「日々、自分を積み重ねていくことの楽しさ、自分らしく年齢を重ねることの喜び」──。「UL・OS」が掲げるそんなテーマを語り合うべく訪れたのは“ジーンズの町”岡山・児島。数ある“MADE IN KOJIMA”のブランドのなかでも「ジーンズのある生活」を提案するスタイルが多くのデニムファンの支持を受ける「TCB JEANS」と「UL・OS」の共通点、それは──「育てることの楽しさと味わい」。「TCB JEANS」代表・井上一氏に話を聞いた。
「TCB JEANS」を運営する「TCB株式会社」代表取締役社長。10代のときに京都のアメカジショップにてファッション業界でのキャリアをスタートさせ、20歳、デニム職人を志して岡山・児島へ。2012年の「TCB JEANS」をローンチ以降、“MADE BY TCB”をテーマに日本国内だけでなく海外からも注目を浴びるさまざまなアイテムをリリースし続けている。
ニュートラシューティカルズ事業部 製品部 ウル・オス担当。2010年に「大塚製薬株式会社」に入社し、4年間の京都支店での営業職を経て現職へ。「UL・OS」のマーケティング全般を担当。ちなみに岡山・児島を訪れたのは、2005年に開催された「第60回国民体育大会/晴れの国おかやま国体」の水泳競技に参加して以来2度目。
今回は「UL・OS」の企画にご協力いただいて、ありがとうございます。今日、お話できるのを本当に楽しみにしていました。
いえいえ、こちらこそ。でも、スタッフや仲間から「あのスキンケアの『UL・OS』でしょ?井上で大丈夫なの?」って心配されました(笑)。
はははっ、そんな(笑)。ちなみに、ここ倉敷・児島が“ジーンズの町”と呼ばれていることは知っていたんですが、それはなぜなんですか?
児島は海が近くて、土地柄、お米を作るのに向いていなかった。そこで綿花の栽培がさかんにおこなわれるようになって、繊維産業が発展した、と。そもそも学生服の製造なんかでは全国区だったようですが……60年くらい前かな? はじめて国産ジーンズを作ったのが、ここ児島の被服メーカーだったそうです。
へぇ、そんなに深い歴史があるんですね。……あ、歴史といえば、「TCB」と「UL・OS」はブランドとしてほぼ同じ時期にデビューしたんですよ。「TCB」が2007年、「UL・OS」が翌年の2008年。
あ、そうなんですね。
そんなブランドとしての歴史だけでなく、「TCB」(ジーンズ)と「UL・OS」(スキンケア商品)には共通点として「育てる」というキーワードがあると考えていて。今回はそんなお話ができればと思っています。
ジーンズを育てる、肌を育てる……うん、たしかに。お話をもらったときは「なぜ?」って思いましたが、共通点、たしかに多そうですね。どんなお話ができるか、楽しみです。
「TCB JEANS」ならではの、ほかのジーンズブランドとは異なるポイントやこだわりってどういうところでしょう?
いろいろなこだわりはあるんですけど、まず、僕自身の考えとして「買った瞬間のジーンズがいちばん格好わるい」と思ってて……。
……え? どういうことですか?
もちろん、生地にも縫製にもシルエットにも、とことんこだわって作っているし、自信もあります。でも、ジーンズって、穿く人の個性が表れてからが本番だと考えているんです。色落ちだったり傷だったり、生地のねじれだったり、穿き続けられたジーンズには、穿く人の個性や人生が刻まれます。そういうものって、僕たちが日常生活で触れるもののなかで、そう多くはないと思うんです。
たしかに、新しいもの=良いものという捉え方が一般的ですよね、現代は。
うん。そもそも、着やすくて機能性に優れた洋服が溢れているなかで、僕がジーンズに惹かれたのも、お客さんがジーンズに魅力を感じるのも、理由はそこにあると考えていて。穿き続けられたジーンズの佇まいを見ることで、その人の人生が垣間見えるというか。
素敵ですね。私たちの業界でいえば、笑いジワが深く刻まれた表情を見ると「あ、この人は笑顔に溢れた豊かな人生を歩いているんだな」と感じたりするのと似ているかもしれませんね。
まさに。顔の笑いジワにしても、ジーンズのヒゲや自然な縦落ち(※1)にしても、一日や二日ででき上がるものじゃない。長い月日をかけて刻まれ、その人の個性や魅力……つまりは「味」になると思うんです。そして、そこに至る過程を、僕たちジーンズ業界では「育てる」と呼ぶんです。
お話を聞いていて、井上さんの考え方と「TCB JEANS」、そして「UL・OS」には、やはり共通点が多いなと感じました。
ほぉ、たとえばどういったところでしょうか?
「UL・OS」はブランドのコンセプトに「 “化ける・装う”ではない生き方の提案」を掲げているんですが、長い人生、どんなに器用な人でも自分を装い続けることはできません。ジーンズのダメージも、きっとそう。ジーンズの魅力的な味は、無理やり作ったダメージでは出すことができないと思うんです。
そうですね。味を出そうと装ってつけたダメージは、味ではなく傷といえるかもしれませんね。
私たちは「UL・OS」を「化粧品」ではなく「健粧品」と位置付けて、「健やかな肌こそ美しい」という考えのもと製品開発をしています。さらにいえば、肌や髪だけでなく、使うことで人の心までも健やかにできたらいいな、と。
今のお話のなかで、僕もひとつ共通点を見つけました。
ん? なんでしょう?
僕はジーンズをたんなる洋服ではなく、人生を共に歩むパートナーだと考えています。嬉しいときも、悲しいときも、穿く人の心に寄り添い、穿くことで心を潤してくれるパートナー。「TCB JEANS」は、そんな想いでジーンズを作っています。
機能や見た目だけではなく、穿く人、使う人の心を癒し、育み、健やかにするもの作り……うん、これからもその気持ちを大切にしていきたいなとあらためて感じました。
ちなみにですが、井上さんが考える素敵な男性って?
20代のころと今とでは、理想としている男性像が大きく変わってきている気がします。若いときは目一杯背伸びをして、格好をつけて、イキがることに美学を感じた。でも、今は「いかに自然体でいられるか」を意識していて。
うんうん、それ、わかります。
もちろん、仕事も私生活も、こだわるところは徹底的にこだわり抜く。でも、何かに抵抗するばかりじゃなくて、心も体も、あるがままを受け入れながら、日々、少しずつ成長していく自分を楽しみながら自然体で生きていく。それが今の自分が理想とする男性かもしれません。
私は、毎日を楽しそうに過ごしている人を見ると「素敵だな」「羨ましいな」と。職業柄、ついつい人の肌を見てしまうんですが、笑顔を絶やさず、楽しそうにしている方は、肌も健康できれい、そして魅力的な味があるように感じます。
へぇ、おもしろいですね、それ。
ジーンズも肌も、歳月を経ることを「劣化」と考えずに「変化」と捉え、汚れや傷を誤魔化すのではなく自分の歴史や味として楽しむ──。考え方ひとつで、人生は今よりもっと豊かにできると思うんです。今日、こうして井上さんとお話したことで、その考えが確信に変わりました。
僕もたくさんの気づきがありました。「TCB JEANS」と「UL・OS」、そして、ジーンズを穿くことと肌をケアすることの共通点の多さに驚いたんですが……僕も今日から「UL・OS」でケアしたら、人生、もっと楽しめますかね?(笑)
はい、きっと(笑)。私も今日から「TCB JEANS」のジーンズを、ゆっくり、焦らずに育てたいと思います。
「育てることを楽しみ、変化を楽しむ」──。
そんな「UL・OS」のテーマを体現するヒト、
モノ、コト、そして想い。