大塚製薬株式会社
ユーシービージャパン株式会社

医療関連事業
2015年3月26日

新規抗てんかん薬「イーケプラ®」 強直間代発作の併用療法の適応を追加申請

  • 「イーケプラ®」は、国内で「てんかん患者の部分発作(二次性全般発作を含む)」の適応で販売し、抗てんかん薬として10万人以上の患者さんに使用されている。この度、新たに強直間代発作の併用療法の適応を追加申請した
  • てんかんは、部分発作と全般発作に分けられ、国内にはてんかん患者さんが約100万人いると推察される。強直間代発作は、全般発作に含まれ、突然意識を失い全身が硬直し、激しいけいれんを起こす発作で全般発作の6割を占める
  • 厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、特発性全般てんかん患者における強直間代発作に対する併用療法の適応取得に向けた開発の要望があり、本剤の有効性を示す結果が得られたことから申請に至った

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:樋口達夫、以下「大塚製薬」)とユーシービージャパン株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:ジョエル・ピーターソン、以下「ユーシービージャパン」)が国内で共同開発・販売を行う「イーケプラ®(一般名:レベチラセタム)」について、ユーシービージャパンは、成人及び4歳以上の小児のてんかん患者さんにおいて他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法の効能・効果を追加する医薬品承認事項一部変更承認申請を行いました。申請した対象品目は「イーケプラ®錠250mg、同錠500mg、同ドライシロップ50% 、同点滴静注500mg」です。

  • 薬価未収載
部分発作と全般発作の割合

てんかんは、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢で発症する疾患で、国や地域、性別や人種による発症率の違いはなく、有病率は約1%で、日本では約100万人のてんかん患者さんがいると言われています。発作のタイプは部分発作、全般発作に大別され(図参照)、全般発作に分類される患者さんの中で6割が強直間代発作を有しています。強直間代発作は、はじめに強直けいれん(筋肉が持続的に収縮し続けるけいれん発作)が出現し、その後,間代けいれん(短い筋肉の収縮と弛緩が交互に律動的に反復して出現するけいれん発作)に移行することが特徴です。これらの発作は一般的には数分で治まりますが、発作直後は意識がもうろうとした状態や自然睡眠と呼ばれる眠りに移行することがあり、その後は普段の生活に戻ることができます。

「イーケプラ®」は、外国及び国内のガイドラインにおいて、強直間代発作に対する併用療法時に推奨される治療薬の一つとして位置付けられています※1、2。しかし、国内ガイドラインで強直間代発作の併用療法に用いる薬剤として推奨されている抗てんかん薬のうち「イーケプラ®」を含むいくつかの新規抗てんかん薬は、未だ国内で強直間代発作の適応を有していない状況です。

厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に対し、日本てんかん学会及び日本小児神経学会から、「イーケプラ®」の特発性全般てんかん患者における強直間代発作に対する併用療法の適応取得に向けた開発要望が提出され※3、当該検討会議にて「医療上の必要性が高い」という評価を得て、2010年5月に厚生労働省から開発要請が行われました※4

「イーケプラ®」経口製剤を用いて成人(16歳以上)を対象に実施した日中共同フェーズ3臨床試験、4歳以上の小児を対象に日本で実施した臨床試験及び長期継続投与試験において、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者さんにおける強直間代発作に対する本剤の有効性を示す結果が得られたことから、このたび申請を行うことになりました。

大塚製薬とユーシービージャパンは、「イーケプラ®」を共同開発・販売していく中で、患者さんを更にサポートできるように、今回の強直間代発作の抗てんかん薬との併用薬として販売承認申請することにより、将来的に国内のてんかん治療の発展につながることを期待するとともに、引き続きてんかん治療をはじめとする中枢神経疾患治療への貢献を目指していきます。

  1. 1National Institute for Health and Clinical Excellence. The epilepsies: the diagnosis and management of the epilepsies in adults and children in primary and secondary care. NICE Clinical Guideline 137. 2012.
  2. 2藤原建樹. 日本てんかん学会ガイドライン作成委員会. 日本てんかん学会ガイドライン作成委員会報告 新規抗てんかん薬を用いたてんかんの薬物治療ガイドライン. てんかん研究. 2010;28(1):48-65.
  3. 3厚生労働省. 第3回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議資料4-3 「医療上の必要性に係る基準」への該当性に関する専門作業班(WG)の評価. Available from: http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/dl/s0427-12i.pdf
  4. 4厚生労働省. 平成22年5月21日医政研発0521第1号・薬食審査発0521第1号未承認薬・適応外薬の開発の要請について

参考資料

日本におけるイーケプラの開発・申請・承認状況

日本におけるイーケプラの開発・申請・承認状況
  • イーケプラ点滴静注500mgは薬価未収載

「イーケプラ®」について

「イーケプラ®」は、1980年代初期にユーシービー社(ベルギー)で発見された中枢作用物質で、従来の抗てんかん薬と異なる作用機序を有する抗てんかん薬です。海外では「Keppra®」のブランド名で1999年に米国、続いて2000年に欧州で発売され、全世界で600万人の使用経験がある抗てんかん薬です。日本では、ユーシービージャパンと大塚製薬が提携し、「イーケプラ®」を共同開発し、2010年9月から「成人てんかん患者の部分発作に対する併用療法」で共同販売を開始しました。2013年5月に小児用量が追加承認、6月に「イーケプラ®ドライシロップ50%」が承認され8月に発売しました。また、2014年7月に手術などで経口服薬できない患者さんのために注射剤の承認を取得しましたが、薬価未収載で現在発売はしておりません。また、2015年2月にてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)の効能・効果取得により単剤療法も可能になりました。現在、部分発作に対して10万人以上に使用されています。

強直間代発作の併用療法に対しては、フェーズ3臨床試験を実施し申請中です。なお欧米では、成人部分発作だけでなく、ミオクロニー発作及び特発性全般てんかん患者における強直間代発作に対する併用療法について承認されております。また2006年8月に欧州で成人てんかん患者の部分発作に対する単剤療法としても承認され、近年、海外のガイドラインで単剤療法の有効性で高く評価されており、単剤療法開始時の第一選択薬の一つとして位置付けられています。

てんかんについての情報

てんかんinfo」:
てんかん発作の動画(イメージ)をみることができます。

Epi Diary」:
また、てんかん治療における医師とのコミュニケーションに役立つてんかん発作日誌アプリの「Epi Diary」もご参照ください。