大塚製薬株式会社

医療関連事業
2013年9月17日

水利尿薬「サムスカ®錠7.5mg」が世界で初めて
「肝硬変における体液貯留」の追加効能を承認取得

  • 水利尿薬の「サムスカ」が世界で初めて「肝硬変における体液貯留」の適応を獲得。「サムスカ」は、従来の利尿薬治療で効果が不十分な体液貯留のある肝硬変の患者さんの新たな治療選択肢
  • 国内に約27万人いる肝硬変患者さんの約1/3は、手足のむくみやお腹に水がたまることによる膨満感(張り)など、日常生活に問題を抱えている。治療には利尿薬が処方されるが、電解質のバランスが崩れたり腎機能が低下することもあり、従来とは違う作用の利尿薬が求められていた
  • 「サムスカ」は、入院下で投与開始または再開する必要があるなど、処方する前に必ず確認いただく事項がある。特に、本剤の投与により高ナトリウム血症および重篤な肝機能障害を発現することがあるので、頻回な血清ナトリウム濃度の測定と肝機能検査が必要。なお、「肝硬変における体液貯留」の追加効能が承認された「サムスカ」の投与上限用量は7.5mgであり、「心不全における体液貯留」で承認されている用量の半量

大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岩本太郎)は、バソプレシンV2-受容体拮抗剤の「サムスカ®錠 7.5mg(一般名:トルバプタン)」に関し、水利尿薬として世界で初めて「ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な肝硬変における体液貯留」の追加効能の承認を取得しました。

国内の肝硬変患者数は約27万人とされています。肝硬変が進展し肝臓の機能が低下すると、様々な合併症が発生します。中でも、浮腫(むくみ)、腹水(お腹に水がたまった状態)などの体液貯留を抱える患者数は約10万人にのぼると言われています。体液貯留が起こると、お腹の張りを感じる、疲れやすくなる、呼吸がしづらいなどの症状が出てきて、水分の制限がされるなど、日常生活に支障をきたすことがあります。
肝硬変における浮腫や腹水の治療には、水分・塩分制限に加え利尿薬が使われます。利尿薬が効きにくい場合には、薬の量を増やしたり、別の種類の利尿薬を加えたりして治療が行われますが、それにより血中の電解質のバランスが崩れたり、腎臓の機能が低下するという懸念があります。また、利尿薬そのものの効果が減弱する場合もあります。そのため、肝硬変による浮腫や腹水の治療において、これまでの利尿薬とは作用機序の異なる新しい利尿薬が望まれていました。
「サムスカ」は、海外では低ナトリウム血症の治療薬として、2009年6月に米国、同年8月に英国やドイツをはじめとする欧州各国で販売を開始しました。日本では、水利尿薬として心不全における体液貯留を対象とした世界初の適応症で2010年12月から販売しています。現在、世界14カ国・地域で販売しています。

  • 米国、英国、ドイツ、イタリア、スペイン、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、日本、カナダ、中国、台湾、韓国

サムスカ錠の概要

「サムスカ」は、入院下で投与開始または再開する必要があるなど、処方する前に必ず確認いただく事項があります。特に、本剤の投与により高ナトリウム血症および重篤な肝機能障害を発現することがあるので、頻回な血清ナトリウム濃度の測定と肝機能検査が必要です。医療関係者におかれましては、本薬を処方される前に当社医薬情報担当者(MR)までお問い合わせくださいますようお願い申し上げます。

参考資料

サムスカについて

「サムスカ」は、大塚製薬が自社で創製した非ペプチド性バソプレシンV2-受容体拮抗剤で、腎臓の集合管において、バソプレシン(抗利尿ホルモン)のV2-受容体への結合を選択的に阻害する作用機序を持った治療薬です。バソプレシンは、その作用のひとつとして、V2-受容体に結合することで、体液を保持することが知られています。「サムスカ」は、V2-受容体においてバソプレシンの働きを抑制することで、尿中から血中への水の再吸収を減少させ、ナトリウムなどの電解質排泄に直接の影響を与えずに水分のみを体外へ排出するメカニズムを持ちます。

肝硬変の浮腫・腹水について

肝硬変の国内患者数は約27万人と言われています。主にB型やC型のウイルス性肝炎やアルコール摂取過剰による肝炎などが慢性化し進展することで肝硬変になります。肝硬変が進展すると、肝臓の機能のさらなる悪化や浮腫、腹水をはじめ食道静脈瘤、肝性脳症、黄疸、肝細胞癌など様々な合併症を伴います。
肝硬変で浮腫や腹水を抱える患者さんでは、こうした症状や腹水のために入院による治療を行うこともあります。浮腫や腹水の治療は、通常、塩分・水分制限に加え利尿薬が投与されますが、利尿薬が効きにくくなった場合は、薬の量を増やしたり、別の種類の利尿薬を加えたりして治療を行います。しかし低ナトリウム血症のような血液の中の電解質のバランスが悪くなっている場合は既存の利尿薬を十分な効果が得られる量まで増量できないことがあります。過去にそのような状態になった経験がある場合は初めから増量できないこともあります。また、利尿薬により腎臓の機能が低下する懸念もあります。一方で、肝硬変では血液中のアルブミン濃度が低下することがよくあり、その場合にはアルブミンに結合して体内で運搬される既存の利尿薬の効果が減弱することがあります。そのため、肝硬変による浮腫や腹水の治療において、これまでの利尿薬とは作用機序の異なる新しい利尿薬が望まれていました。