心不全を知って、予防・治療しよう

心不全ってどんな症状?

「むくみ」「息切れ」に要注意。「だるさ」「疲れやすさ」もあります。

心不全の初期に見られる症状として、下腿(かたい)(脚)の前面や足首、足の甲を指で押さえるとくぼみができるような「むくみ」や、坂道・階段での「息切れ」があります。
心不全は全身に水分がたまってしまう状態ですので、体重増加(1週間で2kg以上の増加)や横になると咳が出たり、息苦しくなったりします。

その他にだるさや疲れやすさという症状が出ることもあります。これらの症状を観察し、毎日体重を測り、1週間で体重が2kg以上増えた場合には、速やかにかかりつけ医や専門の医師を受診しましょう。

〔図1〕心不全で認められる主な症状
急性右心不全症状 首の静脈の腫れ(頸静脈怒張) 食欲不振 下腿浮腫 体重増加 急性左心不全症状 労作時息切れ 起座呼吸 夜間発作性呼吸困難 動悸 だるさ・疲れやすさ 注意:自己判断はせずに必ず専門医にご相談してください

頸静脈怒張」の他にも「胸水」「肝腫大」などの所見があらわれることがあります。

こんな症状があったら、かかりつけ医や専門の医師に相談を

むくみ・体重の増加
(1週間で2kg以上の体重増加)

腎臓に流れる血液が少なくなって尿の量が減り、水分が体内にたまっていくことで起こります。

坂道・階段での息切れ

心臓から十分な血液を送り出せなくなり、体に必要な酸素や栄養が足りなくなることで起こります。

前かがみ呼吸困難

靴ひもを結ぶなど、座って前かがみの状態を10秒ほど維持すると、胸部が圧迫され息苦しさが強くなります。

夜間の呼吸困難や咳

体の中で血液が滞る「うっ血」が進むことで起こります。

心臓の動き
~どうして、息切れ・むくみ・だるさが起こるの?~

  1. 1正常な場合

    心臓は胸の中央やや左側にあり、全体が筋肉でできており、血液を送り出すポンプとして働きます。4つの部屋に分けられ、上部にあるものを心房、下部にあるものを心室と呼び、心房と心室は時間差をおいて、収縮します。心房と心室はそれぞれ左右に分かれているため、左心房・左心室・右心房・右心室と呼ばれています。心臓の各部屋には弁がついており、血液が逆流しない構造になっています。

  2. 2息切れ

    心臓から十分な血液を送り出せなくなり、肺から流れ込んでくる血液に対応できず、体の中で血液が滞る「うっ血」、すなわち渋滞が進むことで、左心の手前にある肺に負荷がかかり、肺に水が貯まることで、息切れの症状が出ます。

  3. 3むくみ

    肺に十分な血液を送り込めない状態(うっ血=渋滞)になり右心に負荷がかかることで、肺の手前にある下腿の血管周辺にも負荷がかかります。
    また、心臓から十分な血液を送り出せないことから、腎臓に流れる血液も少なくなり、尿の量が減り、貯まった水分を排泄できないことでむくみが起こります。

  4. 4だるさ

    心臓から各器官に十分な血液を送り出せなくなることで、「だるさ」や「疲れやすさ」の症状が出ます。