PAD(末梢動脈疾患)について
「PAD」が動脈硬化と関係があることをご存知ですか?ここではPADがどのような病気なのかを知っていただき、原因や診断方法、さらに治療法についてご説明いたします。
PADはどうやって治療するの?
PADにはどのような治療法があるの?
PADには大きく分けて、薬物療法、理学療法、血管内治療を含めた手術という3つの治療法があります。薬物療法は最も基本的な治療法で、軽症から重症にいたるまで重症度と目的に応じて活用することになります〔表6〕。
薬物療法
薬物療法は最も基本的な治療法で、軽症から重症にいたるまで重症度と目的に応じて活用することになります〔表6〕。
〔表6〕重症度と使われる薬剤の例
| 重症度 |
目的 |
使われる薬剤 |
| 軽症(冷感、しびれ感など) |
・虚血症状の改善
・心筋梗塞や狭心症などの将来の血管系合併症を予防 |
抗血小板薬 |
| 中等症(間欠性跛行) |
抗血小板薬+血管拡張薬 |
| 経皮的血管形成術・ステント留置術の術後 |
・再発予防 |
抗血小板薬、抗凝固薬 |
| 重症(虚血性潰瘍例) |
・保存的な治療 |
抗血小板薬、抗凝固薬、血管拡張薬 |
下の表〔表7〕は、PAD治療に使用される主な薬剤で、その作用は薬剤によって違います。
〔表7〕主な治療薬一覧
| 治療薬 |
主なはたらき |
抗血小板薬
抗血小板薬関連薬 |
動脈の詰まりの原因となる血小板のはたらきを防ぐ作用があり、血液の流れをよくする。 |
| 抗凝固薬 |
血液が固まるのを予防して、血液の流れをよくする。 |
| 末梢血管拡張薬 |
血栓を作りにくくする作用と、血管を拡張して血液の流れをよくする作用をもつ。 |
理学療法
医師の監視下で、速歩や軽いジョギングなどの筋肉運動をすることにより、血流を迂回させる別の道(側副血行路そくふくけっこうろ)を発達させ、足への血流を増加させる治療法です。間欠性跛行の改善に有用な方法です。保健適応が認められました。
外科的手術療法
狭くなったり詰まったりした動脈の先に血液が流れるように、人工血管や患者さん自身の血管を用いて血管をつなぎあわせ、詰まった場所を迂回する別の道(バイパス)を作ります〔図4〕。
最近では、血管造影の手技を用いて、カテーテルと呼ばれる管で血管病変を治療する「血管内治療」が発達してきました。狭くなったり詰まった血管の部分に風船のついたカテーテルを入れて、風船を血管の中からふくらませて血管を拡げます。
風船だけで十分な効果が得られないときは同時にステントという金属の筒を血管に入れることがあります〔図5〕。
治療は約1~2時間で終了し、治療当日はベッド上での安静が必要ですが、翌日からは歩行できます。入院期間も数日と短いため、外科的手術に比べて患者さんの負担は非常に少ないと言えますが、適用できる範囲に制限があります。
写真提供:重松 宏
〔図4〕 バイパス手術
写真提供:重松 宏
〔図5〕 ステント留置術
- 注:日本では、「閉塞性動脈硬化症(Arteriosclerosis Obliterans;ASO)」と呼ばれている疾患ですが、海外では、「末梢動脈疾患(Peripheral Arterial Disease;PAD)」という疾患名が一般的です。
PADの日本における保険適応上の疾患名は「閉塞性動脈硬化症」または「慢性動脈閉塞症」となります。