こんにちは、ランニングサポーターの久保です。

「引退」「潮時」「区切り」・・・。最近、このような言葉がやたらと耳に入ってきます。

なりふり構わず精一杯頑張ってきて自分に限界を感じたときにふとよぎる言葉です。上手くいっているときや脂が乗っているときはそんなことなど考えもせず、ただひたすらに頑張れたりするものです。しかし、いずれ限界というものがやってきます。そんなとき、どう自分と向き合って折り合いをつけるかがひとつの試練と言ってもいいかもしれません。

私がまだ現役でバリバリに走っていた頃、「この競技生活はいつまで続くのだろう…」、「いずれは引退するときが訪れて競技をやめなければならない。その先の人生はどうなっていくのだろう…」などと思うことがありました。

当時は30歳を越えたくらいが引退の目安となっていましたが、私は運よく30歳でトラックの自己記録を更新したり、駅伝でもチームに貢献する走りができていましたから、まだまだ頑張れる気持ちでいっぱいでした。そしていよいよフルマラソンに挑戦しようとした矢先、企業から突然陸上部休部を宣告されたのです。私に残された道は「引退」か「移籍」して陸上を続けるかの二択でした。当時、私が33歳だった頃の出来事です。まだまだやれるという自分と、年齢的にも陸上から身をひいて第二の人生を真剣に考えないといけないという自分との葛藤で悩みましたが、結局「引退」の選択をしました。そして1ヶ月後に初めて出場したフルマラソンのレースが、初マラソン、引退レースとなったのです。

それから社業に専念した私は1年間走ることから遠ざかりましたが、逆に競技をしていたときには感じなかったたくさんのことを得て、改めて体を動かすことの素晴らしさや走ることがもたらしてくれる価値を感じることができたのです。そしてまた走ってみようと思えるようになりました。

あれから15年が経ち48歳になりましたが、今の年齢や生活環境下で可能な限り、チャレンジする走りは続けています。もちろん現役のときに作ったベスト記録の更新なんて無理ですし、強くなるために現役のときに毎日やっていたような朝練習や補強、食事管理、睡眠といった陸上中心の生活を送ることも望んでいません。それでも今日の自分を少しでも越えていけるようにチャレンジしたいという気持ちがあって、今もこうして健康に走れていることに感謝しない日はありません。それは決して無理をするということではなく、走ることで生活が潤うように心を充実させるための手段なのです。

一般ランナーの多くは、ある程度の年齢に達してからランニングを始めた方です。練習すればするほど自己ベストの連発、そんなランナーもたくさんいることでしょう。しかし徐々にタイムの伸びが小さくなって、いずれは停滞することがあるかもしれません。頑張っているのに成果が出ない、頑張ることに疲れてきた、年齢的にも限界か・・・。そんなとき、自分の走り方やチャレンジの仕方を考え直すときが来たら、今の自分を素直に受け入れる優しさを持って自分の体に感謝してみるといいでしょう。そうすると違う視点から物事を考えることができて、新たなチャレンジの仕方が見えてくるかもしれません。「引退」「潮時」「区切り」・・・。それらをプラスな思考に変換して、これからも前向きなランニングを実現させていきましょう。

「引退」→「新たなスタートラインに立てる」
「潮時」→「よいタイミング」
「区切り」→「割り切り」