活用事例
急上昇チームの監督が語る長距離選手のコンディショニング 乳酸菌ONRICb0240を体調管理に活用 渡辺康幸(住友電工監督)×前田康弘(國學院大學監督)

アスリートが大会で結果を残すために最も大事なこと。それはコンディショニングだ。

どんなにトレーニングを積んだとしても、大会当日に体調を崩しては本来の実力は発揮できない。 では、トップアスリートたちはどんな工夫をしてコンディショニングをしているのだろうか。 正月の箱根駅伝で過去最高の7位に入り、5月の関東インカレ2部でも大活躍した國學院大學陸上競技部の前田康弘監督と、2月に5000mで遠藤日向が13分27秒81の室内日本新を打ち立て、5月の日本選手権10000mで田村和希が初優勝した住友電工陸上競技部の渡辺康幸監督に、「長距離選手のコンディショニング」について語っていただいた。

2019シーズンに目覚しい活躍を見せている住友電工の渡辺康幸監督(左)と國學院大の前田康弘監督
2019シーズンに目覚しい活躍を見せている住友電工の渡辺康幸監督(左)と國學院大の前田康弘監督。2人は千葉・市船橋高の先輩と後輩でもある

自分で自分をプロデュースするコンディショニングの大切さ

トレーニングをしなければ、強くなれない。 同時に、トレーニングに耐えられる身体を作らなければ、強くなれない。それはフィジカルという意味でも、コンディショニングという意味でも同じ。 身体を鍛えることと同じくらい、身体の内面やコンディションを整えることは、選手にとって何よりも必要なことだ。

—選手にとっては身体作りと同じように、コンディション作り、体調管理というのは非常に大切だと思います。 そこで、夏場と冬場それぞれで、トレーニングに対する選手のコンディション作りで気をつけていることを教えてください。

渡辺康幸監督(以下、渡辺): 冬は風邪やインフルエンザ、胃腸炎といったウイルスや感染症の問題がありますよね。 ただ、冬は練習量が多くても疲労は抜けやすいという面はあります。 夏場は、脱水症状や貧血に注意しないと、すぐに走れなくなってしまう。 もし試合が夏の昼間に行われるなら、暑さ対策もしなければならないので、夏のほうがコンディションを整えたり、練習ができる良いコンディションを保ったりするのは難しいと思います。

前田康弘監督(以下、前田): 大学の場合はチームとして寮生活を集団でしていますので、1人が風邪を引いたりインフルエンザになったりすると、チームに広がってしまう可能性が出てくる。 このため、冬場は特に集団感染には細心の注意を払っています。 夏には、渡辺監督のおっしゃった通り、貧血、脱水には注意をしています。 練習時間も天気予報を調べて調整することもありますね。

渡辺: ウチも夏場の練習はなるべく朝の涼しい時間帯にやるようにしています。 朝から距離走もやりますよ、30kmとか。

前田: 早朝からしっかり練習するのであれば、前日からの準備も含めて練習に対してのコンディション作りはマストになってきますよね。

渡辺: 例えば、朝6時にスタートするなら4時には起きていないといけないので、前日は早く寝る。 あとは食事ですよね。 普段の練習で10km程度しか走らないのであれば、朝食前に走ることもありますが、30kmとかの距離走をやるなら何も食べないで走るわけにはいかない。 そうなると、走り出す2時間前くらいには起きて、バナナやゼリー飲料などをお腹に入れておかないといけません。

前田: 実業団と大学で選手のコンディション作りは変わりますか?

渡辺: 夏の大会ということでは、実業団は日本選手権くらい。 でも、大学だと全日本大学駅伝の地区選考会だったり、インカレやユニバーシアードがあったりして、試合が多いですよね。 しかも、選手が強くなれば日本選手権も含めて試合がさらに増えてしまう。 大学はそういう難しさがありますよね。 実業団は試合数を調整することは可能ですから。

前田: そうですね、特に三大駅伝は難しいですね。 それに大学はチームで動いていますから、なかなか選手個別に対応することは難しい。 その中でも選手と面談して練習の組み方とかコンディションの作り方などは話し合って決めるようにしています。 住友電工の選手は一人暮らしですよね?

渡辺: そうです。 食事がついた単身男性向け集合住宅なので、私も都度メニューのチェックをしています。 ただ、現在日本で活躍している選手たちというのは、男女とも自分の身体の管理、自己管理は当たり前にやっています。 もちろん、コンディショニングについて最低限のことは指導しますけど、試合の時の身体のことは自分しかわかりませんから。 結局、コンディション作りや試合に向けた調整力というのは、本人次第なんですよ。

前田: その通りだと思います。 自分の身体は自分でプロデュースしないといけない。 最初の方向性は統一しますが、その後は自分のやり方でコンディション作りをしていくように指導しています。 大学生だからといって指導者が一から十まであれこれ指示することはしていません。

渡辺: やっぱり強い選手は、大学生でも自分でコンディションをコントロールしています。 練習が足りないと感じたら自主的に追加しますし、食事も自分に必要なものを調べて自ら進んでとる。 大迫君(傑/現・ナイキ・オレゴン・プロジェクト)もそうでした。

前田: そういう意識づけでやらないと、チーム力も上がってこないんです。 強い選手が何をしているのか下級生は見ています。 ですから、トップレベルで活躍するような選手が自己管理をして努力している姿を見せているチームは、強いですよね。

コンディション作りの一環として乳酸菌ONRICb0240を活用

夏場は気温、湿度ともに高くなり、疲労が抜けにくくなったり、暑さから食欲がなくなって身体を整える栄養素が不足したりして、体調を崩しやすくなる傾向がある。 その中でも結果を残してきたチームは、どういった取り組みをしているのだろうか。

—選手のコンディショニング、特に体調管理という点で注意していることや取り組んでいることはありますか?

渡辺: 一昨年までは秋から冬にかけて練習量が増えていった時、駅伝シーズンに入るところで体調不良の選手が出てしまったんです。 免疫力が下がると、ノロウィルスやインフルエンザ、胃腸炎などに感染しやすくなります。 それで、体調管理の一貫としてゼリー飲料で乳酸菌ONRICb0240を積極的にとるように選手に指導しました。 そうすると選手たちもコンディションが安定するようになって、チームとして結果を残せるようになりました。

前田: ウチも同じように乳酸菌ONRICb0240とタンパク質の入った飲料をとるようになって、自分たちのパフォーマンスをしっかりと試合で引き出せるようになりました。 リカバリーも兼ねて、練習直後に選手たちに飲ませるようにしています。

渡辺: 私たちもポイント練習の30分以内にはとらせています。 ゼリー状なので、練習がきつくても飲みやすいのか、選手たちもしっかりと摂取していますね。

—両チームとも同じB240含有高タンパク食品を摂取しているそうですね。

前田: 基本的には毎日続けて飲むようにしています。 少なくとも、狙った試合の1ヵ月前になったら体調を崩している場合ではありませんから、しっかりと続けて摂取するように話はしていますし、選手たちも進んでとっていますよ。

渡辺: 夏は内臓疲労もありますから、食欲も落ちてしまいやすい。 そんな時に、ゼリー状のものだとお腹に入れやすいですし、胃腸にも負担は少ないと思っています。

前田: 選手の身体の内面は、やっぱり自分にしかわかりませんから、選手自身が考えて、管理できるようになってほしい。 それでウチは選手たちが自分で自分に投資できるように、寮に自動販売機を置いてドリンクやゼリーなどを買いやすくしました。

渡辺: 自分の身体のために、自分の小遣いを使って投資できる、というのは非常に大切。 自分のメンテナンスには、何かを辛抱してお金をかけることも大切なんです。

前田: 治療やケアもそうですけど、同じように栄養の部分にも自分に投資ができるかどうかは、自分が競技力を上げたいと思ったら大切な部分になってくると思います。

最高の結果を残せるように万全の状態で試合に臨む

自己管理をすることが、自分の結果につながる。 そのために努力を惜しまないことが、自然とチーム全体の力を底上げすることにもつながっていく。 相乗効果を生み出してチームが強くなってきている今だからこそ、國學院大學も住友電工も、気を引き締めて今シーズンの試合に臨む。

—今後の目標を聞かせてください。

渡辺: 東京2020の5000mと10000mで代表を出すという目標を掲げてこれまで3年間やってきましたから、まずはそこをクリアすること。 そして今年は、日本選手権の10000mで田村和希が優勝しましたので、9月に行われるドーハ世界選手権の代表権を獲得することですね。 あとは、ニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝)で入賞できればと思っています。

前田: 昨年度は全日本大学駅伝のシードも獲得できましたし、箱根駅伝では過去最高の往路3位、総合7位でシード権も取れました。 5月の関東インカレ(2部)でも最上級生の選手たちがしっかりと結果を残してくれました。 今年は三大駅伝すべてに出場しますから、そこに向けて夏場のトレーニングを積むことですね。 コンディショニングをしっかりして体調を崩さず練習をこなせれば、それが駅伝シーズンにつながる。箱根では往路優勝、総合3位以内が目標です。

5月の日本選手権10000mを28分13秒39で初制覇した住友電工の田村和希
5月の日本選手権10000mを28分13秒39で初制覇した住友電工の田村和希。ドーハ世界選手権の代表に近づいた
國學院大は5月の関東インカレ2部ハーフマラソンで土方英和が優勝するなど大活躍。チームが勢いに乗っている
國學院大は5月の関東インカレ2部ハーフマラソンで土方英和が優勝するなど大活躍。チームが勢いに乗っている

渡辺: 今年の國學院大學は楽しみですね。もし往路優勝できたら大学初ですよね?

前田: 初です。今年の3位も初でしたから、すごく盛り上がりましたよ。

渡辺: 箱根駅伝自体も、これからももっと盛り上がるでしょうね。応援しています。

前田: ありがとうございます。私も住友電工の選手たちが代表に入って活躍することを期待しています。

—住友電工、國學院大學のチームのみなさんの努力が実を結ぶことを祈っています。 ありがとうございました。

こちらは月刊陸上競技 2019年8月号に掲載された内容です。
◎構成/田坂友暁 ◎撮影/船越陽一郎