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月曜日の憂鬱。
ブルーマンデー

週末ほっと一息ついたのもつかの間、日曜日の夕方になり、またウィークデイが始まると思うと、憂うつな気分になる…このような経験をしているビジネスパーソンは少なくないのではないでしょうか。このように憂うつな気分で月曜日を迎えることを「ブルーマンデー」とも言われています。ブルーマンデーは、月曜日から仕事が始まるというプレッシャーや、休日の過ごし方などが原因の1つと考えられていますが、「ソーシャル・ジェットラグ」もその一つとして考えられています。

月曜日を迎える憂鬱

月曜日が憂鬱!ソーシャル・ジェットラグが要因

身近な体内リズムの乱れ「ソーシャル・ジェットラグ」は、休日明けの月曜日に体調がすぐれず憂うつな気持ちになる「ブルーマンデー」の要因にもなっているようです。

健康な人が、金曜と土曜の夜に寝られるだけ寝た場合といつも通り寝た場合を比較した試験では、わずか2日の休日朝寝坊によって日曜夜のメラトニンの分泌が遅れ(図2)、翌週前半の眠気や日中の疲労感を増長するという結果が出ています(図3)。

図2「休日朝寝坊」で日曜夜のメラトニン分泌が遅れる

休日朝寝坊と日曜夜のメラトニン分泌の相関関係

健康な人が金曜の夜と土曜の夜に寝ていられるだけ寝て「休日朝寝坊」をした場合の、金曜の夜と2日間寝られるだけ寝たあとの日曜の夜のメラトニン分泌の推移(典型例)。金曜の夜に比べ、日曜の夜はメラトニンが出るのが遅くなり、また分泌量も少なく、寝つきも悪かった。

(Sleep and Biological Rhythms 2008;6:172–9.)

図3「休日朝寝坊」は週明け前半まで眠気と疲労感に影響

休日朝寝坊が週明けの眠気や疲労感に与える影響

睡眠に問題がない16人の男女(平均25.7歳)が、金曜の夜と土曜の夜に寝ていられるだけ寝て「週末朝寝坊」をした場合といつも通り寝た場合の平日の眠気度と疲労度の比較(エラーバーは標準誤差)。どちらも休日朝寝坊の翌週の方が強く、中でも週の初め、月曜や火曜に強かった(*P<0.05、**P<0.001)。

(Sleep and Biological Rhythms 2008; 6: 172–9.)

あなどれないブルーマンデー

ブルーマンデーは「少々、眠気や疲れが強くなるだけ」とあなどれません。ともすれば命とりになることもあります。脳卒中の疫学研究によると、年齢や性別にかかわらず、脳梗塞の発現が月曜に有意に多いという結果が出ています(※11)。

自殺件数についても、男性では月曜の自殺のリスクが、1番少ない日曜の約1.5倍と高く、週末に向けてリスクが下がるということが示されました。

  • BMJ Open. 2015 Mar 24;5(3):e006294.

昼夜の明暗刺激は
「季節性感情障害」に関与

秋冬の憂鬱

秋から冬にかけて、きまって気分の落ち込みがみられる「季節性感情障害」は、太陽が昇る時刻が徐々に遅くなり、朝の光が足りなくなるせいではないかと考えられています(※12)。

朝、人工的な強い光を浴びさせる光療法が、季節性感情障害の治療に有効なことからも(※13※14)、体内時計のリズムを一定に保つことが、メンタル面の健康維持には欠かせないことを裏づけていると言えるでしょう。

  • J Affect Disord. 2003 Sep;76(1-3):15-22.
  • Chronobiol Int. 2004 Jul;21(4-5):759-75.
  • Arch Gen Psychiatry. 2001 Jan;58(1):69-75.