研究背景

インタビュー

乳酸菌B240は、厳密な臨床試験で風邪罹患リスクを低減する効果が確認されました。

乳酸菌B240の風邪予防効果に関する臨床試験を行った東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二副所長と同センター稲松孝思顧問に、研究の経緯や成果の意義を伺った。

新開副所長

乳酸菌B240に関する研究では、長年、当医療センターで疫学研究をしてきた私が研究計画をデザインし、「無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験」(*)という、最も精度の高い方法で臨床試験を実施しました。また、風邪への罹患を厳密に判定するため、被験者に毎日、体温や風邪症状の有無を記録してもらい、これに基づいて、稲松顧問ら感染症学が専門の複数の医師が協議し、判定しました。実はこの試験の前に、乳酸菌B240が粘膜免疫に関わるIgAの唾液中の分泌量を増やすかどうかを調べました。80人の高齢者を対象にした試験(グラフ1)では、乳酸菌B240摂取群で2週目ぐらいからIgAの分泌量が増え、4週目で有意に高い値に達し、その後、その水準が維持されました。その結果を受けて行ったのが前ページの風邪予防の研究です。5カ月追跡した期間中、乳酸菌B240摂取群は非摂取群に比べて約4割、風邪をひきにくいことが分かりました。このことから、乳酸菌B240の風邪予防効果が証明されました。そのメカニズムとして、乳酸菌B240がIgAの分泌量を上昇させ、粘膜免疫を高めるためと考えています。被験者の「全体的な健康感」も摂取群で統計的に有意に高まりました。

  • (*): 乳酸菌タブレットと偽タブレットを用意し、研究者も試験を受ける人も分からないようにランダムに割り当てて、その効果を確認する試験。最も厳密な評価試験の方法

1 乳酸菌B240摂取により、高齢者の唾液中IgAが増加した

80人の健康な高齢者を2群に分け、乳酸菌B240(20億個)を含む水、あるいは、乳酸菌B240を含まない水を12週間摂取。乳酸菌B240摂取群では2週目から、5分間の唾液中IgA分泌量が高くなり、4週目以降、維持された。グラフの赤線部分。
(データ:Immun Ageing;7,11,2010)

稲松顧問

風邪や食中毒などの感染症を起こすかどうかは、「病原体の強さ(感染力)」+「どれだけの量の病原体に曝されたか」と「その人の免疫力の強さ」のせめぎ合いで決まります。同じ食事をしても食中毒を起こす人と起こさない人がいるのはこのためです。つまり、感染を防ぐには、衛生面に気をつけて病原体に曝される量を減らすことと、体の免疫を高めておくことの双方が重要だということです。

腸の感染症や炎症にも期待感

稲松顧問

IgAを介した粘膜免疫の効果は緩やかである一方、攻撃する相手が厳密には決まっておらず、守備範囲が広いことが特徴です。IgAは唾液や腸の分泌液に多く、外から入ってきた病原体を最初に直接防御する役割を持っているのです。さらに、風邪やインフルエンザなどの病原体は、常に形(抗原性)を変えているため、目標の形を見極めてピンポイントで攻撃する獲得免疫では攻撃できない病原体なども撃退できる強みがあります。

つまり、乳酸菌B240を摂取することで、病原体全体に対する抵抗力を底上げすると考えられ、そこにこそ大きな意義があります。IgAは腸にも多いので、乳酸菌B240は腸の感染症や炎症などにも効果を発揮する可能性も期待できます。ちなみに、さらに免疫力を上げるには、粘膜免疫を底上げしたうえで、ワクチンで特定の病原体に対する免疫をアップさせるのがいいでしょう。

新開副所長

乳酸菌B240の研究では、死菌を使っています。生きたまま腸に届くかどうか、つまり腸内細菌叢に働くかどうかではなく、死菌の菌体成分自体が持つ作用、例えば腸壁にあるパイエル板で免疫賦活化することを通して効果が得られることが確認できたのも大きな収穫です。なお、この研究中、被験者には副反応は見られませんでした。この乳酸菌は、毒性に関するさまざまな試験で安全性が確認されていますが、そもそも、長い食習慣のあるタイの伝統食から見つかったもの。安心して長期間摂取できるはずです。乳酸菌B240は、継続摂取していると「じわじわ」と効いてきます。
1、2日ですぐに効果が出る薬は、一方で副反応等には注意が必要ですから、薬とは違った良さがあるといえます。効果を期待するなら乳酸菌B240を摂り続けることが大切です。

プロフィール

東京都健康長寿医療センター研究所新開 省二副所長

愛媛大学医学部卒業。
トロント大学大学院地域保健部門留学。
愛媛大学医学部助教授(公衆衛生学)などを経て現職。
高齢者のフレイル予防や健康長寿の疫学研究などが専門。著書に『50歳を過ぎたら「粗食」はやめなさい!』(草思社)。

東京都健康長寿医療センター稲松 孝思顧問

金沢大学医学部卒業。
東京都老人医療センター(現東京都健康長寿医療センター)感染症・臨床検査科部長などを経て現職。
呼吸器内科、感染症学、抗菌薬関連腸炎、中でも老人医療、感染症学、近世医学史に詳しい。
著書に『MRSA感染とその対策―MRSA共存時代の知恵』(全日本病院出版会)。

乳酸菌B240開発の思いについてお話します。

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