今なぜ、葉酸が一般国民の関心と注目を集めているのでしょうか?その理由は、妊娠前から葉酸サプリメントを内服すると、神経管閉鎖障害(二分脊椎症)の80%を発生を防止できることが判明したからです。当然ながら、妊婦は誰でも健康な赤ちゃんを出産したいと願っています。
二分脊椎症の発生頻度は、オーストラリア・カナダ・中国・アメリカでは、近年、明らかに減少しています。この理由は多くの妊婦が出生前診断をうけるようになり、神経管閉鎖障害が見つかった場合には、妊娠中絶が行われること、また幾つかの国では食品に葉酸添加が義務化された結果と考えられています。一方の日本では上昇傾向にあり、2007年には年間500件前後発生していると推定されます。
葉酸は1940年代に発見されたビタミンB群の1つで、緑黄色野菜・果物・レバーに多く含まれています。また葉酸は、細胞の増殖、組織の新生と修復、臓器の形成に不可欠な役割を果たしているため「赤ちゃんのビタミン」と呼ばれています。母親の子宮内で赤ちゃんが大きく成長する時期には、特に葉酸の必要量が増加します。葉酸が不足すると、神経管閉鎖障害、胎盤早期剥離、流産、貧血などが発生します。
葉酸の副作用は、私たちが内服する1日1000マイクログラム、すなわち1mg以下の内服量であれば、何の副作用も発生しません。安心して使用することができます。
葉酸は、サプリメントから摂取するとその85%が体内で有効に利用されますが、食品から摂取するとわずか50%しか利用されないことが分かっています。したがって、胎児の臓器が形成される妊娠前期には葉酸サプリメントから葉酸を補給することがとても大切です。
神経管閉鎖障害は、妊娠のごく初期にあたる妊娠6週頃に発生するので、それまでに葉酸を充分に摂取することが大切です。しかしながら、妊娠が判明する時期は大体妊娠5-6週頃で、妊娠が確定してから急いで葉酸サプリメントを内服しても、時期的に遅すぎることになります。したがって葉酸サプリメントは、妊娠前4週から、妊娠12週まで内服することが大切です。実際には妊娠を計画したら、または性交渉が定期的に始まったら、直ちに内服するのが望ましいのです。
妊娠前から葉酸サプリメントを内服すると、神経管閉鎖障害の80%を防止できます。
妊娠を計画中の女性と妊娠中の女性は、葉酸サプリメントを1日当り400マイクログラム内服し、かつ葉酸添加食品を活用するようにしましょう。
現在、抗てんかん薬を内服中の若い女性は、直ちに葉酸サプリメントを内服するようお勧めします。
1938年名古屋生まれ。名古屋大学医学部大学院(泌尿器科専攻)終了後、シャーブルーク大学(カナダ)へ留学し膀胱の生物物理学的特性を研究。名古屋大学病院泌尿器科で二分脊椎症・尿失禁の治療と研究に従事。WHO後援の国際尿失禁コンサルテーション(ICI)の委員会委員長(3期:1998, 2001, 2004年)。医学博士(名古屋大学,1969年)、PhD(シャーブルーク大学、1972年)、泌尿器科専門医、泌尿器科指導医。Neurourology and Urodynamics: 編集委員、泌尿器科紀要:編集委員。
日本二分脊椎・水頭症研究振興財団評議員、日本泌尿器科学会評議員、日本二分脊椎研究会名誉会員、日本排尿機能学会名誉会員、日本先天異常学会会員、国際尿禁制学会会員、米国泌尿器科学会会員









