熱中症の発生には気温、湿度、風速、輻射熱(直射日光など)が関係します。これらを総合的に評価する指標がWBGT(湿球黒球温度)です。同じ気温でも湿度が高いと危険性が高くなるので、注意が必要です。
また運動強度が強いほど熱の発生も多くなり、熱中症の危険性も高くなります。暑い所で無理に運動しても効果は上がりません。環境条件に応じた運動、休息、水分補給の計画が必要です。
わが国における熱中症の発生は軍隊や労働現場で発生するとされていましたが、近年ではスポーツ活動中や日常生活時に発生しています。
厚生労働省の統計(人口動態統計)で1968年から2004年までの37年間で熱中症死亡件数は5,079件で、年平均では139件です(図1)。1994年には589件、2001年には431件、2004年には449件と多発し、近年増加する傾向がみられます。
男女別の比較では全体で男性は女性の1.6倍の発生数ですが、年齢階級別で比較すると(図2)、0~4歳、15~19歳、30~59歳および65歳以上の群で多くの熱中症の発生がみられます。15~19歳は男性が多く、女性の12.9倍であり、スポーツ活動中の熱中症の発生が考えられます。また、30~59歳は男性が女性の6.9倍で、労働場面での発生です。65歳以上では男性1に対して女性が1.2倍で、労働やスポーツ中での事故だけでなく日常生活でも発生しています。近年、高齢者のスポーツ活動が盛んになっていますので、熱中症予防にも十分な注意が必要です。
![グラフ[人口動態による熱中症による熱中症死亡者数の男女別年次推移]](/health/heatdisorder/images/03-graph01.gif)
- 図1:人口動態による熱中症による熱中症死亡者数の男女別年次推移
(温度は大阪の最高気温、2004年だけ東京の最高温度)
※中井、日生気誌、30:170、1993に資料追加
![グラフ[年齢階級別、性別熱中症死亡数]](/health/heatdisorder/images/03-graph02.gif)
- 図2:年齢階級別、性別熱中症死亡数
(1968年から2004年の累積)
※中井、日生気誌、30:170、1993に資料追加
新聞によって報道された運動種目別の熱中症発生件数を図3に示しました。1970年から2005年の36年間で315件の報道(203例の死亡)がありますが、運動種目は野球がもっとも多く、次いで登山、マラソン大会となっています。
また、それぞれの種目の中でランニング時の発生が多いことが特徴です。屋外の種目だけでなく室内種目もあります。発生地域は東京が多いのですが、北海道、青森から沖縄まで全国各地に分布しています。性別では男性が圧倒的に多く、中学生、高校生、大学生などの若年層が大半です。
| 種目 | 件数 | ランニング中の 発生件数 |
|---|---|---|
| 野球 | 65 | 23 |
| 登山 | 29 | 0 |
| マラソン大会 | 26 | 26 |
| ランニング | 21 | 21 |
| ラグビー | 20 | 2 |
| 行事・林間・体育祭など | 18 | 0 |
| サッカー | 17 | 7 |
| 開会式・総体など | 16 | 0 |
| 柔道 | 16 | 6 |
| 剣道 | 14 | 2 |
| ゴルフ | 12 | 1 |
| テニス | 10 | 2 |
| バレーボール | 6 | 3 |
| アメリカンフットボール バスケットボール・ソフトボール |
各5 | 3 |
| ボート・レスリング | 各4 | 2 |
| トレーニング・訓練 ハンドボール・卓球 |
各3 | 3 |
| ゲートボール・柔道 相撲・体育授業 |
各2 | 2 |
| 合気道・応援団・チアリーディング トライアスロン・ホッケー |
各1 | 4 |
| 合計 | 315 | 107 |
図3)運動種目別の熱中症発生件数(1970~2005年)
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