免疫とは


予防の立役者「IgA抗体」


「粘膜免疫」で感染予防

皮膚のように角層で覆われていない粘膜は、病原体の侵入を許しやすいと言えます。

免疫の仕組み」で解説したように、「粘膜免疫」は粘膜組織で病原体などの異物が侵入しないよう働きます。実際に、その仕組みが正常に働くことで病原体の侵入を防いだ例として、プロの口腔ケアを受けて口の中を健康に保った高齢者は、インフルエンザの発症率が低かったという研究があります(グラフ1)。

粘膜免疫の立役者「IgA」抗体

外敵の侵入を防ごうと働く粘膜免疫ですが、粘膜面で主体的に活躍している免疫物質があります。それが「IgA」抗体です。抗体とは、侵入してきた病原体にくっついて、これを無力化するように働く免疫物質。タンパク質でできており、免疫グロブリンとも呼ばれます。

IgAは、特定のウイルスや細菌だけに反応するのではなく、さまざまな種類の病原体に反応する(くっつく)という、守備範囲の広さが特徴です。

IgAが低下すると病気にかかりやすくなります。このことは、上気道感染症(風邪)の発症と唾液中のIgA濃度の関係を調べた研究(グラフ2-1)でも確かめられています。同時に、IgAが低いときは、疲労感も高まっています(グラフ2-2)。
なお、母乳にはIgAが特に多く含まれており、赤ちゃんを感染から守っているのです(下コラム)。

アメリカズカップのヨットレース選手の男性38人を対象に、トレーニング期間の50週間にわたって毎週、唾液サンプルを採取。その結果、上気道感染症を発症する3週間前から唾液IgAレベルが低下し始め、発症時は有意に低下(2-1)。また唾液中のIgAレベルが低下しているときは、疲労感が強かった(2-2)。 (データ:左右、Med Sci Sports Exerc. 2008;43:40;1228-36)

IgA抗体(以下、IgA)は鼻汁、唾液や消化管などの表面の粘膜中に分泌され、これらの粘膜表面で外敵の侵入を阻止します。
IgAは特に腸に多く存在します。これは、食べ物とともにウイルスや細菌などが侵入しやすいためだと考えられています。

IgA抗体が多く存在する部位はココ

ヒトの外分泌物に含まれるIgA量を測定した複数のデータより。

IgAは、目や鼻、唾液、消化器、膣など、まさに“入り口から出口”までの全身の粘膜に存在する。なお、粘膜中の免疫グロブリンにはIgAのほか、IgG、IgM、IgEなどがあるが、粘膜面ではIgAが主体として働く。
(データ:『Mucosal Immunology 4th Edition』をもとに作成)