食生活で対策

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食生活で対策

ロコモ予防のためには、食生活を意識することも大切です。
健康なカラダと食事・栄養の関係について、
管理栄養士の成田美紀先生にお話を伺いました。

各世代に共通するロコモ要因

ロコモ対策は、シニアだけの課題ではありません。子どもからシニアまで、各世代に共通して「偏った栄養バランス」「乱れた生活リズム」「運動不足または運動量の低下」といった、3つのロコモ要因があげられます。これらのロコモ要因に対して、子どもにとっては健やかな成長のために、成人にとっては適正体重・体型維持のために、シニアにとってはカラダの老化を防ぐために、規則正しくバランスの取れた食事を心がけ、ロコモの予防につとめることが大切です。栄養バランスと生活リズムについては、栄養の摂り方を工夫したり、食事に対する意識を変えたりすることで改善が可能です。また、運動不足や運動量の低下に関しては、運動前後の栄養摂取の観点から、食事がロコモ予防に貢献できます。無理せず、できることから始めてみてください。

こども、成人、シニアのロコも要因の図

ロコモ予防1:偏った栄養バランス

5つの栄養素が重要です。

私たち人間が生きていくためには、「糖質」 「脂質」 「タンパク質」「ビタミン」「ミネラル」5つの栄養素が必要です。これらは、“5大栄養素”と呼ばれ、カラダをつくる素になったり、動かすエネルギーになったり、調子を整えたりする役割を担っています。
糖質と脂質はエネルギーを生み出すもので、これがないとカラダを動かすことはできません。タンパク質は筋肉などカラダをつくる素になるもので、不足すると運動器をはじめとするカラダ全体が衰えてしまいます。そしてビタミン、ミネラルは栄養素の消化や吸収を助けたり、代謝を促したりする働きをします。健康に生活するためには、これらの5大栄養素を毎日の食事から摂ることがとても重要なのです。

5大栄養素の種類と役割の図

バランスの良い食事

ロコモ予防のためには、5大栄養素をバランス良く摂ることが大切です。毎日の食事において、ご飯やパンなどの「主食」、肉・魚料理などの「主菜」、野菜や海藻などを使った「副菜」、「主食+主菜+副菜」を揃えたいものです。もうひとつの目安として、1日に主食のほか10種類の食材(肉類、卵、魚介類、乳製品、大豆製品、緑黄色野菜、いも類、果物、海藻類、油脂類)を食べることを目指すのも良いでしょう。
また、よく勘違いされがちですが、例えば、筋肉量を維持するために、肉(タンパク質)ばかりたくさん食べても、それでは十分といえません。タンパク質の消化・吸収を助ける野菜や果物、海藻など(ビタミン、ミネラル)も一緒に摂取するほうが、効率がよいのです。それぞれの栄養素は互いに影響しあってカラダのために働くので、どれかひとつの栄養素だけを大量に摂取しても無駄になってしまうこともあります。やはりバランスのよい食生活がポイントになってくるのです。

食事バランス、10種類の食材の図

食事は1日3食、おやつも効果的に

仕事や家事が忙しい、一人なので料理が面倒、といった理由で、つい簡単な食事で済ませてしまうことはありませんか?そうしたことが続くと、食事量が少なくなってしまい、ロコモのリスクも高まります。どんなに忙しくても面倒でも、食事を抜かないことが大切。おにぎり1個、パン1枚でもいいので、食事を食べるようにしましょう。そのうえでおやつを工夫するとさらに有効です。おやつには乳製品、果物、いも類などを使った食品など、なるべく栄養価の高い食品を選ぶようにすると効果的。食事とおやつにプラスして栄養補助食品を上手に取り入れるのもいいですね。普段から食が細く、あまり食べられないという場合はスープタイプやゼリータイプの栄養補助食品などもおすすめです。

ロコモ予防2:乱れた生活リズム

朝食を習慣づける

健康なカラダを維持するためには、食事を摂るタイミングや回数も意識しましょう。理想は1日3食、朝・昼・夜に分けて食べること。とくに大切なのは朝食です。朝早く起きてすぐはボンヤリしていても、食事をすることでカラダが目覚めてくれます。また朝から活発に動くこともできるので健康的。普段から朝食を抜いてしまっている人は、おにぎり1個からでもいいので、朝食を食べることを習慣にしましょう。ここから夜更かしや朝起きられないといった生活リズムの乱れの改善にもつながります。

みんなで楽しく食事

食事は楽しい方が美味しいですよね。一人で食べるより、家族や仲間と一緒に楽しく食卓を囲むのが理想的です。みんなで食事をすると、いろいろな種類のものが食べられるため、結果的にバランスのよい適量の食事につながります。たとえば友だちとランチに出かけるなど、楽しい食事タイムは単調な毎日にメリハリをつけてくれます。また、食事をとるときには、ある程度の時間をとるように意識することも大切です。時間をかけて食べることで満足感が得られ、過剰摂取を防ぐこともできます。

主食だけ先にいただきます

三度の食事で生活リズムを整えるのは大切ですが、現代の都市生活においては、自分は家族の仕事の都合などで夕食が遅くなってしまう人は少なくないでしょう。健康のためにはあまり遅い時間にたくさん食べることはおすすめできません。本来は就寝前の3時間は食事を摂らないのが理想なのです。もしも夕食が遅くなりがちな人は、夕方ごろにおにぎりなどの主食や、バータイプの栄養補助食品などを先に食べておくといいでしょう。そうすれば帰宅してから主菜と副菜だけ食べればよいので、遅い時間の食べすぎは避けられます。

ロコモ予防3:運動不足または運動量の低下

運動前のエネルギー補給

ロコモ予防のためには適度な運動が必要ですが、きちんと食事をしないと運動だって続きません。運動前には、カラダをしっかり動かせるよう、すぐにエネルギーになる糖質を含むものを食べましょう。できれば2~3時間前に、消化吸収のよいものを食べれば胃がもたれることなく運動を楽しめます。たとえばおにぎり、バナナなどや、ゼリータイプやドリンクタイプの栄養補助食品などを選ぶといいでしょう。

運動後のエネルギー補給

ロコモに負けないカラダづくりのためには、運動後の食事も有効です。運動してから1時間以内に、カラダをつくるタンパク質の多い食品、たとえば乳製品などを摂るといいでしょう。疲労回復のためのビタミン C を含む果物なども一緒に食べるとさらに効果的です。

成田美紀

東京都健康長寿医療センター研究所
社会参加と地域保健研究チーム 研究員

プロフィール

青山学院大学大学院博士前期課程化学専攻(理学)、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科修士課程(医科学)修了。日本原子力研究所東海研究所環境安全研究部、東京都老人総合研究所疫学部門、同研究所介護予防緊急対策室を経て、2011年より現職。現在は主に虚弱予防のための栄養改善プログラム作成や食を通じたコミュニティ作りの提案、普及啓発を行っている。専門分野は、公衆衛生学、栄養疫学、環境化学。

出典:ロコモパンフレット2013年度版、無断転載を禁じます