健康コラム

腸内フローラ(腸内細菌叢) を整えるのが健康のカギ

腸内フローラってなに?

人の腸の中にはおよそ1,000種類以上、100兆個以上の細菌が住み着いているという報告もあります。これらの細菌は、種類ごとにグループを作っていて、顕微鏡で腸の中をのぞくと「お花畑(フローラ)」のように見えることから「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。
大腸に棲んでいる細菌の総重量(約1~1.5kg)は肝臓の重さと同じくらいで、その働きが人の健康に密接な関わりを持つことなどから、腸内細菌は「第3の臓器」と呼ばれることもあります。

また、最近の研究では、この腸内フローラがおなかの調子だけでなく、メタボリックシンドロームや生活習慣病、更には免疫といった全身の健康とも関わっていることが明らかになってきました。

人生いろいろ、腸内フローラも人それぞれ

昭和を代表する歌手の島倉千代子さんの代表曲に「人生いろいろ」がありますが、「腸内フローラ」も人それぞれ違います。さらに人種によっても特徴があることが確認されています。世界的にみても日本人の腸内フローラは独特で、食物繊維をエサにして発酵反応を促進する腸内細菌が多く、体に役立つ様々な代謝物を生み出しています。

これは、日本人が縄文の大古から、木の実やキノコ、海藻、根菜などの多様な食材からたくさんの食物繊維をとってきたことに由来すると考えられていて、特に海藻を分解することができる腸内細菌類は、日本人特有ものとして知られています。このほかにも、欧米人に比べると、酢酸を作り出す腸内細菌が多いといった特徴があります。

日本人の腸の中がたいへんなことになっているかも

近年、日本人の食生活の欧米化し、食物繊維の摂取量が減少しています。その結果、肥満や生活習慣病だけでなく、腸内フローラにも影響を与えています。

長い時間をかけて築き上げてきた日本人の腸と腸内細菌の関係性が崩れ、腸内環境が悪化。アレルギーや自己免疫性疾患など「免疫の暴走」を増加させる一因になっている可能性が、研究者たちによって指摘され始めています。

腸内フローラの乱れ

人は腸内フローラと密接な関係性をもって生活していますが、食生活やライフスタイルといったさまざまな要因で腸内フローラは乱れてしまいます。なかでも、食物繊維の不足、脂肪の摂り過ぎは腸内フローラのバランスを崩します(ディスバイオーシス)。その他、食品添加物、消毒剤、抗生物質やPM2.5など環境因子の影響も少なくないと考えられています。

一方、腸内フローラの乱れを改善する物質として広く知られている乳酸菌以外にも近年はポリフェノールなどの抗酸化物質にも同様の機能があるとして注目されています。

腸の中にいる戦闘部隊

腸は、食べた物を消化・吸収するだけでなく、病原菌やウイルスなどの異物をやっつける「免疫」という体を守るしくみを持っています。というのも、腸は、食べ物と一緒に様々な外敵が入ってくる危険が常にあり、体の中でありながら“外の世界”と接する臓器なのです。

だからこそ、腸にはこの免疫という体を守るしくみがあり、病原菌やウイルスの侵入に備えています。体中の免疫細胞のおよそ7割もが腸の中で待ち構えているだけでなく、この戦闘部隊を鍛える場所があって、病原菌やウイルスが入ってくるたびに捕まえて弱点を調べ、攻撃する方法を学習させているのです。

腸内フローラと糖尿病・肥満

最近の研究で、腸内細菌が肥満や糖尿病に関係することがわかってきました。血糖コントロールが良好な人の腸には腸内細菌がたくさんいて、免疫機能などに良い影響を与える善玉菌が多いとの報告があります。また糖尿病の9割以上を占める2型糖尿病患者の腸内フローラはバランスが乱れていてインスリンが効きにくい体になっているという報告があります。

肥満と腸内フローラの関係を示す研究データもあります。肥満の方と痩せた方の腸内フローラを比べると、腸内細菌の構成パターンが違い、さらに肥満の方に1年程かけてダイエットしてもらうと、痩せた方の腸内細菌の構成パターンに近づきました。ほかにも、太ったお嬢さんの大便をその母親に移植すると、2年後に母親が肥満になったという例もあります。

腸内フローラと認知症

動物の試験では、腸内フローラがドーパミンという脳内物質の量を調整していることが示されました。ドーパミンは少なくなるとアルツハイマー型認知症やパーキンソン病に、増えすぎると統合失調症の原因となります。また脳内の神経伝達に欠かせないセロトニンという物質も腸内フローラによって心と体の健康に影響を与えているといわれています。

アルコールの飲み過ぎも腸内フローラにとって要注意

「酒は百薬の長」といいます。適度なお酒は血行が良くなったり、食欲がアップしたり、人間関係の潤滑油になったりもします。しかし、飲み過ぎが体にとって良くないことは誰もが知るところです。
米国国立衛生研究所(NIH)の研究では、アルコールを摂り過ぎると、腸の中で毒性が強い細菌が増えて、腸内フローラが悪化してしまうことが明らかになっています。そして腸内フローラのバランスが崩れると、アルコールが分解されなくなると考えられています。

乳酸菌が腸内フローラを整える

乳酸菌B240
Lactobacillus pentosus ONRICb0240)

そもそも乳酸菌とはなんでしょう?乳酸菌とは「糖類を食べて乳酸を出す細菌」のことです。乳酸菌の出す乳酸は、腸の中で悪玉菌や雑菌の増加を抑える働きによって腸内フローラを整え「おなかの調子」や「便通を改善する」だけでなく、乳酸菌は、「免疫力を強くする」働きがあります。加えて、「肌をきれいにする」「花粉症の症状を和らげる」「インフルエンザを予防する」「内臓脂肪を減らす」など、美容やアレルギー、生活習慣病といった幅広い分野で様々な効果が報告されています。日頃の生活に乳酸菌を摂り入れ、腸内フローラを整えて健康な毎日を送ってください。

参考
「健康情報誌『消化器のひろば』No.11」(日本消化器病学会)
「長年にわたって大酒飲みの人の腸内フローラはどうなっているのか」(東北大学大学院工学研究科)
「NHKスペシャル『人体』万病撃退!〝腸“が免疫の鍵だった」(NHK)
「糖尿病と腸内細菌」(モダンメディア 62巻5号2016[腸内細菌叢]159-165)
「腸内細菌叢と疾病」理化学研究所辨野特別研究室特別招聘研究員 辨野義巳(ドクターサロン60巻2月号)

ページTOPへ