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製品の安全・安心への徹底追求
すでに国家レベルの課題となっている環境対策。メーカーにとって困難な課題であるほど、その対応の仕方に企業の思想や個性が出るのかも知れない。大塚グループの場合は、何かを犠牲にしたり諦めて目標に近づくのではなく、難題を克服するための目標を設定し、手段を発想して共有し、それを新しい進化のためのジャンプ台にする。工夫やアイデアが相乗効果を生んで、それが新しい技術をつくり、また全体がレベルアップする。そのようなプラスのスパイラルやイノベーションが大塚らしさ。では実際に製造の現場で大塚らしさを実践している担当者は、どのように考え対応しているのか。生の声を聞く。


高谷:ご覧になられた方も多くいらっしゃると思いますが、2009年トレンド大賞、ヒット商品番付の中で、「低価格」と「エコ」が非常に注目されていたそうです。
梶川:特に「エコ」に関しては、ニュースでも温暖化の話が盛んに報道されたり、エコカー減税や家電のエコポイントなどの政府の支援もあって、国民はエコを日常的に考えているような状況にあるんじゃないかと思いますね。
佐野:でも、エコと経済効率って連動しているという気がします。例えば、新しい洗剤で使用量を減らせるということは、実際に販売するグラム数も減らせますよね。それは、単位当たりの機能を高めると使用量を減らすということにつながってトータル容量が減る。すると配送のエネルギーが減り、それでCO2も下げられる。経済効率とエコは別々のものじゃなくて、両立すると考えられるものではないかと思います。
高谷:エコ自体に対する消費者の目というのも厳しくなり、当然のこととして「環境配慮型商品」が求められていると思います。そのような消費者ニーズにどう応えようとしていますか?
猪井:やはり消費者がエコを感じるのは、例えばPETボトル容器の軽量化(リデュース)ですね。 商品を手にとった時に、明らかに軽くなっていたら、これは省資源でエコなんだな、と感じやすいと思います。そして、リデュース以外の環境に配慮した性能や技術も開発し続けていくことも大切だと思います。

高谷:では、ポカリスエット900mlエコボトルについてお聞きしたいのですが。
梶川:900mlエコボトルについては、PET樹脂からプリフォームという小さいボトルの原型を成型して、それをPETボトルにする工程をすべて自社工場で行っています。そうすることで、ボトルメーカーさんで作ったボトルを買ってきたり、プリフォームで買ってくるよりも、工場までの輸送費や輸送にかかるCO2の削減に非常に貢献しています。
その後の充填工程でもPET樹脂からPETボトル成型の過程において無菌工程となりますので、今までの熱殺菌に必要であった熱エネルギーも不要となりますから、大塚の技術は素晴らしいと思います。
高谷:500mlエコボトルと比べても、またさらに一歩進んだという形になるんですよね。

猪井:
そうですね。500mlのエコボトルは、陽圧無菌充填方式ですから、ボトル自体を薄くすることができ30%の軽量化は出来ていましたが、プリフォームを購入してボトルを成型しているため、ボトルの殺菌が必要でした。
その際、薬剤と熱水を使って殺菌していたんですが、この900mlのエコボトルでは、プリフォームをつくるときに300℃近い熱をかけますので、それで殺菌できます。
そのまま無菌状態で充填することができますから薬剤とか熱水とかが不要になりました。製造法としては1つステップが上がった製造方法になっています。
高谷:そこにいたるご苦労というのは?
猪井:プリフォームを自社で成型するというのは大塚でも初めてでしたから、ノウハウとかは全然なかったんです。プリフォームの口部は密封性を保つために精度が求められる箇所で、精度よく透明で均質なプリフォームを成型するというのが難しかったですし、無菌的に連続してプリフォームを搬送するということも結構大変でした。
高谷:900mlのエコボトルに関しては、デザイン性についてもお話をいただきたいのですが、「女性が持ちやすい」ということもテーマだったとか。
猪井:デザイン開発では、先行する500mlのエコボトルのイメージがありました。900mlは大きくなりますので、持ちにくくなる。それで持ちやすいようなくびれが必要になってくる。さらに、やはり大きいと強度も弱くなってきますので、こういうリブ※1を入れて持ちやすくして。これはボトルの強度を上げるのにも役立っているんです。
佐野:そのボトル形状はどなたが考えたんですか?
猪井:デザインは生産技術部内で決定しました。このデザインに決まるまでには、金型をいろいろつくりまして、強度と使い勝手についての評価は結構やりましたね。
高谷:評価というのはどうやるんですか?
猪井:「握りやすさ」とか「開封性」とか、細かな点に関して何回もアンケートをとって、一番いいものを選びました。

高谷:それ以外の技術についてはいかがでしょうか?

梶川:カロリーメイトのブロックやSOYJOYは大きなオーブンに流しながら焼いています。最近、製造現場の気づきがきっかけで既存技術と異業種の既存技術を組み合わせ、新しいモノづくりに挑戦しています。この新技術は比較的簡単な改造で実現できますので、グローバル化も期待できます。
これを環境的な切り口でみますと、エネルギーの効率的な活用が実現できるということですから、結果的にCO2削減に貢献できるのではないかと思います。
佐野:資材関係では、メーカーさんとのタイアップによる技術の革新があります。従来の倍近いスピードで包装ができる機械、およびそれに対応できるフィルムを供給いただけるメーカーさんが、SOYJOYのパートナーになりました。大塚の技術でもあるかも知れませんが、そういう得意先さまの技術と協力体制も大きかったかと思います。
高谷:メーカーさんとの連携は、よく行われるんですか?
佐野:はい。大塚の場合は、既存のものの組み合わせではなく、「こういうスピードでこういう商品を生産したいから、そういう機械や包材を提供してもらえませんか」という最初の投げかけを行います。
猪井:既存のものでは満足しないということですね、現場が。
高谷:大変ですね、メーカーさんは(笑)。
佐野:大変だと思いますよ。でも当然、メーカーさんも1社だけじゃなくて、2社、3社、いろいろな設備、フィルムメーカーさんがありますから。
猪井:お互いのレベルもどんどん上がっていきますしね、一緒にやることによって。
佐野:それがメーカーさんにとっての競争力にもなりますし、大塚の競争力にもつながるわけで、相乗効果、ウィン・ウィンの形になります。
高谷:風潮として、現場の方から意見とかアイデアが出るんですよね。
梶川:生産本部では、その年に生産部門に貢献した案件を表彰する「生産功労賞」という制度があります。さっき話題となったオーブンとか、生産工程でどうやって効率を上げていくかという、本質に近いところの検討が進められており、工場のレベルが相当高いと感じています。

高谷:エコボトル以外の資材についてはどうでしょう。
佐野:単純に数字で見ると、現在アミノバリューエコボトル用のラベルの厚さは、50ミクロンから40ミクロンになっています。今後もメーカーさんとのタイアップによって、さらに薄くできる可能性もあります。
高谷:リサイクルについてもお聞きしたいのですが。

佐野:輸液パッケージのポリエチレンをリサイクルして、スクイズボトルに利用する取り組みがあります。大塚製薬工場が輸液用プラボトルをつくっていますが、規格外のものは業者さんに引き取ってもらっていました。
しかし輸液用の樹脂なので非常に品質はいい。それをスクイズボトルに応用できないかと提案したら、パッケージメーカーさんがスクイズボトルにして供給してくれてリサイクルが実現しました。
大塚製薬とメーカーさんと大塚製薬工場、そして、樹脂を引き取って再生樹脂にしている大塚倉庫4社がうまくリンクした実例だと思います。
高谷:グループ内の連携、いい話ですね。
高谷:ところで、鳩山イニシアチブにある25%削減に向けて進んでいることはありますか? 最終ゴール到達への目算は?
梶川:省エネルギー法が改正になり、厳しくなりました。それを受けて生産部門は省エネルギー部会を作り、生産部門の部門長が集まる工場長会議で、省エネルギーへの取り組みを話し合っています。
大塚製薬は右肩上がりの成長をめざしながら、環境や省エネルギーに貢献していなかければなりませんので、どういう目標を設定しなければならないのか、また目標達成のためには何をしなければならないか、などについて議論しています。

佐野:各事業所が取得しているISO14001を推進していくこと。 また、環境安全部での取り組みの中で、ボイラーとか、蒸気などをコージェネレーションシステムで徳島エリアの事業所に供給する体制になった結果、随分と熱負荷とかエネルギーを減らすことができました。
猪井:ハード面で対応するというのも、もちろんですが、製造で格段に使うのは蒸気とか電気の量です。 これからは製造方法で、熱を使わない殺菌とか、熱水や蒸気を使わない装置の洗浄・殺菌とかを考えていかなければならないでしょう。
高谷:今後それは、グループ間に広がっていく可能性は感じられますか?
佐野:設備へコージェネレーションの蒸気を送るのは、川内エリアトータルでやっています。大塚化学が従来ボイラーで大塚製薬、大鵬薬品に送っていたものを、コージェネレーションに置きかえてということですね。
高谷:最後に、ものづくりの姿勢についてお聞きしたいのですが。
佐野:大切なのはクリエイティング・ニュープロダクツということ。世の中にないものを創造することを、常に大塚は考えているでしょう。既製のものを単に「ください」、「買います」、「製品化します」というんじゃないですから。 必ず既存のものをいじらないとニュープロダクツのクリエイティングにならないですから。
梶川:それがよく言われる大塚のDNAですね。
高谷:将来の環境配慮型製品は続々と、その種というのは数限りなく進行しているということなんですね。本日はお集まりいただきましてありがとうございました。
