大塚製薬株式会社

医療関連事業
2017年12月25日

iPS細胞由来の血小板製剤の事業化を目指す
株式会社メガカリオンへの出資を決定

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:樋口達夫、以下「大塚製薬」)と株式会社大塚製薬工場(本社:徳島県鳴門市、代表取締役社長:小笠原信一、以下「大塚製薬工場」)は、iPS細胞から血小板をつくる技術を臨床応用し、その事業化を目指す株式会社メガカリオン(本社:京都市、代表取締役社長:三輪玄二郎、以下「メガカリオン」)の事業進捗にともなう第三者割当増資を引き受け、両社併せて10億円の出資を行うことを決定しました。今回の第三者割当増資は、株式会社産業革新機構(本社:東京都、代表取締役社長:勝又幹英)をはじめとする他株主も引受を決定しており、これらの出資をもとに、メガカリオンは、iPS細胞由来の血小板製剤の早期事業化を目指します。

血小板をはじめとする血液製剤による輸血医療は、最も基本的な治療手段、医療インフラの一つですが、血液製剤の製造に要する輸血用血液は全て献血によって賄われているのが現状です。中でも献血血小板製剤は、有効期間が採血日を含め4日間と定められていることから、医療現場では需給調整に細心の注意が払われています。また、今後は少子高齢化が一層進むことで、献血由来の血液製剤の不足が懸念されています。

メガカリオンは、京都大学iPS細胞研究所 江藤浩之副所長らのiPS細胞を用いた独自の血小板産生技術ならびに日本企業数社との共同研究等によって「ヒトiPS細胞由来血小板製剤」について臨床試験用製剤の製法を確立しており、医療現場での事業化に向けて量産体制の構築を目指しています。

大塚製薬は、抗血小板剤「プレタール®」を創製するなど血小板研究に関する技術・経験を有し、最近では京都大学iPS細胞研究所 江藤副所長らとの共同研究により再生細胞医療の研究基盤構築にも着手しています。また、輸液の研究開発をけん引する大塚製薬工場は、メガカリオンと、精製したiPS血小板を保護する保存液の共同研究契約を締結しています。

今回の両社の投資は、自らも研究に取り組む再生医療分野においてメガカリオンの開発を支援することで、iPS細胞を用いた再生医療分野における我が国の国際競争力の一層の強化と技術の応用範囲の拡大に寄与することを目的としています。

iPS細胞について

iPS細胞(induced pluripotent stem cells:人工多能性幹細胞)とは、体細胞へ数種類の遺伝子を導入することにより、分化万能性と、分裂増殖を経てもそれを維持できる自己複製能を持たせた細胞のことをいいます。2006年、山中伸弥教授率いる京都大学の研究グループによって、マウスの線維芽細胞(皮膚細胞)から初めて作られました。分化万能性を持った細胞は理論上、体を構成するすべての組織や臓器に分化誘導することが可能であり、再生医療の実現に向けて、世界中の注目が集まっています。

株式会社メガカリオンについて

東京大学医科学研究所の中内啓光教授、京都大学iPS細胞研究所の江藤浩之副所長らの開発したヒトiPS細胞由来の巨核球を不死化・凍結保存する技術の周辺知財を保有しており、ヒトiPS細胞から誘導した巨核球が産生する血小板の臨床応用を目指して2011年9月に設立されました。我が国初のiPS細胞を用いた再生医療の臨床応用および事業化を加速し、計画的安定供給が可能で、感染等のリスクを排した、ヒトiPS細胞由来血小板製剤を世界の医療現場へ提供することを目指しています。