栄養教養学部 / エネルギー源学科

炭水化物

炭水化物を多く含む食品

  • ご飯

    ご飯

  • パン

    パン

  • スパゲッティ

    スパゲッティ

  • うどん

    うどん

  • そば

    そば

  • 玄米

    玄米

  • さつまいも

    さつまいも

  • じゃがいも

    じゃがいも

摂りすぎ
だけでなく、
不足にも気をつけて
ほしいものですな

1日の摂取目標量:
30歳〜49歳
身体活動レベルふつう
1日の摂取推奨量:男性女性ともに
1日のエネルギー量の50~60%

※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より
※一日に必要なエネルギー量は性別・年齢・身体活動量によって異なります
例)1日の活動量がデスクワーク中心の仕事をしていると仮定した場合、30〜49歳の女性の場合で推定エネルギー必要量は1日2050kcalです。
その60%は1230kcal。炭水化物は1g=4kcalなので、1230kcal÷4kcal= 307.5gが炭水化物の摂取目標量となります。

炭水化物の性質と働き

炭水化物は、脂質、タンパク質とともに3大栄養素のひとつで、脳や体を動かすといった主にエネルギー源として利用される大切な栄養素です。体内の消化酵素で消化できる「糖質」と、消化されない「食物繊維」に分けられます。

炭水化物の分類

炭水化物

糖質

糖類

単糖類 ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトース
二糖類 ショ糖(スクロース、砂糖)、麦芽糖(マルトース)、乳糖(ラクトース)
糖アルコール ソルビトール、マンニトールなど
小糖類 単糖が3~9個結合した糖質 オリゴ糖など
多糖類 単糖が多数結合した糖質 デキストリン、でん粉、グリコーゲンなど

食物
繊維

水溶性食物繊維 ポリデキストロース、難消化性デキストリン、ペクチンなど
不溶性食物繊維 セルロース、キチン、リグニンなど

摂取した糖質は腸から体内に吸収されて、主に脳や筋肉など体の細胞が活動するためのエネルギー源となります。エネルギーとして消費されなかった余った糖質は脂肪として体内に蓄えられます。

筋肉量を維持するためにも炭水化物は大切

低糖質、炭水化物抜きダイエットなど、炭水化物を極端に減らして筋トレをし、筋肉量を増やそうとするダイエットやトレーニングが流行していますが、エネルギー不足の状態で筋トレをすると筋肉の分解が促進され、筋肉量が減少し、結果的に代謝が低下して期待するダイエットの効果が得られないことがあります。
スポーツによる疲労を防ぐためには、1時間あたり30~60gの糖質摂取が望ましいといわれています。素早くエネルギーになる特性も生かし、運動時の疲労を防ぐためにも糖質は上手に摂り入れるべき栄養素です。ランニングやマラソンなど、持久力が必要なスポーツをする場合、エネルギーとなるグリコーゲンを筋肉に蓄える「グリコーゲンローディング」という方法が広く知られています。これは、試合3日前から高糖質食(エネルギーの70%程度)に切り替え運動量を減らし、体内グリコーゲンを通常より多く維持することを目的とした持久系競技や試合時間が長い競技に有効です。筋中のグリコーゲンは体タンパク質の分解を抑えるので、エネルギー源として利用されるタンパク質を節約するためには糖質をしっかりと摂取しなくてはなりません。

低GI食品の効果

GIとはグリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、その食品を食べた時に血糖値がどのくらい上がるかを、ブドウ糖を基準(100)として相対的な数値で表したもののこと。低GI食品はその数値が55以下の食品が該当し、食後の血糖値が上がりにくいという特徴があります。
炭水化物は摂りすぎると血糖値が通常より高くなるため、血糖値を下げようとして膵臓よりインスリン(糖の代謝を促進し血糖値を下げる働きを持つホルモン)がいつもより多く分泌されます。インスリンにはエネルギーを体に溜め込む性質があり、余ったブドウ糖をグリコーゲンや中性脂肪に合成し蓄えてしまいます。肥満や糖尿病の予防はもちろん、健康を維持する上で血糖値の急上昇を抑える低GI食品を取り入れてみるとよいでしょう。

摂取のポイント

糖質の代謝に関わるビタミンB1と一緒に摂るのがおすすめです。ビタミンB1が不足していると代謝がスムーズに行われず、余分な糖質は脂肪として蓄積されてしまいます。例えば主食の選択で白米よりは玄米、全粒粉パンやライ麦パン、雑穀を多く含んだパンなどを選ぶことにより、ビタミンB1も同時に摂ることができ効率的です。
また、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準2020年版」のエネルギー産生栄養素バランスにおいて、炭水化物のエネルギー比率は、性別を問わず全ての年齢で50~65%が目標とされています。炭水化物の摂取量の目安として意識すると良いでしょう。

摂取の注意点

摂取不足

炭水化物は不足が続くと脳の働きが低下し、判断力の低下や注意力の低下、疲労感につながります。また、不足すると体内に存在するタンパク質や体脂肪が分解されてエネルギー源として充当されます。これは筋肉を減少させてしまうことにもつながるので、過度な糖質制限には注意が必要です。

過剰摂取

炭水化物を摂りすぎると肥満や生活習慣病につながるため、過剰な摂取は控えるようにしましょう。
ブドウ糖:過剰にとったブドウ糖は脂肪組織に運ばれ体脂肪として蓄えられるため肥満の原因となります
果糖:肝臓で中性脂肪に合成され高中性脂肪血症となり肥満をきたすおそれがあります
ショ糖:歯を溶かす有機酸の産生により虫歯の原因となります

妊娠中、授乳中の方へ

非妊娠・非授乳中と異なる量の炭水化物を摂取する必要はありません。