女性の健康推進プロジェクト

健康経営®に重要な女性の健康女性の社会進出と
健康経営®

少子高齢化の影響により、日本の生産年齢人口は今後も減少が続くと予測されます。
そうしたなか、さらなる経済成長を促す方法として注目されているのが、女性の労働参加の拡大です。企業は女性活躍の場を提供するとともに、今後の企業成長を考えるうえで、女性の健康を支援する「健康経営®」への取り組みが必要です。

  • 「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

女性に配慮した健康経営とは

働く人口の割合

  • 女性44%
  • 男性56%

「健康経営」とは、経営的な視点で従業員の健康管理を考え、戦略的に実践することを指します。企業が従業員の健康管理に向けた投資を行うことで、従業員の活力向上や生産性向上などが期待でき、結果的に組織の活性化、業績向上、企業価値向上につながると考えられます。
総務省が発表した「労働力調査(基本集計)」によると、2021年時点で女性の労働人口は約44%を占めています。労働者の約半数が女性であることから、人材不足が課題となっている昨今において、女性の活躍を支える「女性の健康」への対応が期待されています。

健康経営の取り組みのなかで注目が高まる「女性の健康」

「健康経営」の取り組みで関心が高いものをお聞かせください(複数回答)

女性特有の健康問題対策 56%
40〜50代男性のメタボ、健康意識対策 49%
重症化予防等のリスクアプローチ 44%
各従業員の状態に応じた健康増進施策のレコメンド、誘導 42%
禁煙対策 37%
データヘルス計画の立案 37%
若手社員への健康に対する意識改革、行動変容 35%
健診結果、医療費、ジェネリック利用等の見える化による従業員への啓蒙 30%
対面での健康イベントの実施 26%
ヘルスケアポイントの活用 14%
その他 7%
  • 出典:健康経営に関する実務者連絡会 参加者アンケート n=43

近年では、女性の労働参加への期待から、健康経営にも反映される動きが見られます。
健康経営を積極的に推進する企業は、「女性特有の健康問題対策」への関心が最も高いことが分かります。※1
実際に、2018年からは健康経営銘柄(健康経営に優れた上場企業を認定する制度)において、女性の健康が重点化され、2022年の健康経営銘柄および健康経営優良法人の認定要件では、「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」が、評価項目として明記されました。

「女性の健康」が企業に与える影響

女性特有の健康課題が生産性に影響

女性従業員

女性特有の健康課題や女性の多く現れる症状により勤務先で困った経験をしたことはありますか?
(該当する方は複数回答)

  • なんらか困った経験を有している52%
  • 該当するものはない48%
n=2400
月経関連の症状や疫病
(月経不順・月経痛など)
72%
PMS(月経前症候群)等 43%
更年期障害 19%
メンタルヘルス 19%
不妊・妊活 7%
女性のがん・女性に多いがん 5%
その他 1%

管理者

管理者として対処に困った経験のある女性従業員の健康課題や症状を教えてください。
(該当する方は複数回答)

  • なんらか困った経験を有している34%
  • 該当するものはない66%
n=600
メンタルヘルス 56%
月経関連の症状や疫病
(月経不順・月経痛など)
41%
更年期障害 24%
PMS※(月経前症候群)等 18%
女性のがん・女性に多いがん 16%
不妊・妊活 8%
その他 0%
  • PMSとは「Premenstrual Syndrome」の略で、生理が始まる前の3日〜10日前に起こる、心と身体の様々な不調を指す。

「職場で女性特有の健康課題などにより困った経験がある」と答えた女性従業員の割合は52%で、半数以上です。
一方、女性を含む従業員のマネジメントを行う管理職のうち、34%が「女性特有の健康課題への対処に困った経験がある」と回答しています。その健康課題の多くは、月経痛や月経前症候群によるものです。※2

月経に伴う女性特有の症状によって、年間で6,828億円もの社会経済的負担が生じていることも明らかになっており、そのうち71.9%は欠勤や労働量・質の低下によるものです。

月経随伴症状による1年間の社会経済的負担

  • 労働損失71.9%
  • 通院費用13.6%
  • OTC医薬品費用14.6%
内訳 推計額
労働損失 4,911億円
通院費用 930億円
OTC医薬品費用 987億円
総計 6,828億円
  • OTC医薬品:一般用医薬品
  • Tanaka E, Momoeda M, Osuga Y et al. J Med Econ 2013; 16(11): 1255-1266に基づき作成。

しかし、こうした状況について「知らなかった・わからない」と回答した人は、全体の70%以上。管理職を含めた男女問わず、女性の健康課題に関する理解が低いことがわかります。※1

「女性の健康」への取り組みが企業課題の解消につながる

健康経営の一環として企業が女性の健康を支援するさまざまなメリット※1

アブセンティーイズムの改善

アブセンティーイズムとは、体調不良を伴う欠勤や遅刻、早退など、健康課題による労働生産性の損失が生じている状態を指します。
女性特有の月経に伴う症状や、PMS(月経前症候群)、妊娠・出産に関する症状(つわりや産後うつなど)更年期障害などの健康課題は、アブセンティーイズムの要因となります。
女性の健康支援として企業ができる取り組みには、生理休暇を設けるほか、婦人科検診の推進、検診・受診のための有給休暇制度などが挙げられます。

プレゼンティーイズムの改善

プレゼンティーイズムとは、出勤はしているものの体調が優れず、生産性が低下している状態を指します。一見すると、問題なく出社し、業務をこなしているように見えますが、集中力の低下やイライラ感などが続き、本人だけでなく周囲にまで影響を及ぼすことがあります。生産性という観点では、アブセンティーイズムよりも、プレゼンティーイズムの方が企業経営において深刻な問題になるともいわれています。

こうした課題については、まず、女性従業員自身が、女性の健康について理解を深める必要があるでしょう。同時に、企業としても、女性の健康に関する知識を提供するセミナーや研修を開催したり、柔軟な勤務体制を整えたりするなど、具体的な対策を実施することが大切です。

長期的な人材活用やエンゲージメント向上

女性は、妊娠・出産によるキャリアチャンスの喪失が起こりやすいものです。
また、長期的な通院が必要となる不妊治療は、仕事との両立が難しい場合が多く、離職につながりやすい課題です。企業が、通院や治療を支援する休暇制度や、働きやすい環境整備を充実させることで、女性従業員のエンゲージメント向上も期待できます。女性の健康に配慮した健康経営の施策で、生涯を通じたキャリアの継続を促し、長期的な人材活用につなげることが可能です。

  • ※1. 出典:「健康経営における女性の健康の取り組みについて」(経済産業省)
    https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/josei-kenkou.pdf
  • ※2. 出典:「働く女性の健康推進に関する実態調査」(経済産業省)
    https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/H29kenkoujumyou-report-houkokusho-josei.pdf

女性の健康に関する企業向けセミナー

大塚製薬の女性の健康推進プロジェクトでは、女性自身のヘルスリテラシー向上と男性の理解促進への貢献を目的としたセミナーを開催しています。

詳しく見る