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講義概要

食物繊維は、毎日摂らなくてはいけない食品成分です。食物繊維の働きにはどういったものがあるのか、どうして摂らなくてはいけないのか、どのくらい摂ったらいいのかを詳しくご説明します。

私たちが食べる栄養成分(つまり食品)は、栄養素と非栄養素に分かれます。栄養素とは、たんぱく質・ビタミン・ミネラルなどのいわゆる5大栄養素といわれるもので、エネルギーや体の成分になるため摂らなくてはいけないものです。食物繊維は、もう一方の非栄養素の中の不消化物(体で消化も吸収もされない)に該当します。非栄養素は体の構成要素やエネルギーにならないため、これまでは摂取しなくてもよいとされてきましたが、最近になって、私たちの健康にとって非常に重要な働きをしていることが分かってきました。

食物繊維が不足すると、体調にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
「便秘」は3日以上排便がなく、不快な症状があり日常生活に支障をきたすような場合をいいます。
食物繊維が不足していると、便意を生じるだけの十分な量の便が作られるのに3日以上といった時間がかかります。その間、大腸の中で水分がどんどん吸収され、硬い便になります。そして排便時に過度にいきむことで、肛門がうっ血して「痔」の原因になります。また、いきむ時に腹圧を上げることで「裂孔ヘルニア(胃ヘルニア)」や「静脈瘤」を引き起こすこともあります。

食物繊維には血糖値の上昇を抑制する効果があります。食物繊維の多い食事を摂ると、胃から小腸へゆっくり流れて栄養を吸収するため、過食・肥満・高血糖を防ぎ、糖尿病予防にもいいといわれています。また、大腸内で発ガン物質の成長を阻止する働きがあり、大腸ガンの予防効果もあるだろうと考えられています。

食物繊維の毎日の摂取量は男女別・年代別に目安量が設定されています。ところが、食生活の近代化のため目安量を摂取するのは難しく、平均摂取量と目安量の中間値として目標量が設定されています。

食物繊維はそれぞれ作用に得手不得手があるので、いろいろな食品から摂取しましょう。どうしても、というときにはサプリメントから摂取することをお薦めします。毎日の食事から食物繊維を上手に摂取するには、生のキャベツではなく茹でたキャベツを食べるなどの工夫が必要です。

食物繊維の多い調理例を参考に、上手に食物繊維を摂取して、便秘を改善し、健康な毎日を送りましょう。

海老原 清先生 プロフィール

1973年に名古屋大学農学部農芸化学科卒業を卒業し、現在、愛媛大学農学部教授。
主な学会活動として、日本栄養・食糧学会、日本農芸化学会、日本食物繊維学会(国内)など。