大塚製薬株式会社

医療関連事業
2021年12月16日

iPS細胞由来他家CAR-T/TCR-T遺伝子細胞治療製剤の作製技術を導入

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)は、本日、リバーセル株式会社(本社:京都府、以下「リバーセル社」)と、同社が保有するiPS細胞由来他家CAR-T/TCR-T遺伝子細胞治療製剤(以下、「iPS細胞由来CAR-T/TCR-T」)を作製する技術について、複数の治療分野における全世界を対象にした独占的な商業用ライセンスを取得する契約を締結しましたので、お知らせします。

リバーセル社は、京都大学ウイルス・再生医科学研究所再生免疫学分野の河本宏教授が開発した、iPS細胞等の多能性幹細胞からT細胞を作製する技術を用いてがん免疫療法の臨床応用を目指すベンチャー企業です。これまで大塚製薬は京都大学・河本研究室とiPS細胞由来CAR-T作製技術に関して共同研究を実施してきました。また、昨年には、大塚製薬はリバーセル社とiPS細胞由来CAR-T/TCR-Tの作製技術に関する研究用途に限ったリサーチライセンス契約を締結しました。

今回の商業用ライセンス契約締結により、大塚製薬はリバーセル社から、複数の治療分野での商業利用における、iPS細胞由来CAR-T/TCR-Tの作製技術に関する独占的通常実施権を許諾されます。リバーセル社に対しては、契約一時金に加え、開発マイルストンと売上高に応じたロイヤルティを支払います。

現在、大塚製薬は、自家細胞を用いたCAR-T/TCR-T療法の研究、臨床開発に取り組んでいます。この取り組みと並行し、今回の契約で許諾される技術を用いて、迅速な投与が可能となり得る他家CAR-T、TCR-T療法の研究・開発を進めていきます。

<語句説明>

T細胞

胸腺での選択を経て分化・成熟したリンパ球の一種です。ウイルスに感染した細胞やがん細胞を破壊して排除するキラーT細胞などが含まれます。

多能性幹細胞

繰り返し分裂・増殖することが可能な自己複製能と、様々な細胞へ分化する能力を合わせ持つ細胞です。胚性幹細胞(ES細胞)のほか、人工多能性幹細胞(iPS細胞)があります。

CAR/TCR

キメラ抗原受容体(CAR)は特定の膜タンパク質に結合するよう人工的に作製された受容体です。T細胞受容体(TCR)はT細胞に発現する糖タンパク質で、T細胞ががん抗原などを認識する際に作用します。近年では、がん患者さんから採取したT細胞にがん細胞を特異的に認識するCAR/TCR遺伝子を体外で導入し、培養によって増殖させた後に患者さんに輸注する自家CAR-T/TCR-T療法が開発、もしくは実用化されています。また、患者さん以外の他家細胞を用いて、まとめてCAR-T/TCR-Tを作り置きし、必要な時にすぐに利用する試みも行われています。

<リバーセル社について> https://rebirthel.com/

リバーセル社は、京都大学の河本宏教授が開発した汎用性即納型キラーT細胞製剤を用いた治療法の臨床応用を目指すベンチャー会社です。2019年10月に河本宏教授を創業者として、創立されました。T細胞の一種であるキラーT細胞は、がん細胞を見つけ出して殺傷する能力を持っており、リバーセルは、主にこのキラーT細胞を扱っています。リバーセルは、汎用性即納型キラーT細胞を薬剤として「誰にでも」「すぐに」「低価格で」届けるための戦略を推進しています。