12

「3DSSチェックシート」で
あなたの睡眠習慣が明らかに。
“良い睡眠”は「位相
(リズム)」も大切!

睡眠に何かしらの悩みを抱える人は、まず自分の眠りのどこに問題があるのかを把握することが大切です。
今回は、睡眠習慣が簡単に分かる、「3DSSチェックシート」(3次元型睡眠尺度マニュアル)についてご紹介します。

日本大学医学部社会医学系公衆衛生学分野・助教
松本 悠貴 先生

快眠の第一歩は、
問題点を知ることから

現代社会は、インターネットやスマホによっていつでも情報を得ることができます。また、コンビニやスーパーの24時間営業など、利便性が飛躍的に進歩した一方で生活が夜型になり睡眠に問題を抱える人が増えています。特に、仕事や育児が忙しい働き世代は、世界的に見ても睡眠時間が短く、睡眠時間を削って無理をしがちです。

社会の変化により、睡眠習慣が乱れる要因が多様化したことで、これまで使われてきた睡眠のチェック方法では、睡眠の状況を正しくを評価することが難しくなってきました。

そこで、多忙な現代人の健康を守るために、リズムを含めた睡眠状態が分かる「3DSSチェックシート」(3次元型睡眠尺度マニュアル)を開発しました。 このチェックシートは、「位相(いそう=睡眠リズム)」、「質」、「量」の3点から、睡眠習慣を把握することができるものです。

睡眠は、単に「時間が長い・短い」「質が高い・低い」だけで良し悪しを判断できません。“良い睡眠”を得るには、「位相(リズム)」、「質」、「量」の3点を抑えることが大切です。

睡眠状態は個人差が大きく、悩みのポイントや問題点は人それぞれ。だからこそ、個々の問題点を見つけ出し、早いうちから対処していくことが必要なのです。

快眠の第一歩は、問題点を知ることから

「位相」の低さは、
体内リズムの乱れ

実際に睡眠時間を調べた数々の論文をまとめたデータによると、夜間の睡眠時間は10歳までは8~9時間、15歳で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間と、加齢とともに必要な睡眠時間が少なくなるということが報告されています。よく加齢によって昔ほど長時間眠れなくなったという悩みを聞きますが、実は加齢に伴い必要とする睡眠時間が少なくなっているというのが事実のようです。成人の場合、個人差はあるものの6~7時間前後の睡眠時間が目安です。

また、高齢者では若い頃にくらべて早寝早起きになるようです。これは体内時計の加齢変化によるもので、睡眠だけではなく、血圧・体温・ホルモン分泌など睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しになります。

さらに、加齢とともに睡眠も浅くなるようです。睡眠脳波を調べてみると、深いノンレム睡眠が減って浅いノンレム睡眠が増えるようになります。そのため尿意やちょっとした物音などでも何度も目が覚めてしまうようになります。よく若いころの睡眠に比べてよく眠れなくなったということを経験するかもしれませんが、実は加齢に伴い体に必要な睡眠が変化してきているのです。

「位相」の低さは、体内リズムの乱れ

「ソーシャル・ジェットラグ」が不調の原因に

気づかないうちに引き起こされる「ソーシャル・ジェットラグ」ですが、週末わずか1~2時間の体内時計のずれであっても、心身に様々な影響が出ることが明らかになっています。「ソーシャル・ジェットラグ」が肥満や生活習慣病、気分の落ち込み、昼間のパフォーマンス低下につながるというのです。少し考えてみてください。休日に朝寝坊すると、あなたの体内時計はお昼頃を朝だと認識してしまいます。月曜日の朝に、すっきり目覚められなくて当然ですね。午前中は頭が働かない、体がだるい、何となく体調が悪いという方は、「ソーシャル・ジェットラグ」の状態になっていないか、毎日の生活を見直してみてください。土日に朝寝坊をしているようでしたら、平日と同じ時間に起きて明るい光を浴びましょう。朝寝坊しないなんて無理!と思われた方、平日に睡眠が不足していることや週末の夜ふかしが原因ではありませんか。睡眠時間をきちんと確保するように心がけてください。

「位相」の低さは、体内リズムの乱れ