知って対策PMS「月経前症候群」

月経(生理)がくる前にいつもやってくる、イライラ、イタイタ、モグモグ…。
それってPMSかもしれません。

監修:福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 産婦人科 特任教授 小川 真里子先生

こんな症状ありませんか?いずれかの症状が月経前に起き、それらの症状で生活に支障をきたすことが繰り返されている場合は、PMSの疑いがあるかもしれません。

PMSとは

PMSは、「Premenstrual Syndrome」の略で、月経(ぜん)症候群のことをいいます。月経前3~10日の間に精神的あるいは身体的な症状が現れ、月経が来ると落ち着いたり、なくなったりします。

産科婦人科用語集・用語解説集(改訂第4版); 日本産科婦人科学会編, 日本産科婦人科学会: 60-61, 2018改変

なお、PMSの重症型で、精神症状が強いものをPMDD(月経(ぜん)不快気分障害)と診断されることもあります。

月経前症候群(PMS)。約7割の女性が月経前に何らかの症状を経験したことがあるという調査報告もあります。※女性1000人を対象 出典:大塚製薬インターネット調査:2021

PMSの主な症状

身体的症状:おなかや乳房の張り、むくみ、頭痛、肌荒れ、めまい など。精神的症状:イライラ、食欲增進、怒りっぽい、不安感がある、気分の落ち込み など。症状の程度や数は個人差があり、心理的・環境的な背景も影響を及ぼします。むくみの症状が強い人ほど、イライラなどの否定的な感情が強いことがわかっています。

PMSの原因

PMSの原因は、はっきりわかっていません。
月経をコントロールする「女性ホルモン」エストロゲンと黄体ホルモン(プロゲステロン)の変動が関わっていると考えられています。

エストロゲン:女性の生殖器官の発育や、骨、皮膚、血管などの機能を保つはたらきがあります。プロゲステロン:妊娠の準備や維持に関わるホルモンで、子宮内膜を安定させるはたらきがあります。

PMSの対策 -セルフケアと治療-

自分のカラダの理解

まずは、自分の感じているつらさがPMSかどうか知るために、症状がどのくらいの強さで、どのタイミングで出やすいか等を記録し、理解することから始めましょう。

基礎体温も含めてアプリや手帳で記録
セルフケア:食事、栄養バランスよく、3食きちんと食べる、精製糖を控える、玄米などの血糖値を急激に上げにくい食品やたんぱく質を意識して摂る。食事以外:適度な運動、禁煙、リラックス、休息、サプリメント(オススメの栄養素・ハーブ:ビタミンB6、 カルシウム、 ビタミンD、 チェストベリー、 サフランなど)。ガンマガンマ注目の成分 「y-トコフェロール」、「y-トコトリエノール」など。y-トコフェロール、ソ-トコトリエノール:大豆油や米ぬか油に多く含まれるビタミンEの一種。PMSの主な症状の1つである「むくみ」を軽減する作用が期待されています。出典:日本女性医学学会雑誌:29(4): 578-587, 2022。エクオール:大豆イソフラボンから腸内細菌によってつくられ、エストロゲンとよく似た働きをする成分。エクオールをつくれる体質の人は、PMSの精神症状が軽いという報告もあります。出典:産科と婦人科;83(12):1434-1439, 2016
お薬による治療。漢方薬:「気・血・水」のバランスをその人の体質や体格から考えて、整えることで諸症状を改善します。低用量ピル (OC・LEP):様々な種類がありますが、排卵をおさえることで、PMSを含むホルモンの変動による諸症状を改善します。月経痛などにも効果があります。抗うつ薬 (SSRI):精神症状が強い場合は、抗うつ薬 (SSRI) も使われます。月経前の2週間内服するだけでも効果があるといわれています。その他:むくみが強い方には利尿薬が使われることもあります。

女性の生涯の健康管理には、
日々のセルフケアはもちろんのこと、
専門家による病気予防の相談や健康状態の
把握が大切です。

ぜひ、いつでも頼れる婦人科の
「かかりつけ医」を
持つことも
検討しましょう。

監修

小川真里子 特任教授

福島県立医科大学 
ふくしま子ども・女性医療支援センター

福島県立医科大学医学部卒業。慶應義塾大学産婦人科を経て、2007年に東京歯科大学市川総合病院産婦人科助教、2011年同講師、2016年同准教授。2024年4月より現職。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本心身医学会心身医療専門医、日本女性心身医学会認定医などの資格を持ち、PMSや更年期などの診療にあたる。

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