〜注目の栄養素を深堀り!〜

研究室

中高齢者が特に注意すべき様々な疾患に関与!
ビタミンB群の不足による
高ホモシステイン血症」のリスクとは

今、改めて注目される
ビタミンB12
その驚きの効果とは!?

ホモシステインとは

ホモシステインは必須アミノ酸であるメチオニンの代謝副産物として生成されるアミノ酸です。メチオニンは肝機能の調整を始めとしたさまざまな生体機能に関与しています。このメチオニンの代謝に必要となるのがビタミン B12・葉酸またはビタミン B6で、欠乏するとホモシステインからメチオニンの変換が停滞し、ホモシステインが細胞内から血液中に移行して蓄積し動脈硬化を引き起こすため、心筋梗塞などの心臓疾患や脳卒中のリスクが高まります。
血中のホモシステイン濃度が15μmol/l以上になった状態を「高ホモシステイン血症」と呼び、さまざまな疾患との関連が報告されています。

ビタミンB12不足も一因!
ホモシステイン血症
動脈硬化による
脳卒中、
心血管疾患
リスクを高める

血中ホモシステイン値と
循環器系疾患の死亡リスク

血中ホモシステイン値と循環器系疾患の死亡リスク

近年、血中のホモシステインが増加するために動脈硬化性疾患が発症すると考えられ注目を集めています。日本において、40~79歳39,242人の対象者を1988年から1999年までの約10年追跡調査したところ、310人が脳卒中、134人が心血管疾患で亡くなりました。血中ホモシステイン値を対象者が均等になるように4群に分け死亡率を比較したところ、値が最も低い群に比べ、高い群は4.4倍の死亡率でした。この研究により、中高齢者の高ホモシステイン血症が動脈硬化による脳卒中や心血管疾患のリスクとなることが明らかになりました。

出典: JACC Study「血清ホモシステインと循環器疾患死亡との関連」
要注意! 要注意!

高ホモシステイン血症」は
アルツハイマー病
リスクを高める

高ホモシステイン血症は脳卒中や心血管疾患の危険因子であるという研究が進むなかで、脳卒中や心血管疾患の既往歴を有する人はアルツハイマー病の発症率が高いというデータから、ホモシステインとアルツハイマー病の関連についても研究が行われています。アメリカで認知症を発症していない平均年齢 76 歳の 1092 人の男女を対象に 8 年間にわたり血中のホモシステイン値とアルツハイマー病の相関関係を調査した結果、1L 当たり 5μmol の血中ホモシステイン値の増加は、アルツハイマー病のリスクを40%増加させることがわかりました。また、最も血中ホモシステイン値が高い群では、最も低い群と比較して、認知症またはアルツハイマー病の発症リスクが 2 倍になり、血中ホモシステインが持続的に上昇している対象者は認知症のリスクが最も高いという結果が出ました。さらに、8 年前に測定された血中ホモシステイン値がその後の認知症およびアルツハイマー病の発症と強く相関していることから、認知症およびアルツハイマー病の発症よりもかなり前にホモシステインの増加が生じている可能性が示されました。以上の結果から、高ホモシステイン血症がアルツハイマー病の発症に関与しており、またアルツハイマー病の指標として血中ホモシステインの測定が有用であることが示唆されました。

出典:
Sudha Seshadri et al, Plasma Homocysteine as a Risk Factor for Dementia and Alzheimer's Disease, February 14, 2002 N Engl J Med 2002; 346:476-483