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眠れない夜に
とるべき行動、
とってはいけない行動

ベッドに入って、もう随分経つのに眠れない。目を閉じると考え事が頭に渦巻いてきて、どんどん目が冴えてしまう…。もしかすると、今このページを読んでくださっている方の中にも、なかなか寝つけずに思わずスマホで「眠れない」、「寝る方法」と検索してしまった、という方がいらっしゃるかもしれません。

入浴で細胞修復

身もふたもない話ですが、頑張って起きることはある程度可能でも、頑張って眠ることはできないといわれています。眠ろうとする意気込みによって覚醒が高まってしまい、睡眠モードに移行できないためです。眠りたい時間に身体を睡眠モードにしてスムーズに眠りにつくには、体内リズムを整えるための日々の積み重ねが必要です。

(詳しくは、寝つきを良くする、快眠を導く「生活のススメ5選」)。

「そんなこと言われても、今どうにかして眠りたい!」という時のために、眠れない夜の対策をご紹介します。

焦りは禁物

なかなか寝付けないときに「眠ろう、ねむろう。」と焦るほど、頭は冴えてしまいます。覚醒から睡眠に移行するためには自律神経系が交感神経優位から副交感神経優位に切り替わる必要がありますが、「眠らなければ」と考えていると緊張が高まり、交感神経が優位な状態へと進むのです。

こうなると、ますます眠れなくなるという悪循環に陥ってしまいます。眠るために大切なのは、とにかくリラックスをすること。緊張を和らげるリラックスの方法をご紹介します。

なかなか寝付けない

リラックスの方法

準備:快適な空間の確保

まずは、良い睡眠のための環境づくりをしましょう。温度や湿度は寝付きに影響します。寒すぎると体温を保とうとして血管が収縮し、逆に、暑くて湿度が高いと皮膚から熱が逃げていかず、どちらの場合も身体内部の温度が効率的に下がらないために寝付きが悪くなります(※1)。乾燥に気を付けながら、エアコンを上手に使いましょう。また、部屋の明かりは自分が不安を感じない程度の暗さまで落とします。

環境を整えたら、いつでも寝られるようにベッドに入り、以下でご紹介するリラックス法を試してみてください。

リラックスのツボ
~百会~

頭頂部にある百会と呼ばれるツボは、心を落ち着かせるのに役立ちます。

両手の4本の指先や手のひらを使い、息を吐きながら5秒くらいかけて、気持ちよいと感じる程度にやさしくゆっくりと押してみましょう。押した後は軽く息を吸います。これを数回繰り返します。

百会のマッサージ

リラックスの姿勢

ベッドの中で仰向けになります。脚を肩幅程度に開き、あごを引きます。肩の力を抜いて、両腕は体から少し離した位置で、だらんとのばします。手のひらを上に向け胸を開き、背中がベッドに沈み込んでいくようなイメージで。全身の力を抜きます。

リラックスの脱力法
~筋弛緩法~

リラックスの姿勢になったら、さらに身体の緊張をほぐしていきましょう。身体に力を入れて筋肉を緊張させた後、脱力して筋肉を緩めることでリラックスする「筋弛緩法」という方法があります(※2)。

まずは手のリラックス。手をグーに握って力を入れます。その状態を5秒くらいキープした後、脱力します。脱力したときの力が抜ける感覚を味わいます。

次に足のリラックス。足首をぎゅーっと曲げてアキレス腱を伸ばします。5秒くらいキープした後、脱力します。脱力感を味わってください。

手のリラックス
足のリラックス

リラックスの呼吸法
~腹式呼吸~

深い呼吸は身体をリラックスさせます。仰向けのリラックスの姿勢で、腹式呼吸をしてみましょう。まず口から大きく息を吐きます。

このとき、お腹がへこむのを意識します。ゆっくりと息を吐ききったら、次に鼻から息を吸います。このとき、お腹が膨らむのを感じてください。

そして、吸うときの倍くらいの時間をかけて、またゆっくりと息を吐きます。口から息を吐くのと一緒にイヤなことや頭に浮かぶことを全て吐き出して頭を空っぽにするつもりで、深い呼吸を繰り返します。

腹式呼吸

それでも眠れないときは

リラックスしようとしたけれど、どうしても眠れない、というときは、一度起き上がってベッドを離れてしまいましょう。暗いところで目を閉じて横になっていると、ネガティブな思考が頭を巡りやすくなる傾向があります(※3)。

また、ベッドに入っても眠れない経験を繰り返すことで、脳が「ベッド=眠れない場所」と記憶してしまい、眠れないことが慢性化してしまう恐れがあります。「とりあえず横になる」のはやめましょう。

気持ちを切り替えていったんベッドを出たら、身体を興奮させないよう穏やかに過ごしましょう。退屈な本を読むのもおすすめです。気になっていたことがあるならば、片付けてしまえば安心して眠れるかもしれません。スマホやタバコ、カフェインには目覚まし作用があるので避けましょう。アルコールも良くありません。アルコールには入眠効果がありますが、眠りが浅くなり途中で目が覚めやすくなります。また、習慣化してしまうと入眠効果が弱まるため、寝付くために必要なアルコール量がどんどん増えてしまいます。

まずはリラックス、そして生活リズムの見直しを

眠りたいのに眠りたい、というのは苦しいものです。

「早く眠らなければ」と思い詰めるのは逆効果ですので、「眠れるまで待ってみよう」、といった気持ちでリラックスしましょう。

そして、いつでも希望の時間にスムーズに入眠できるよう、日頃から生活リズムを整えることが大切です。

生活リズムを整える
  • 参考
  • 健康づくりのための睡眠指針 2014, 厚生労働省健康局, 2014, 9
  • 睡眠障害の対応と治療ガイドライン 第2版, 睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会編, じほう, 2012, 141
  • 睡眠のはなし 快眠のためのヒント, 内山真著, 中央公論新社, 2014, 121-123