1に相当する約20億人が感染していると言われています。結核菌は分裂が遅く毒素も出さないため、初期には特別な症状を示さないことが感染の広がりにつながります。症状として最も多いのは咳で、半数以上でみられます。また、約25%の患者さんでは長く続く発熱があり、約10%の患者さんでは喀血や血痰が見られます。

結核菌に対する最初の有効な治療薬であるストレプトマイシンが登場したのは1943年でした。その後、1940年代から1960年代にかけて結核に有効な治療薬が次々と登場し、特に1960年代には当時の画期的な治療薬であるリファンピシンの合成により薬物療法の時代に入りました。しかし、結核は治癒する疾患と認識され、結核の治療薬を研究する施設や研究者が世界中で減っていくなかで、1980年代には治療薬に耐性を示す結核菌の急速な出現により、1993年にWHOが結核緊急事態宣言を発表する事態となりました。

WHOのレポートによると、2012年には世界で約860万人が結核を発症し、約130万人が結核を原因として亡くなっています。結核は依然として公衆衛生上の大きな課題であり、過去20数年の間にはこれまでの第一選択薬(イソニアジド、リファンピシン)が効果を示さない多剤耐性結核という新しい問題も生じています。薬剤の不足、品質、さらには薬物治療を中断してしまうなどの治療上の問題が、耐性菌の出現に大きな影響を及ぼしています。世界の27カ国で多剤耐性結核の90%が蔓延しています。多剤耐性結核は、年間約45万人の患者さんが発症し、約17万人が亡くなっていると推計されています。多剤耐性結核の治癒率は50%以下と言われ世界的な脅威となっていることから、限定的な地域での取り組みに留まらずグローバルな取り組みが必要不可欠です。

結核の情報は、大塚製薬ホームページの「健康と病気」> 結核 –古くて新しい病気– もご参照ください。

「デルティバ錠」 の概要について

本ニュースリリースの掲載情報は、発表当時のものです。