レポート

男子マラソン「元日本記録保持者」座談会

マラソンで結果を出すためのコンディショニング

自分自身をよく知ること、乳酸菌B240を活用―

犬伏孝行(大製薬男子監督)×高岡寿成(カネボウ監督)×藤田敦史(駒大ヘッドコーチ)

ミレニアム(千年紀)という言葉が流行った西暦2000年(平成12年)前後、20世紀末から21世紀初頭にかけて、日本の男子マラソンを牽引した元日本記録保持者の3人衆。犬伏孝行(大製薬、現・同男子監督、47歳)が1999年のベルリン・マラソンで日本人初となる2時間6分台(2時間6分57秒)に突入し、新たな時代を切り開くと、2000年の福岡国際マラソンでは藤田敦史(富士通、現・駒大ヘッドコーチ、43歳)が犬伏の記録を6秒縮める2時間6分51秒の日本新。さらに、30歳代に入ってから満を持してマラソンに本格参入した高岡寿成(カネボウ、現・同監督、49歳)が、2002年のシカゴ・マラソンで2時間6分16秒へと日本記録を引き上げた。この記録は2018年の東京マラソンで設楽悠太(Honda)が2時間6分11秒を出すまで、16年間破られなかった。〝ミレニアム世代〟の彼らが一堂に介してマラソン談義を繰り広げるのは誌上初。コンディショニングに焦点を絞って語り合ってもらった。

大塚製薬男子監督の犬伏孝行氏(左)とカネボウ監督の高岡寿成氏(中)と駒大ヘッドコーチの藤田敦史氏
約20年前に日本の男子マラソンを牽引した3人。左から大製薬男子監督の犬伏孝行氏、カネボウ監督の高岡寿成氏、駒大ヘッドコーチの藤田敦史氏

ポイント その1まずは「睡眠」と「栄養」

──マラソンを走るには3~4ヵ月の準備期間を要しますが、レース当日に体調を崩して泣く泣く棄権ということもあります。コンディショニングで一番気をつけていたことは何でしょうか。

高岡:シンプルですが、寝ることと食べること。そこに気を配ってレースを迎えていましたね。疲労感を残した状態でスタートラインに立ちたくないという思いがあって、そのへんのことは日頃の生活でバランスが取れるのではないかなと思っていました。

犬伏:私も食事と睡眠は大事にしました。特に鍛練期ではきついトレーニングになりますので、翌日朝からしっかり動けるようなリカバリーですね。内臓疲労もしっかり考えて食事をとりました。

藤田:私は貧血があったので、食事はかなり気をつかっていました。鍛練期はどうしても身体の筋肉や細胞を傷めるトレーニングになりますから、タンパク質を非常に多くとります。試合が近づいたら、今度は糖質の割合を増やしました。体調で言うと、高岡さんと同じで、睡眠をすごく大事にして、早寝早起きを心掛けました。要は生活のリズムですよね。極端に睡眠時間を長くするとかではなく、きちんとした時間に寝て、きちんとした時間に起きる。そのリズムを作っていました。

大塚製薬男子監督 犬伏孝行
日本で初めて2時間7分の壁を破った犬伏氏。現役時代は内臓疲労も考えて食事をとっていたという

──高岡さんは内臓がそれほど丈夫なほうではなくて、レースでは給水も控えていましたね。

高岡:そうなんです。練習で40km走をやったら、食事がとれなかったです(笑)。給水もできるだけ排除して練習していましたね。

犬伏:私も内臓はそんなに強いほうではなかったです。血液検査で腎臓、肝臓の数値は良くなかったですし、尿管結石を患ったこともあります。「たぶん夏は得意じゃないんだろうな」と自覚してやっていました。水分も1度に多く飲めないほうだったので、1kmぐらいかけてゆっくり飲んでました。ランナーの中では一番長く給水ボトルを手に持って走っていたと思います。

藤田:私は高岡さんと逆で、40km走が終わった直後でも食べられました(笑)。肝機能とかの数値もほとんど上がらなかったですし、発汗量も少ない。ですから「自分は夏のレースに抜群に強い」と信じていました。そういう意味では、親からもらった丈夫な身体に感謝ですね。

ポイント その2自分自身をよく知ること

──食事や睡眠に十分気をつけていても、不意に体調を崩すことはありませんでしたか。

犬伏:うちのチームとしては「貧血の選手を出さないように」という方向でやっていましたので、血液検査でヘモグロビン値が下がった選手は、食事により気をつかうと同時にサプリメントを1日1回食事の時に摂取していましたね。

藤田:私は貧血になってしまうと走れないことがわかっていたので、体調に関しては「自分自身をよく知る」ということを心掛けていました。自分の中で「こういう傾向だと熱が出るんだよな」とか、あるじゃないですか。それを自分がよくわかっていて、「ちょっと危ないな」と思ったら早く寝るとか、1枚多く着るとか。そういうことには人一倍敏感になっていました。いくらいい練習をしてきても、熱を出して1週間寝込んだら元の木阿弥ですから。練習をつなげる手段として、体調管理には気をつけましたね。

高岡:私もそう思います。自分自身を知るために、毎朝脈拍を測ったり、体温を計測したり。そういうデータを10数年取りました。普通、練習をしたら脈拍は上がりますね。そういう中で、数字が落ちる時があるんです。私の場合、それが体調を崩す前兆でした。主観的な部分もありますが、客観的な数字を見て、「あ、危ないな」と警告を受けることもありましたね。

駒大ヘッドコーチ 藤田敦史
強くなるためには「自分を知ることが大事」と強調する藤田氏

ポイント その3乳酸菌B240の活用

──他にコンディショニングで気をつけたことはありますか。

犬伏:冬場はマラソンに至る過程で、駅伝などがありますね。集団で合宿していて、誰かが風邪をひいたりインフルエンザにかかったりすると、自分にも感染のリスクがありますので、基本的な手洗い、うがいは徹底しました。

高岡:うちのチームは数年前の全日本実業団対抗駅伝前に4人もインフルエンザにかかって、主力選手が出場できないことがありました。すごく困って、トレーナーとも相談し、大製薬の方に話をうかがって乳酸菌B240の入ったゼリー飲料を摂取するようにしたんです。それからは冬場、インフルエンザに罹患する選手が減っています。

犬伏:乳酸菌B240は粘膜の免疫力を上げるので、ウイルスの侵入を防ぐ可能性が高まると聞いています。

藤田:うちの大学でも予防接種はもちろんのこと、乳酸菌B240の入ったゼリー飲料を飲んだり、次亜塩素酸の消毒液を1人1本持たせたりして対策をし始めてから、インフルエンザにかかる選手はほとんど出なくなりました。

高岡:我々が現役の頃はまだサプリメントも種類はそう多くなかったし、自分で考えて健康維持を心掛けていましたけど、今の選手は用途別に種類が豊富で、選ぶのが大変ですね。

藤田:ですから、考えている選手と考えていない選手では、すごく差が出てきてしまいます。そういう意味で、「自分を知る」ということは、昔も今も変わらないのではないでしょうか。

カネボウ監督 高岡寿成
指導する選手たちの体調管理に乳酸菌B240を積極的に活用している高岡氏

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