栄養教養学部 / エネルギー源学科

食物繊維

食物繊維を多く含む食品

  • 玄米

    玄米

  • モロヘイヤ

    モロヘイヤ

  • ごぼう

    ごぼう

  • わかめ

    わかめ

  • ひじき

    ひじき

  • 大豆

    大豆

  • いんげん豆

    いんげん豆

  • きくらげ

    きくらげ

  • 干し柿

    干し柿

健康効果
高いとして、
研究され続けている
栄養素ですぞ!

1日の摂取推奨量:
30歳〜49歳
男性 21g以上 / 女性 18g以上

※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より

食物繊維の性質と働き

食物繊維は炭水化物から糖質を除いたものであり、人の消化酵素で分解されない食物中の成分です。水に溶ける水溶性食物繊維と、溶けにくい不溶性食物繊維に分けられます。
水溶性食物繊維は、腸内で水を抱え込み粘着性のゲル状成分となり胃腸内をゆっくり移動するので、お腹がすきにくく、食べすぎを防ぐ効果があります。また、糖質の吸収を穏やかにし、血糖値の急激な上昇を抑えてくれる働きがあるだけでなく、胆汁酸やコレステロールを吸着し体外に排泄します。大腸内で発酵・分解されると、ビフィズス菌などが増えて腸内環境がよくなり、整腸効果があります。これらのことから脂質異常症や糖尿病の予防が期待されています。

不溶性食物繊維は胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ便の量を増やすとともに腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、腸内に発生した有害物質や便通を促進します。また、腸の働きへの刺激は水溶性食物繊維より発酵性は低いものの、同じく腸内環境を整える整腸効果があります。穀物類やきのこ、根菜といったよく噛まなくてはいけない食品に含まれるため、咀嚼回数増加による満腹感から食べ過ぎを防いだり、顎の発育を促進することで歯並びをよくするといった特性もあります。

免疫機能を高める“腸管免疫”のカギ

私たちの腸内には、1000種類以上、約100兆個の腸内細菌が種類ごとにグループを作って生息しており、顕微鏡で腸の中をのぞくと「お花畑(フローラ)」のように見えることから、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。
食物繊維は、腸内フローラを形成する菌のうち、体によい働きをする「善玉菌」のエサとなって増殖を助けます。腸内環境の改善は、全身の免疫機能の向上にもつながると考えられており、食物繊維の重要性が高まっています。

摂取のポイント

食物繊維の上手な取り方

食物繊維は穀物、野菜類、海藻類、豆類、きのこ類、果実、甲殻類(エビやカニ)の殻類に含まれています。食物繊維を多く摂取するには調理法を一工夫してみましょう。野菜からたくさん摂りたいのであれば、生よりもゆでたり煮たりと、火を入れた調理のほうがかさが減ってたっぷり食べられます。切り干し大根、干しイチジクなど、生より乾物の方が食物繊維量の多い食品もあります。玄米や胚芽米は白米よりも食物繊維量が多めです。精製度の低い穀類や麦が苦手な方は、ごはんに海藻や豆、昆布を混ぜたりする、麺類の具に野菜やきのこをたっぷり入れるのも工夫の一つ。全粒粉で作られたパンやパスタならより食物繊維を摂取することができます。食物繊維は多くの種類に分類されるので、さまざまな食品を摂取するようにしましょう。

摂取の注意点

摂取不足

近年の日本人は、食生活の変化によってすべての年代で食物繊維の摂取不足が指摘されています。食物繊維不足により腸内に有害物質が作られ、その有害物質が長く体内に留まることによって腸内環境が悪化し、大腸がんの発症リスクを高めるとも考えられています。便秘や痔も心配されますので、不足のないよう積極的に摂取しましょう。

過剰摂取

食物繊維の過剰摂取は軟便、下痢などを起こす場合があります。またカルシウムや鉄、亜鉛などのミネラルの吸収阻害のおそれもあります。しかし、現代の食生活では不足傾向にあり、目標量以上に摂取しても過剰症のリスクはありません。

妊娠中、授乳中の方へ

非妊娠・非授乳中と異なる量の食物繊維を摂取する必要はありませんが、妊娠中には便秘になりやすいため、普段以上に積極的な摂取を心がけましょう。