遺伝子からわかる血液がんのこと

遺伝子を知る

遺伝子とヒトの体

ヒトの体には約37兆個もの細胞があり、脳、神経、心臓、胃、骨、血管などのさまざまな体の器官は、細胞によってつくられています。この細胞の材料の一つがタンパク質で、タンパク質をつくるための情報(つくるタンパク質の種類、つくるタイミングなど)は遺伝子に記されています。遺伝子はヒトの基本的な「体の設計図」ともいえます。

  • 20種類のアミノ酸から構成される物質です。

遺伝子とヒトの体の関係

遺伝子 タンパク質 細胞 さまざまな体の器官 人の体

遺伝子とDNA、染色体、ゲノムの関係

体の設計図である遺伝子の情報は、デオキシリボ核酸(DNA)という物質に存在しています。DNAは①塩基、②糖、③リン酸の三つから構成されている、二重らせん構造をした鎖状の物質です。DNAの塩基にはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類があり、これらの並び方(配列)により、遺伝子の情報が指定されます。
また、DNAがコンパクトに折りたたまれたものを染色体と呼んでおり、一つの染色体には多数の遺伝子が含まれています。なお、染色体は、ヒトの場合、母親と父親から23本ずつ受け継がれて、各細胞に全部で46本※1(同じ染色体が2本で1対)存在します。そして、これら染色体を含むすべての遺伝情報(DNA配列のすべて)を「ゲノム」といいます。

  1. ※1精子や卵子といった生殖細胞に入っている染色体は23本です。

遺伝子、DNA、染色体、ゲノムとは

細胞 染色体 ゲノム 遺伝子 DNA配列の情報ごとのまとまり DNA
COLUMN
遺伝子と体質

遺伝子を解析することで、血液型、瞳の色、お酒に強いか弱いかといった個人の体質を調べることができます。
一方で、遺伝子だけではわからない体質もあります。例えば身長は、栄養状態などの環境の影響によって左右されることがわかっており、遺伝子を調べるだけでは将来どうなるかわかりません。
遺伝子は体の設計図といえますが、すべての体質が遺伝子だけで決まるわけではありません。

遺伝子とタンパク質

ヒトには約2万種類の遺伝子が存在するといわれており、タンパク質をつくるための情報が記されています。
遺伝子はアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4種類の塩基からできており、この塩基配列によってつくられるタンパク質の種類などが決まっています。

遺伝子の塩基配列

遺伝子 4種類の塩基で構成

ヒトの細胞内では遺伝子の情報からタンパク質をつくります。その際、まずは遺伝子をメッセンジャーRNA(mRNA)という形に変換する必要があります(転写)。これは設計図をコピーするようなイメージです。遺伝子のコピーであるmRNAができると、その塩基配列をもとにタンパク質がつくられていきます(翻訳)。

細胞内のタンパク質合成

細胞 DNA 核 転写 mRNA 翻訳 タンパク質 DNAからできた設計図ではなく、mRNAというコピーの設計図をもとに、タンパク質がつくられます