レポート

感性の鋭いアスリートが集う
陸上日本代表のコンディショニング

ごまかしの利かない勝負を支えた「乳酸菌B240」の効果

日本陸上連盟 麻場強化委員長

日本陸連・麻場強化委員長が語る、0.01秒、1センチを争う繊細な世界

一口に「陸上」と言っても、そこには走る・歩く・投げる・跳ぶと幅広い運動特性を持つ種目が集まるが、全てのアスリートに共通することがある。それは0.01秒、1センチといったわずかな差を争う繊細さを持つことだ。しかも、本番でやり直しがきかない過酷さも備える。世界の舞台で争うために技術と体力を極限まで鍛え上げた陸上日本代表では、トップアスリートたちが「持てる力」を十二分に発揮できるよう、心身のコンディショニングを重視してきた。

ドーハ世界選手権男子4×100mリレーで銅メダルを獲得した多田修平選手、白石黄良々選手、桐生祥秀選手、サニブラウン アブデルハキーム選手
ドーハ世界選手権男子4×100mリレーで銅メダルを獲得した多田修平選手、白石黄良々選手、桐生祥秀選手、サニブラウン アブデルハキーム選手

「自分が培ってきた力を試合の場でいかに発揮できるか。心身のコンディションが整った状態で試合を迎えられれば、自分でも信じられないような力が発揮できるようになる。本番で練習してきた以上のものが出ることはありません。やってきたことをしっかりと発揮する。そういう繰り返しの延長線上に、信じられないようなパフォーマンスが生まれます。アスリートたちが自分をベストの状態に持っていける環境を整え、バックアップするのが、我々の役目だと思っています」

こう語るのは、公益財団法人日本陸上競技連盟強化委員長を務める麻場一徳氏だ。陸上競技は「やり直しがきかない」とも言うが、それだけに選手にかかる「プレッシャーが大きい」のも競技の特徴だ。

「例えば、今年の世界選手権(ドーハ)での男子100メートルで、サニブラウン(アブデルハキーム)選手は号砲が聞こえなくてスタートが遅れました。実際のところは0.1秒も遅れていないのに、それが命取りになってしまった。100メートルは50歩くらいで走りますが、1歩目を間違えると全てが狂ってしまいます。長距離でもペースが変わった時に少しでも躊躇すると流れは変わります。マラソンは2時間何分かを走りますが、その中でも自分の内面の動き、環境条件、一緒にレースしている選手との関係が刻一刻と変わっていく。それにどう対応するか。投擲(とうてき)でも、手から投擲物が離れる時の1ミリの違いが、50メートル、60メートルと飛んだ先では何メートルもの差になってしまいます。豪快に見えても、手元足元ではミリ単位で調整しているわけです。数字ではっきりと結果が出ますし、ごまかしが利かない。だからこそ、非常に高いレベルでコンディショニングをしていかないと通用しない世界です」

陸上日本代表がコンディショニングサポートに導入した「乳酸菌B240」とは

理想的なコンディショニングとは、心だけが充実しても、体だけが充実しても成り立たない。鍵となるのは、両者のバランス。「日本代表にはしっかりとメンタルを整えられる選手が選ばれている」と麻場氏が語るように、百戦錬磨のトップアスリートたちはそれぞれ気力を充実させる術を持っている。だが、国際大会などのビッグイベントや海外での大会となると、時差や気候といった環境の変化、食生活や言葉・文化の違いなどのストレスが、コンディショニングに大きな影響を与えることもある。

公益財団法人日本陸上競技連盟強化委員長を務める麻場一徳氏
公益財団法人日本陸上競技連盟強化委員長を務める麻場一徳氏

そこで、日本陸連では有望選手をジュニア世代から海外の大会に数多く派遣し、「経験値を上げる機会を作っている」という。

「海外に出ていろいろなストレスの中で自分の力を発揮する機会を与えられれば、と思います。ジュニアの頃から海外を経験して国際感覚を身につけてもらうことも、強化方針の1つ。アスリートである前に国際人でありましょう、という考えでプログラムを作っています。場数を踏んで経験値を上げながら、自分の力を発揮できる方法論を確立させ、自信を高めることができれば、もっともっと活躍できる日本人選手はいると思います」

また、日本陸連ではアスリートたちが持てる力を最大限に発揮するためのサポートとして、年に数回、トレーニング環境、食事、睡眠などの研修会を実施。2019年9月にドーハで開催された世界選手権の前にも行われ、コンディショニングを助けるアイテムとして乳酸菌B240含有高タンパク食品が導入された。実は乳酸菌B240を日本代表が摂取し始めたのは、2018年に開催されたアジア競技大会(ジャカルタ)の準備段階からだった。

乳酸菌B240には、免疫物質IgAの分泌を促し、ウィルスや細菌の体内への侵入をブロックする粘膜免疫を高める働きがある。ハードなトレーニングやプレッシャーによって、免疫力が低下する選手たちのコンディションを維持するために、陸上日本代表では導入以来、継続的に活用している。高温多湿のドーハが舞台となった世界選手権では、女子マラソンや競歩などで体調不良を訴えて棄権する海外の選手が続出したが、日本代表チームは前年のアジア大会に続き、体調を崩した選手はいなかったという。

ジャカルタ、ドーハで実証された乳酸菌B240の効果
「不安は全くありませんでした」

「今回も、戦う前に体調を崩した選手はいませんでした。選手にとっては、戦いの舞台に立てないことが一番残念。代表として開催地まで行ったのに、体調のせいで出場できなかったとなると、悔やんでも悔やみきれません。

体調を崩す要因はいろいろあります。移動のストレス、水、食べ物……。同じ高温多湿だと言っても、日本とドーハでは違います。選手たちは大会に向けて繊細なところまで磨き上げている故に、ちょっとしたストレスでコンディションを崩しやすいのは事実だと思います。ですが、乳酸菌B240を摂取して臨んだ昨年のアジア大会で、日本代表はひとりも体調不良がなかった。その実績があったので、引き続き乳酸菌B240を摂取する中で臨んだドーハの世界選手権で、不安を持ちながら過ごすことは全くありませんでした」

ドーハ世界選手権では男子50キロ競歩の鈴木雄介選手と男子20キロ競歩の山西利和選手が金メダル、男子4×100メートルリレー(多田修平、白石黄良々、桐生祥秀、サニブラウン アブデルハキーム)が銅メダルを獲得した他、5選手が入賞する健闘を見せた。「様々なストレスに対し、総合的に日本人選手はよく対応し、成果を上げたのではないかと思います」と語る麻場氏は、2020年に向けての手応えも課題も感じたという。

男子50キロ競歩・鈴木雄介選手男子20キロ競歩・山西利和選手
ドーハ世界選手権で金メダルを獲得した男子50キロ競歩・鈴木雄介選手(上)と男子20キロ競歩・山西利和選手

「昨年のジャカルタも、今回のドーハも高温多湿な環境という意味で、2020年に向けたいろいろな取り組みを試す絶好の機会でした。つまり、今回はドーハに向けて暑熱対策を立てたというより、東京での対策をドーハで試したというわけです。課題も出ましたが、手応えも成果もありました。そこを今度は東京あるいは札幌の気候にどう合わせていくか。個人個人の特性に合わせていくことも含め、最後の仕上げになると思います」

大会では、わずかな違いが大きく命運を分ける。「陸上競技の選手は感性がものすごく高いアスリートが揃っていますので、ちょっとした違いに気付いたり、いい物はいいと感じ取ったり、そういう感性が優れています」と麻場氏。2020年に迎える大一番に向けて、陸上日本代表は繊細な感性を研ぎ澄まし、技術や体力の向上を図りながら、心身のバランスが取れたベストコンディションを作り上げ、最高のパフォーマンスを目指す。

こちらは2020.1.4にTHE ANSWERに掲載された内容です

麻場 一徳

麻場 一徳

公益財団法人日本陸上競技連盟理事・強化委員長。2015年に現職に。
2012年ロンドン五輪では陸上競技日本代表選手団コーチ、
2016年リオ五輪では日本選手団監督を務める。
山梨学院大学スポーツ科学部教授、同大学陸上競技部部長。

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