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肝硬変の栄養療法の考えかた栄養療法が肝硬変の予後を決定する

血清アルブミン値が高いほど長生きできる

以前は肝硬変と診断されると約10年の命と言われ、死の宣告を受けたのも同然でした。最近は、各種肝硬変の合併症(腹水・肝性脳症等)に対する治療法の進歩に伴い、肝硬変の方の予後はかなり改善されてきました。また、近年の栄養学の進歩で、栄養療法を続けることで延命や生活の質が改善されることが報告されています。その中でも、栄養状態の最も重要な指標であります血清アルブミンの重要性が近年判明してきています。
肝硬変では血清アルブミン値(基準範囲: 3.8~5.1g/dL)が1年間に平均0.15g/dL低下するとされ、血清アルブミン値3.5g/dL未満の患者では、5年生存率(5年間生きられる率)が顕著に低下することと報告されています。
血清アルブミン値を3.5g/dL以上に維持・上昇させるため、栄養療法として高蛋白食が出された時代もありましたが、非代償性肝硬変まで進行すると高蛋白食をとれば、血清アンモニア値が高くなって肝性脳症を起こす危険があるので、むしろ蛋白質をひかえた低蛋白食が理想的です。
血清アルブミン値を上げる栄養療法についてこれから説明していきます。

肝硬変患者の栄養代謝異常

肝硬変の主な特徴は、安静時でもエネルギー消費量が多くて肝臓がいつもエネルギー不足の状態にあることと、肝臓のエネルギー源である糖質を利用する能力が低下していることです。
また肝硬変患者さんの血液中アミノ酸を分析すると、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)とAAA(フェニルアラニン・チロシン)の比率(フィッシャー比)が低下しています。つまり、BCAAが減少しAAAが増加したアミノ酸インバランスが見られます。
BCAA(Branched Chain Amino Acid 分岐鎖アミノ酸)とは、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つのアミノ酸総称です。この3つのアミノ酸はヒトが体内で作ることが出来ない必須アミノ酸と呼ばれています。
BCAAは筋肉で代謝されてアンモニアを解毒すると同時に肝臓のエネルギー源になりやすいアミノ酸です。したがってBCAAを多く摂取しAAAを減らすことでアミノ酸バランスを整え、肝臓のエネルギー不足を補うと、肝臓でアルブミンが多く作られるようになって肝硬変の予後を改善できるのです。

アミノ酸インバランスを改善するには

BCAAを多く、AAAを少なく含んだ食品を摂ればいいのですが、残念ながら自然の食物にはありません。そのためBCAAを多く含む経腸栄養剤と低蛋白食を組み合わせることでアミノ酸インバランスを是正します。

カルニチンの欠乏に注意

肝硬変患者では最近、一部の患者でカルニチンが欠乏していることも判明してきました。カルニチンはアミノ酸誘導体であり食品からも摂れますが、肝臓や腎臓でもつくられます。このため、肝硬変の治療で食事制限をしている人、慢性腎不全で透析をおこなっている人などではカルニチンが不足しがちです。
カルニチンは、脂肪酸を燃焼してエネルギーにかえる必要不可欠な体内物質です。カルニチンが不足すると、筋肉で十分なエネルギーが産生されず、筋力低下、筋肉痛、こむら返りなどの筋肉症状がでやすくなります。さらに重篤な欠乏症では、肝臓、脳、心臓、腎臓をはじめとする種々の臓器に障害をもたらし、低血糖による昏睡、高アンモニア血症による脳症、心筋症、腎性貧血などを引き起こし命にかかわることもあるのです。
カルニチンを補うことで、組織内における慢性的なカルニチン欠乏状態を是正することも、肝硬変では重要であると考えられています。

※1日に摂取する蛋白質やエネルギーについては、医師、薬剤師、栄養士にご相談ください。