BCAAは運動パフォーマンスを向上させる?

BCAAは運動後の筋肉痛や疲労感に効果があるの?

BCAAを摂取することによる筋損傷への影響

激しい運動をすると、筋損傷の指標であるクレアチンキナーゼ(CK)や乳酸脱水素酵素(LDH)が上昇します。そこで、BCAAを摂取することが、CK、LDHにどのように影響を及ぼすのか調べました。

BCAA含有飲料が25km走後の血中逸脱酵素活性に及ぼす効果

大学陸上競技部の合宿において、男子長距離選手8名に25km走の3日前からBCAA含有飲料、もしくは対照飲料を毎日3本摂取してもらい(BCAA 6,000mg/日)、当日は25km走30分前に250ml、走行中は5kmごとに自由に摂取させ、クレアンチンキナーゼ(CK)、乳酸脱水素酵素(LDH)の上昇をみました。

*は対照飲料に対する有意差(p<0.05)をあらわします。

出典:J SPORTS PHYS FITNESS,p316,47,2007

25km走行前、走行中のBCAA摂取量の平均は2,400mgでした。
その結果、BCAA含有飲料、対照飲料の両摂取条件で血中のCKとLDHの活性は上昇しましたが、LDHにおいてはBCAA含有飲料摂取時で対照飲料摂取時より上昇程度が有意に低いことがわかりました。

結論:BCAAを摂取することで、筋損傷が軽減できる

BCAAを摂取することによる疲労感、筋肉痛への影響

BCAAの摂取が筋損傷の軽減につながるとの結果から、「BCAAの摂取が疲労感、筋肉痛にも効果を及ぼすかもしれない」という仮説をたて、検証しました。

BCAA含有飲料摂取が合宿中の筋肉痛および疲労感に及ぼす効果

陸上競技部の合宿において、男女の長距離選手12名に、3日間の集中トレーニング期間中(男性:86km走行、女性: 64km走行)毎日、BCAA含有飲料、もしくは対照飲料を2,500ml摂取してもらい(BCAA 20,000mg/日)、3日間の合宿中の全身の筋肉痛と疲労感を評価しました。

筋肉痛、疲労感について10cmの直線状に記してもらう、VAS(Visual Analogue Scale)法で評価しました。
*は対照飲料に対する有意差(p<0.05)を、#は合宿前に対する有意差(p<0.05)をそれぞれあらわします。

出典:J SPORTS PHYS FITNESS,p424,49,2009

合宿前と比べて、対照飲料摂取グループ、BCAA含有飲料摂取グループとも、筋肉痛の増加がみられましたが、BCAAの摂取により筋肉痛の程度が抑制されることがわかりました。
また、疲労感については、合宿前と比べて対照飲料摂取グループでは有意に増加していましたが、BCAA摂取グループでは有意な増加は見られませんでした。BCAA摂取グループでは、疲労感が抑制されることがわかりました。

結論:BCAAを継続的に摂取することで疲労感、筋肉痛も軽減できる

例えば合宿のような高強度の運動が繰り返し行われるような場面でのBCAAの補給は、より質の高いトレーニングを行うためのコンディショニングに役立つと考えられます。