免疫力を高める生活習慣

日常生活のちょっとした心がけで、免疫力を高められるかもしれません。免疫力を高める方法について世界の研究結果からご紹介します。

1笑い

10人の男女(平均年齢22.9歳)を対象に、コメディアンによるユーモラスな映像を見た場合と教訓的な映像を見た場合とで、唾液中のIgA濃度を比較したところ、 教訓的な映像の後のIgA濃度は変化しませんでしたが、ユーモラスな映像を見た後のIgA濃度は有意に上昇しました。日々の笑いは、免疫を高めてくれそうです。

笑うと唾液中の IgA が増える

笑うと IgA が増える
出典: Dillon KM, et al. Int J Psychiatry Med. 1985-1986;15:13-8.

2温める

低体温だと免疫細胞の活動性も低下してしまいます。リンパ球減少症の男女6人(28~70歳)が、睡眠中や日中に湯たんぽで胴体や四肢を温めたところ、リンパ球が大幅に増加しました。汗をかかない程度にカラダをほどよく温めるには、湯たんぽもお薦めです。

お腹を温めるとリンパ球が増える

温めるとリンパ球が増える
出典: Madarame T, et al. Biomed Res. 2006;27:45-8.

3楽観性

59人の健康な男性(18~30歳)に免疫刺激のためのワクチンまたは生理食塩水を投与し、30分間休養または心理ストレスを与える作業を行う群に分けました。 その結果、ワクチン投与後に心理ストレスを与えられた群は、楽観的思考度合いの高い人ほど3週間後の抗体価が高まっていました。
出典: Brydon L, et al. Brain Behav Immun. 2009;23:810-6.

4適度な運動

18~85歳の男女1002人を対象に、冬期12週間の上気道感染症(風邪)の症状と運動頻度の関係を調べたところ、適度な運動(※1)をする日数が多いほど風邪をひく日数も少なく、重症度も低いという結果になりました。 激しすぎる運動も、運動不足も免疫を落としますが、汗を軽くかく程度の適度な運動は積極的に行いたいものです。
※1: 汗を軽き、心拍数が少し上がる軽い運動を20分以上継続する運動

適度な運動をする人は風邪をひきにくい

適度な運動をする人は風邪をひきにくい
出典: Nieman DC, et al. Br J Sports Med. 2011;45:987-92.

5バランスの良い食事の摂取

食品にも免疫を高める働きがあります。 例えば全粒穀物摂取量と疾患リスクについて45報の論文を解析したところ、1日当たり全粒穀物を90g以上摂取すると、 摂取しない場合に比べて感染症やがん、心疾患などの発症リスクが低下しました(グラフ1)。 また200人の医療従事者を緑茶成分(1日あたりカテキン278mg、テアニン210mgを含む)を摂取する群、緑茶成分を含まない偽薬を飲む群に分けて比較した研究では、 緑茶成分を摂取した群は偽薬を飲む群と比較してインフルエンザ発症率が有意に低下しました(グラフ2)。乳酸菌食品、めかぶなども同様の報告があります。

【グラフ1】
全粒穀物を多く摂る人は感染症などの病気になりにくい

全粒穀物を多く摂る人は感染症などの病気になりにくい
出典: Aune D, et al. BMJ. 2016;353:i2716.

【グラフ2】
緑茶成分を摂取するとインフルエンザにかかりにくい

緑茶成分を摂取するとインフルエンザにかかりにくい
ロジスティック回帰分析

出典: Matsumoto K, et al. BMC Complement Altern Med. 2011;11:1–7.
監修:國澤純先生(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチン・アジュバント研究センター センター長)
監修:國澤純先生(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチン・アジュバント研究センター センター長)