競泳メダリスト星奈津美の挑戦 競泳メダリスト星奈津美の挑戦

2016年リオオリンピック競泳女子200mバタフライ 銅メダリストの星奈津美さん(27)。
同年に引退した彼女が、なんと水から陸へと舞台を変え、初めてのフルマラソンに挑戦。
東京マラソン2018に出走することを決めた。
そんな星さんの初マラソンに向けて、今回のサポート役を担うのが、
マスターズ陸上80~84歳の部フルマラソンで世界記録(4時間11分45秒)を達成した中野陽子さん(81)。

2018年2月25日の東京マラソン本番まで約8ヶ月となったこの日、2人が初めて対面。
星さんのマラソン初挑戦に向けて、これからの練習内容などを語ってもらった。

“走る”ことは現役時代にもしていましたか?

星さん決して走るのが好きな方では無かったんですが、
200mバタフライというスタミナの必要な種目をやるうえで、持久力強化の為に普段の練習にプラスして3~4kmランニングをしたりはしていましたね。

東京マラソン2018に向けてこれから本格的に練習が始まりますが、現在の運動量は?

星さん引退後には運動量も減ってしまったので、最近ジムに通い始めたんです。
今は週に3回程度ランニングマシンで走るようにしていますね。
水泳だと、自分が楽な泳ぎ方を知ってしまっているので、相当自分で自分を追い込まないと燃焼しないし、なかなか疲れないんです。
それに比べて、走っているときはすごく汗もかくし、体への負荷も大きく感じます。
30分も走れば凄く疲れてきて、運動しているな~!という気持になります!
現役の時はスピードのある走りもしていましたが、今は有酸素運動を意識してゆっくり走っていますね。
マラソンの練習だと、具体的にこれから何をしていったらいいんでしょうか?

中野さんマラソンを走れるようになるには、速く走ることより、先ずは長い時間走れるようになること、“時間走”が大事なんです。
最初は、歩くことから始めても大丈夫。
今回はこれだけの時間を走れたから、次回はもう少しだけ長い時間走ってみよう、
といった風に、速さにこだわらず、ゆっくりでいいから足を止めずに長い時間走れるように練習をしていくんです。
だいたい2週間おきに5分ずつくらい時間を伸ばしていき、60分、90分、120分、と、だんだん長く走れるようにして、
最終的には3時間を目標にします。
それが出来れば、フルマラソンは必ず走りきれますよ。
ペースを上げたりするのは、3時間走れるようになって、初めてチャレンジすればいいんです。

星さん3時間も!走り続けるんですか・・・?出来るかな…心配です。
現役の時は短時間で走り終える練習が多かったので、そんなに長く走った経験がないのですが、これから長く走れるようにならないといけないんですね。

中野さんそうですね、まずは今日から1ヶ月後までの課題としては、少しでも長く走れるようになること。
1キロ8分くらいのゆっくりのペースでよいので、
今30分継続して走れる力があるのなら、
1ヶ月後には40分走れるようにしましょう。
でも追い込み過ぎなくて大丈夫。
練習は、3日続けて休まなければ、それでよいと思っていてください。あまり練習しすぎても体が回復できませんからね。
2日くらい練習しない日が続いても、問題視しなくて大丈夫です。

星さん40分ですか・・・
長い時間走るには、外で走るのが良いでしょうか。走るのはコンクリートか芝生かどちらがいいですか?
本番はコンクリートですよね?

中野さん今は芝生の道があれば、芝生を選んで走ってください。
まずは走れる足を作るためにも、足を痛めるようなことだけはしないよう気をつけてください。
シューズ選びも大切ですよ。私は足底筋を痛めた経験があるので、自分の足に合ったシューズを何足か持っています。
先日ミズノさんで測定してもらい練習用とスピード用の2種揃えましたよ。

星さんそうなんですね、私も自分に合ったシューズを見つけるため、測定しないといけませんね。
走る際の体重の乗せ方の癖もあるし、シューフィッターさんに最適なランニングシューズを選んでもらいたいと思います!

中野さんそうですね、走り方の癖などはきっとあると思いますから、正しいフォームも見てもらうといいですね。
また、先の話になりますが、12月あたりにハーフマラソンに出てみるといいですね、周りのペースに惑わされず、自分のペースを守って走ることは思ったより大変な事なので、一度レースに出て経験するのが良いと思いますよ。
長く、そして速く走れるようになってくると、自制してペースを守ることも、結構難しいことなんだと感じるようになると思います。

星さんそうなんですね。
12月にはハーフを目指せるようにしたいですね。
以前イベントゲストとして参加した大阪マラソンで、ランナーの皆さんが走っているのを見ていて、私もまずはハーフマラソンから始めてみたいなという気持はあったので、頑張りたいと思います。

中野さん頑張ってくださいね。
星さんの場合は競泳選手でしたから、陸上とは呼吸法も違うので最初は苦労するかもしれません。
走っていて、息が苦しくなった時は、息を吐くことを意識してみて下さい。息の仕方を覚えると、だいぶ楽になると思いますよ。

星さんありがとうございます。
まずは1か月後に40分走り続けられるように練習して、それから少しずつ、長く走れるようにしていきたいと思います!

  • 中野陽子さんシニアランナー81歳

    35歳以上のアスリートが参加するマスターズ陸上75~79歳の部で3種目の世界記録と、80~84歳の部で2種目(マラソン、5000m)の世界記録を持つ。 東京マラソン2017では4時間11分45秒のタイムで完走し、世界記録を樹立。

  • 星 奈津美さん元競泳選手27歳

    2015年8月世界水泳選手権200mバタフライ決勝で、競泳女子の日本選手として大会史上初の金メダル獲得の他、3大会連続のオリンピック出場・2大会連続でメダルを獲得した。 2016年10月国民体育大会をもって現役引退。現在、ミズノスイムチームコーチを務めながら、水泳の普及活動を行っている。

中野陽子さん81歳。
東京マラソン2017で世界記録を狙う。
インタビューVol.1

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