ニュースリリース

大塚製薬株式会社

2016年11月10日

ニュートラシューティカルズ関連事業

大豆イソフラボン活性代謝物エクオール産生能とPMS/PMDDの関係について
日本女性医学学会学術集会にて発表

  • エクオール産生能と月経前症候群(PMS)*1、月経前不快気分障害(PMDD)*2との関係性について、 世界初の研究成果を発表
  • エクオール非産生者は産生者に比べ、PMS/PMDDのリスクが約2.4倍という結果が得られた
  • 女性の生活の質(QOL)の向上のため、エクオール*3研究の今後の発展が望まれる

大塚製薬株式会社(東京都、社長:樋口達夫)・佐賀栄養製品研究所と近畿大学東洋医学研究所(大阪府、所長:武田卓)は、共同研究において、新たに「エクオール産生能とPMS/PMDD」との関係を確認し、その結果を11月5日の第31回 日本女性医学学会学術集会で発表しました。
本研究成果は、産婦人科領域の専門誌「The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research」の最新号(11月)に掲載されました。

本研究では、PMS/PMDDで治療を受けている女性と治療を受けていない女性を対象に、エクオール非産生者と産生者の割合を比較しました。研究の成果として、PMS/PMDDで治療を受けている女性のエクオール産生者の割合が低く、エクオール非産生者は産生者に比べ、PMS/PMDD のリスクが約2.4倍という結果が得られました。これは、エクオール産生能とPMS/PMDDとの関連性について、世界で初めての研究成果です。

近畿大学東洋医学研究所所長 武田卓は、「女性ホルモンの変動による不調が生活の質(QOL)に影響を及ぼしている女性は多い。女性は自身のカラダについての正しい知識を得て、対処することが重要。 今回、大豆イソフラボン由来の成分エクオールとPMS/PMDDの関係が明らかになったことで、今後、閉経後の女性への健康効果だけでなく、それより前の女性の健康問題であるPMS/PMDDへの対処方法の選択肢が増えることが期待できる。今後も女性の健康課題解決のための研究を続け、女性のQOL向上に貢献していきたい」と述べています。

  • *1 PMS(Premenstrual Syndrome):月経前症候群:月経の1~2週前より始まり、月経開始後数日で症状がなくなる不快な症状。下記の様な症状がある。
  • 身体症状(むくみ、腹部のはり、乳房の痛みなど)と精神症状(うつ気分、イライラ感、ねむけ、だるさ、過食・拒食など)。
  • 症状の種類や程度には個人差があるが、閉経前女性の約8割が月経前に何らかの不快な症状を感じていると言われている。
  • *2 PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder):月経前不快気分障害: 上記に加え、精神症状中心で程度がひどいと社会・学校・家庭生活で大きな障害となる。
  • *3 エクオール:大豆イソフラボンの一つであるダイゼインから、腸内細菌の働きによって産生される代謝物。

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第31回 日本女性医学学会学術集会
演題名:エクオール産生能とPMS/PMDDとの関連について
演者: ○武田卓1(0801127)、上野友美2(0906020)、内山成人2(0006053)、椎名昌美1(99)
所属:1 近畿大学東洋医学研究所 2 大塚製薬株式会社 佐賀栄養製品研究所

【目的】 月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)は月経前の不快な精神、身体症状を特徴とし女性のQOLを著しく損なう。エクオールは大豆イソフラボンの活性代謝産物であり、産生者は更年期障害や乳がん等のエストロゲン依存性疾患において優位性を認める。エクオール産生能とPMS/PMDDとの関連性に関する検討は世界的にも認めず、今回は両者の関連性検討を目的とした。
【方法】 近畿大学医学部倫理委員会承認のもと行われた。
対象は、PMS/PMDD治療中患者46名(P群)と非治療者98名(C群)。C群は一般公募し、正常な月経周期(25日から38日周期)を有し、PMS/PMDD未治療、経口避妊薬非内服のすべてを満たすものとした。エクオール産生能は大豆負荷試験により判定し、尿中エクオール濃度をHPLCにより測定・評価した。
【成績】 両群間の比較では、P群がC群より優位に若く(33.1±7.1 vs 35.8±6.6; P=0.023)、重度の月経痛を示し(P<0.001)、アレルギーが多く(P=0.006)、豆腐摂取が少ない(P=0.038)結果となった。エクオール産生者の割合はC群で41.8%、P群で23.9%となり、P群で有意に低くなった(P=0.042)。次に、エクオール非産生者のリスク因子を検討したところ、単変量解析では、「PMS/PMDD患者」「低年齢」が有意なリスク因子となり、多変量解析では、「PMS/PMDD患者」が有意なリスク因子となった(OR, 2.342; 95%CI, 1.021-5.698)。さらに、PMS/PMDDのリスク解析では、「エクオール非産生者」「低年齢」「月経痛」「アレルギー」が有意なリスク因子となり、「エクオール非産生者」は産生者に比べて、リスクが2.387倍高まるという結果であった(OR, 2.387; 95%CI, 1.009-6.011)。
【結論】 エクオール産生能とPMS/PMDDの関連性が示唆された。
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【参考資料】
研究の背景

健康寿命の延伸、女性活躍のための環境整備など、官民が対策に取り組む中、女性の健康課題解決の重要性が増しています。
女性は、一生のなかでの女性ホルモンの長期的な変化による更年期症状や、月経周期での短期的な変化による月経前症候群(PMS)などから生じる様々な症状と向き合いながら生活をしています。
ホルモンケア推進プロジェクトの調査*4によると、女性の約半数がPMSによって、「ミスが多くなる」「集中力が低下する」など仕事への影響や人間関係に問題が起こるなどと回答しています。
また、別の調査*5では、月経前や月経中などに起こる不快な症状である月経随伴症状による経済的負担において、労働の質や量の低下、会社を休むなどの労働損失は4911億円という試算もあります。
女性の健康課題の解決は、現代におけるいくつかの社会課題の解決にもつながると考えられます。

  • *4 「ホルモンケア推進プロジェクト」調べ 2014年12月 35~59歳の女性480人
  • *5 Journal of Medical Economics November 2013, Vol. 16, No. 11 , Pages 1255-1266

エクオールについて

エクオールは、大豆イソフラボンの一つであるダイゼインから、腸内細菌の働きによって産生される代謝物です。大豆を摂取することで腸内で産生され、エストロゲン受容体に結合することから弱い女性ホルモン(エストロゲン)様作用を有します。このことから、大豆や大豆イソフラボンの摂取は女性の健康維持増進に貢献することが期待されています。しかし、エクオールを産生できる人の割合は、日本や中国など大豆をよく食べる国では約50%、欧米人では約30%にとどまるといわれ*6、大豆を食べても、その恩恵を受けられない人がいます。その様なタイプの人は、エクオールを含む食品の利用も選択肢のひとつです。

  • *6 日本女性医学学会雑誌, 20: 313-332, 2012

各研究所の概要
【大塚製薬株式会社・佐賀栄養製品研究所】

http://www.otsuka.co.jp
大塚製薬は、世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造するという「Otsuka-people creating new products for better health worldwide」の企業理念のもと、人々の健康を身体全体で考え、疾病の治癒から日々の健康増進までを目指した「医薬関連事業」と「ニュートラシューティカルズ関連事業」*7の両輪で、トータルヘルスケアカンパニーとして事業展開を行っています。
佐賀栄養製品研究所は1984年に当時日本初の民間の臨床運動栄養研究所として設立。「運動と栄養」をはじめとする、健康上の問題に応える様々なテーマで研究を続けています。また、長年の大豆研究の中で、エクオールと女性の心や身体の変化の関係に注目し、1996年からエクオールの研究を開始し、これまでに、様々な研究成果を発表しており、エクオールの有用性と安全性について、世界の研究をリードし続けています。

  • *7 ニュートラシューティカルズ:nutrition(栄養)+ pharmaceuticals(医薬品)

【近畿大学東洋医学研究所】

http://www.med.kindai.ac.jp/toyo/
当研究所は、近畿大学医学部附属病院の開設(昭和50年(1975年))と同時に大学直属の東洋医学専門研究所として発足し、日本で最初の漢方の臨床・基礎を研究する研究所として多くの実績をあげてきました。基礎研究部門では、漢方薬の作用メカニズムに関して、分子生物学的手法を用いた科学的な解明をおこない、新規創薬を目指しています。診療部門では従来からの東洋医学だけではなく、女性医学・腫瘍・内分泌といった西洋医学の確かな専門性を持った診療を実施し、東西医学の結合による新しい医学を提案しています。研究面では西洋薬と同様の科学的手法を用いた臨床研究により、漢方薬の有効性検討を実施しています。特に、PMS/PMDDを中心とした女性のヘルスケアに関する分野では、国内有数の治療・研究機関となっており、東洋医学に限らない幅広い研究を実施し、国内外へ多くの成果を発信しています。


本ニュースリリースの掲載情報は、発表当時のものです。