食中毒を予防するには「つけない」「増やさない」「やっつける」


食中毒を予防するには「つけない」「増やさない」「やっつける」


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こんなに多い、食中毒

厚生労働省「平成29年食中毒発生状況(概要版)及び食中毒事案」より抜粋

厚生労働省の統計によると平成29年の1年間に、食中毒になった人は16,464人で、その内3名の方が亡くなっています。
これは、お医者さんが食中毒と診断し、保健所に報告があった人だけを数えたものですので、お医者さんにかからなかったり、お医者さんが食中毒と診断しなかった人を加えると、実際はこれよりもはるかにたくさんの人が食中毒になっているだろうといわれています。

どうして食中毒になるの?

食中毒とは、食中毒を起こすもととなる細菌やウイルスなどの有毒な物質がついた食べ物を食べることで、下痢や腹痛、発熱、吐き気といった症状が出る病気のことです。
しかし同じものを食べても、すべての人が食中毒を起こすわけではありません。

健康な人は、胃酸によって食中毒菌を殺菌したり、腸内にいる乳酸菌などで食中毒菌が繁殖しにくい環境を保っているため、発症の可能性が低くなります。しかし、小さなお子さんや高齢者など免疫力の弱い方や、成人でも寝不足やストレスなどで腸内環境が乱れるなど免疫力が低下している場合は、食中毒にかかりやすくなります。さらに、食中毒菌を取り込んだ量によっても、発症時間や症状の強さなどが異なることがあります。時には命に係わることもあるので、早めに医療機関を受診すること重要です。

6月~8月と11月~3月は、特に注意!

ウイルス

食中毒と言えば、夏場の暑い時期を思い浮かべる方も多いでしょう。事実、高温多湿の環境となる6月~8月は食中毒菌が増殖しやすい季節です。一方、ウイルスが原因の食中毒は、11月~3月が発症のピークです。気温が低く乾燥しやすい環境中ではウイルスが長く生存し、空気中の飛散量も増加するからです。

このほか、有毒な物質を含んでいるキノコや魚のフグなどの「自然毒」や、アニサキスなどの「寄生虫」を間違えて食べてしまって起きる食中毒は年中起きる可能性があることも忘れてはいけません。

食中毒を起こす主な細菌とウイルス

サルモネラ菌

原因 十分に加熱していない卵・肉・魚などが原因となります。
生卵、オムレツ、牛肉のたたき、レバ刺し
特徴 乾燥に強く、熱に弱い特徴があります。
食後、6時間~48時間で、吐き気、腹痛、下痢、発熱、頭痛などの症状が出ます。

黄色(おうしょく)ブドウ球菌

原因 人の皮膚、鼻や口の中にいる菌です。
傷やニキビを触った手で食べ物を触ると菌が付きやすくなります。
そのため、加熱した後に手作業をする食べ物が原因となります。
おにぎり、お弁当、巻きずし、調理パン
特徴 この菌が作る毒素は熱に強く、一度毒素ができてしまうと、加熱しても食中毒を防ぐことはできません。
食後30分~6時間で、吐き気、腹痛などの症状が出ます。

腸炎ビブリオ菌

原因 生の魚や貝などの魚介類が原因となります。
刺身、寿司
特徴 塩分のあるところで増える菌で、真水や熱に弱い特徴があります。
食後4時間~96時間で、激しい下痢や腹痛などの症状が出ます。

カンピロバクター

原因 十分に加熱されていない肉(特に鶏肉)や、飲料水、生野菜などが原因となります。
また、ペットから感染することもあります。
十分に火が通っていない焼鳥、十分に洗っていない野菜、井戸水や湧水
特徴 乾燥に弱く、加熱すれば菌は死滅します。
食後2~7日で、下痢、発熱、吐き気、腹痛、筋肉痛などの症状が出ます。

腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)

原因 十分に加熱されていない肉や生野菜などが原因となります。
十分に加熱されていない肉、よく洗っていない野菜、井戸水や湧水
特徴 菌には、O-157やO-111などの種類がありますが、十分に加熱すれば防げます。
食後12~60時間で、激しい腹痛、下痢、血が多くまざった下痢などの症状が出ます。
症状が重くなると、死ぬこともあります。

ノロウイルス

原因 カキなどの二枚貝を生や十分加熱しないで食べた場合や、ウイルスに汚染された水道水や井戸水などを飲んで感染することもあります。
十分に加熱されていないカキ、アサリ、シジミ
特徴 熱に弱いので、85度以上で1分間以上加熱。
食中毒にかかった人の便や、吐いたものから感染することもあるので、
さわったら石けんでよく手を洗います。
食後1~2日で吐き気、ひどい下痢、腹痛などの症状がでます。

E型肝炎ウイルス

原因 加熱不足のブタなどの肉や内臓を食べたことが原因となります。
また、海外の地域によっては生水や生ものから感染する場合もあります。
十分に火が通っていないブタの肉やレバー
特徴 熱に弱いので、生食をさけ、中心まで十分に加熱すれば防げます。
ほとんど症状は出ませんが、一部の人は感染から平均6週間たつと、だるくなったり、皮膚が黄色くなったり、発熱したりします。

食中毒を防ぐための3つの決まり

食中毒を起こす細菌やウイルスが食品についてしまったかどうかは、見ただけではわからないし、味やにおいもわかりません。食中毒をふせぐための3つの決まりがあります。それは、原因となる細菌やウイルスを「つけない」「増やさない」「やっつける」です。

食中毒からカラダを守る乳酸菌

乳酸菌B240乳酸菌は腸内環境を改善するだけでなく、免疫機能を高める働きが報告されていますが、サルモネラ菌による食中毒に対し、その効果が示唆された乳酸菌があります。マウスに乳酸菌B240または生理食塩水を3週間与え、食中毒の原因となるサルモネラ菌を接種したところ、乳酸菌B240を与えたマウスは有意に感染から守られ、各臓器へのサルモネラの移行も少ない傾向が見られました。まだ動物試験の段階ではありますが、今後の研究成果が期待されます。

最後に

食中毒予防は衛生管理が第一ですが、普段からの体調管理も重要なポイントです。
栄養バランスの良い食事と睡眠時間の確保、適度な運動を心掛け、ストレスを溜めない生活を心がけましょう。
免疫力を維持して菌やウイルスからカラダを守るためには、規則正しい生活習慣が基本です。まずはあなたも、できることから始めてみませんか。

参考
「食中毒から身を守るには」(農林水産省)
「子どもの食育 ~注目しよう!食べ物のこと~」(農林水産省)
「暮らしに役立つ情報 ~食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント」(政府広報オンライン)
「冬の対策 ~乾燥対策と風邪予防~」(東京学芸大学)
Biosci Biotechnol Biochem. 2010 74(7), 1338-42.