〜注目の栄養素を深堀り!〜

研究室

日本人の食事摂取基準
(2020年版)で
摂取目安量
改定されたビタミンD。
欠乏および不足
引き起こすリスクとは?

ビタミンD
その驚きの効果とは!?

ビタミンDとは

ビタミンDはカルシウムの吸収促進、骨の成長促進、血中カルシウム濃度を調節する重要な役割のある栄養素で、健康な骨を維持するために欠かせない、脂溶性のビタミンです。

ビタミンDの基本情報はこちら

「日本人の食事摂取基準
(2020年版)」では
ビタミンD摂取目安量改定

「日本人の食事摂取基準」は、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、健康増進法に基づいて、厚生労働省がエネルギー及び各種栄養素の摂取量の基準を定め、5年ごとに改定しています。2020年版では、生活習慣病の予防を目的とした従来の摂取基準に加え、重症化も考慮した目標量の設定が検討された結果、18歳以上の男女ともに5.5㎍/日から8.5㎍/日に変更されました。一方、厚生労働省の「平成30年国民健康・栄養調査結果の概要」によると1歳以上、男女計(総数6926人)、1人1日あたりの摂取平均値が6.6㎍であることから、日本人のビタミンD摂取不足が懸念されます。

出典:厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版)/平成30年国民健康・栄養調査結果の概要

ビタミンDの欠乏不足

血清25(OH)D値と
ビタミンD10充足度の関係(概念図)

血清25(OH)D値とビタミンD10充足度の関係(概念図)
出典:「日本内科学会雑誌_2007年96巻4号」

ビタミンDがどれくらい体内に存在しているかを判断する最適な指標は、血清25ヒドロキシビタミンD濃度だとされています。血清25ヒドロキシビタミン濃度が食事摂取基準の値以下の状態を「ビタミンDが欠乏している」と判定。くる病や骨軟化症などの病気を発症する原因になると考えられます。
一方、血清25ヒドロキシビタミンD濃度は基準値内であっても、低い水準の状態を「ビタミンDが不足している」と判定します。この様な場合では、高い確率で副甲状腺ホルモン分泌の上昇や骨代謝回転の増加、転倒頻度の増加などを引き起こすことが研究結果により明らかになりました。つまり、ビタミンD不足状態では病気の直接となる要因ではないものの、無症状のまま骨の健康や筋肉また免疫関係へ影響し、ある程度の期間を経て病気のリスクを高めるので、早い段階で改善に取り組むことが望ましいのです。

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女性必見!
乳児の体内ビタミンD量
母親のビタミンD量によって決まる

通常の妊娠期間内に生まれ、既往症の無い290人の乳幼児に対し月齢ごとにビタミンD量を測定した結果、母乳で育った乳児の約50%がビタミンDの欠乏状態にあるとされ、食事を始めた6~48ヶ月の乳児及び幼児も14.6%がビタミンD欠乏状態となっていました。乳児のビタミンDの状態に影響を与える大きな要因は母乳です。母乳は、食物や粉ミルクが導入されるまでは乳児にとって唯一のビタミンD摂取源です。授乳中の母親はもちろん、妊婦もビタミンDの補給が大切です。

出典:
Journal of Nutritional Science and Vitaminology 2018 Volume 64 Issue 2 Pages 99-105

ビタミンD濃度低い妊婦ほど、
さまざまな健康リスク高まる

The British MeDical Journal にて掲載された報告では、カルガリー大学にて1,100人を対象にした31個の研究データを分析したところ、ビタミンD濃度が低い妊婦は妊娠糖尿病や子癇前症の発症リスクが高く、小さい赤ちゃんを産む可能性が高いことを確認しました。さらに、細菌性膣炎のリスクの上昇もわかっています。特に菜食主義者や日焼け防止のために紫外線対策をしている女性は、妊娠中のビタミンD欠乏、または不足になりやすい事実も明らかになっています。

出典:BMJ 2013; 346:f1169