大津栄養製品研究所
「腸と栄養」の研究拠点

栄養吸収の要である「腸」に着目。「粘膜免疫」をテーマに「乳酸菌の機能」についての研究と関連製品開発を行っています。 東京農業大学が単離した乳酸菌 Lactiplantibacillus pentosus ONRICb0240 (乳酸菌ONRICb0240)の有効性を同研究所が確認しました。

乳酸菌ONRICb0240は粘膜免疫機能を高める貴重な乳酸菌です

製薬株式会社大津栄養製品研究所は「腸管における粘膜免疫」をテーマに研究を進めるという目的で設立され、18年(注1)にわたって乳酸菌ONRICb0240の研究開発を行っています。
注1:2021年現在

乳酸菌ONRICb0240の歩み

2000 年
滋賀県大津市に大津栄養製品研究所を設立。
腸管における粘膜免疫をテーマに研究がスタート。
2003 年
粘膜免疫の主役を担う IgA の分泌を高める乳酸菌を探索。
乳酸菌ONRICb0240の活性の高さに着目。
2005 年
若年女性を対象に研究。
唾液 IgA 分泌促進作用をヒトで初めて確認。
2011 年
季節性インフルエンザ、肺炎球菌への感染防御作用試験、
安全性試験の結果を論文化。
2013 年
高齢者を対象に、乳酸菌ONRICb0240摂取によって風邪罹患割合が抑制されることを論文化。
2017 年
乳酸菌ONRICb0240を含有する食品を開発、発売へ。

腸という幅広いテーマの中で、何に的を絞って研究を行うか、1年ほどかけて議論した結果、 「粘膜免疫の主役を担う IgA の分泌を高めることによる、生体を防ぐ機能の向上」というテーマで製品開発を目指すことになったのです。 当時、研究所にあった様々な乳酸菌ライブラリの中から、マウスの免疫細胞(パイエル板細胞)を用いて IgA の分泌を高める乳酸菌をスクリーニングしました。

そして1年後、「試験対象の乳酸菌で最も IgA を誘導する力が強い」と判明したのが、植物由来の乳酸菌ONRICb0240だったのです。 これは東京農業大学の岡田早苗名誉教授らがタイ北部の発酵茶「ミヤン」から単離した(注2)乳酸菌です。 乳酸菌ONRICb0240によって、パイエル板細胞から IgA 産生が有意に上昇することも確認できました。
注2: J Gen Appl Microbiol.1986;32:57-65.

試験対象の乳酸菌で最も IgA 産生誘導活性が高かった乳酸菌
乳酸菌ONRICb0240

試験対象の乳酸菌で最もIgA産生誘導活性が高かった乳酸菌

マウスの小腸のパイエル版から細胞を採取し、それぞれの乳酸菌(死菌)を添加して7日間培養した。 培養上清中の IgA 濃度を比較したところ、乳酸菌ONRICb0240の IgA 産生誘導活性が最も高かった。
出典: Jpn J Lactic Acid Bact.2006;17:57-60.

IgA に特化して研究を行う

その後も一貫して IgA にこだわり、研究を行ってきました。 IgA は、加齢やストレス、強いレベルの運動によって分泌が低下します。 一方で、 IgA 分泌が上昇することによって具体的にどう健康に寄与するのかという点では、臨床試験において、風邪の罹患割合を減らすことを確認しています。
〉風邪予防

これらの臨床試験は、厳密な試験デザインによってプラセボ効果を排除し、その上で結果が出たもので、乳酸菌の中でも貴重な研究だと考えています。 また、サルモネラ、肺炎球菌といった細菌やウイルスなどを原因とする感染症からの保護効果も動物実験で検証しており、 中でも「食品では難しいのではないか」と思われた新型インフルエンザウイルス感染においても抑制効果が確認され、大きな手応えを感じています。
〉インフルエンザ対策

食品由来の安心感、常温保存が可能

乳酸菌ONRICb0240は発酵茶から分離された乳酸菌で、漬物やキムチ、味噌、醤油などの植物発酵食品から分離される乳酸菌と同じ仲間に属します。 長く食されてきた菌であり、さらに安全性試験の実施により安心して口にできることを確認しています。 加熱処理しても有効性を発揮し、また常温保存も可能なので、様々な形態での製品開発が可能です。

粘膜免疫機能を高めることによって、感染防御をはじめ、アレルギー症状の改善などにも寄与する可能性があると期待しています。