知っていますか?「感染症の迅速検査」

インフルエンザウイルス

インフルエンザウイルスとは

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスが体のなかで増えて、熱やのどの痛みなどの症状を引き起こす病気です。A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルスの3つがあります。大きな流行を起こすのはA型とB型で、通常この2種類がインフルエンザの原因となります。

感染経路

飛沫感染と接触感染に注意します。感染している人のくしゃみやせきで出る飛沫を吸い込むことにより感染します。くしゃみやせきを浴びる距離(2メートル程度)にいる人は感染の危険性が高まります。また、感染している人の唾(つば)や鼻水が手から手へ、あるいはドアノブやつり革などを介して手に付着し、口や鼻、目などの粘膜を触れることでも感染します。こまめな手洗い、手指消毒用アルコールで接触感染のリスクを減らすことができます。

潜伏期・感染可能期間

インフルエンザの潜伏期間は1~3日といわれています。また他の人への感染可能期間は、発症前日から発症後3~7日間といわれています。インフルエンザは学校保健安全法上の学校感染症の一つであり、発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで登校禁止となっています。

症状

インフルエンザは38~39℃の突然の発熱、頭痛や悪寒、全身のだるさ、筋肉痛や関節痛、のどの痛みなどが主な症状であり、全身症状を示します。また、高熱や、食欲不振から水分補給が不十分になりがちなので、脱水状態にも注意が必要です。お年寄りや体力が落ちている人、慢性の病気を持っている人などでは、症状も重くなり肺炎を起こしやすくなります。一方、子どもでは熱性けいれんや脳症を引き起こすこともあります。

検査方法

インフルエンザの診断には、主に抗原定性検査が用いられます。検体を採取する場所は、鼻の奥が一般的ですが、鼻の手前、咽頭、鼻をかんで採取した鼻汁などを用いることもあります。結果が出るまでの時間はだいたい5分から15分くらいです。現在、インフルエンザには治療薬もありますので、検査結果がすばやくわかることは大きなメリットです。特に流行時期には症状のみで診断可能な場合があります。

治療方法

症状や検査結果などからインフルエンザと診断された場合、インフルエンザの治療薬(抗ウイルス薬)の処方が可能です。内服薬、注射薬、粉末状の吸入薬があり、発症後48時間以内に薬を始めることが重要です。これにより、解熱時間の短縮に効果が期待されます。どの薬にするか主治医とよく相談してください。

Q&A

Q
インフルエンザと普通のかぜの違いは?
A

インフルエンザも普通のかぜもウイルスによって引き起こされる感染症ですが、インフルエンザは普通のかぜにくらべ症状が強く、特に小児や高齢者では合併症に注意が必要なことから区別されています。

Q
抗菌薬はインフルエンザに効果がありますか?
A

抗菌薬は、細菌による感染症に効果を発揮する薬です。一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症であり、抗菌薬は効果がありません。ただし、せきが長引いたり痰が続くときには、細菌性の感染を起こしている場合があります。そのときには医師に相談して、抗生剤を処方してもらうとよいでしょう。

Q
インフルエンザの検査はいつから行うとよいですか?
A

治療との関連から、発症後から48時間以内のインフルエンザ増殖時期に検査をする事が望まれます。ウイルス量は発症から24~48時間ぐらいにピークとなり、検査の検出率も高くなりますが、発症後まもない場合は、患者さんによってはウイルス量が十分でなく、陰性となる場合があります。なお、検査結果は万能ではなく、流行時期と症状からインフルエンザが強く疑われる際には、治療を優先することも必要です。

Q
インフルエンザにかかったら学校や職場にいつから行けますか?
A

インフルエンザは、学校保健安全法で出席停止期間を、発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまでと定められています。出席停止の期間中は、自宅で安静に過ごしましょう。大人の場合は、ウイルスの排泄期間が子どもより1~2日短いと言われていますが、熱が下がってきちんと回復するまでは職場に行くことは控えた方がよいでしょう。