08

アスパラガス由来成分睡眠リズムを整えよう!

現代社会では、体内リズムの乱れが原因で思うように眠れずに困っている人もたくさんいると考えられます。
生活習慣を整える努力は欠かせませんが、食品成分で“平日と休日の就寝・起床リズムのズレ”に起因する睡眠問題を軽減することはできないものか……。
研究の結果、有望な成分がアスパラガスからみつかりました。

栄養豊富なアスパラガス

アスパラガスの茎に
有効成分が!

栄養豊富なアスパラガスですから、アスパラガスを加熱・酵素処理すると、睡眠問題の解決に役立つ「アスパラガス由来プロリン-3-アルキルジケトピペラジン(シクロ(L-ロイシル-L-プロリル)、シクロ(L-フェニルアラニル-L-プロリル)、シクロ(L-チロシル-L-プロリル)として)」というペプチド、通称「アスパラプロリン」が生じることが明らかになりました。

アスパラガス

夜型の人が1週間で効果実感

アスパラプロリンで行った2つの臨床試験の結果を紹介します。

まず、体内リズムの乱れで睡眠問題を抱えがちと考えられる、「夜型の人」を試験の被験者にしました。さまざまな生理現象と同様、睡眠・覚醒パターンにも個人差があり、大きく分けると朝型、中間型、夜型の3つがあります。

朝はなかなか起きられず、午前中は調子が上がらないまますごし、夕方から夜間は元気、遅い時間帯まで眠気を感じない夜型の人は、不調の訴えが多く、生活の不規則さを実感しています(※29)。

そのような夜型の人たちに、アスパラプロリンの摂取を続けてもらったところ、1週間後には睡眠の質を自己評価する「アテネ不眠尺度(AIS)」のスコアが有意に改善しました(図7)。そしてこの効果は2週間後も維持されました。

  • 民族衛生, 1994, 60(5), 266-73.

図7夜型生活者の睡眠の質が改善

アスパラプロリンによる睡眠の質向上を示すグラフ

「朝型-夜型質問紙(MEQ)」で明らかな夜型、ほぼ夜型に該当する健康な男性17人(平均35.2歳)が対象。アスパラプロリン入りのカプセルか、偽のカプセル(対照食品)を、1日1回、夕食後から就寝までの間に摂取した場合を比較。アスパラプロリンの1日量は55μg(酵素処理アスパラガス抽出物「ETAS®」として150㎎)。睡眠の質を自己評価する「アテネ不眠尺度(AIS)」の経時変化を見ると、摂取1週間後に有意な差が見られた。

グラフのデータは最小二乗平均値±標準誤差(摂取前については調整平均値±標準誤差)で示した。
*:クロスオーバーデザインを考慮した分散分析による解析で、摂取1週間後において対照食品に対して有意に改善

(Jpn Pharmacol Ther. 2016;44(6):887-93.)

また、日中の覚醒度や作業能力の指標となる検査、「Psychomotor Vigilance Task(PVT)」を摂取開始の1週間後、2週間後の昼食後に行うと、2週間後のPVTの成績が有意によくなりました(P=0.0072)。このことから、アスパラプロリンには日中の仕事のパフォーマンスをよくする作用も期待できそうです。

休日明けの目覚めをすっきり

次に、週末の遅寝・遅起きの習慣で体内リズムが乱れていると考えられる人にアスパラプロリンを2週間摂取してもらい、その効果を調べました。被験者には腕時計型の活動量計を装着してもらい、起床時刻や入眠時刻を詳細に調べたところ、アスパラプロリンの摂取によって、休日の起床時刻が早まることが確認できました(図8)。

図8ソーシャル・ジェットラグがある人の休日の起床リズムを整えた

アスパラプロリンと休日の起床リズム改善の相関関係

土日が休日の日勤者で、「ミュンヘンクロノタイプ質問紙(MCTQ)」でソーシャル・ジェットラグがあると判定された健康な男女44人(平均37.9歳)が対象。ソーシャル・ジェットラグ時間の平均は95.4分。アスパラプロリン55μg(酵素処理アスパラガス抽出物「ETAS®」として150㎎)を含む顆粒か、偽の顆粒(対照食品)を、1日1回、夕食後から就寝までの間に摂取した場合を比較。腕に装着した活動量計のデータから入眠時刻と起床時刻を算出した。試験前1週間に含まれる休日(摂取前)と、摂取から2週目の1週間(摂取後)に含まれる休日で比較すると、摂取後の休日の起床時刻が、アスパラプロリンの摂取によって有意に早くなった。入眠時刻には差がなかった。

グラフのデータは最小二乗平均値(摂取前については調整平均値)で示した。
*:被験食品摂取前の摂取前値で調整した混合モデル(Cross-over type)を用いた解析にて、群間の差を比較した。

(Jpn Pharmacol Ther. 2016;44(5):743-50.)

またアスパラプロリンを摂取することで休日明けの寝覚め感や睡眠の質も改善しました(図9)。この試験では、「SF-36」という評価法を用いて休日明けの健康関連の生活の質(QOL)も調べていますが、気分を評価する「心の健康」が有意に改善しています(P=0.016)。

図9ソーシャル・ジェットラグがある人の寝覚め感と睡眠の質が改善

寝覚め感

アスパラプロリンによる寝覚め改善を示すグラフ

睡眠の質

アスパラプロリンによる睡眠の質改善を示すグラフ

図8と同じ試験。月曜の起床時、「セントマリー病院睡眠調査票(SMH)」で自己評価した寝覚め、「Visual Analogue Scale(VAS)」で自己評価した睡眠の質は、どちらも有意に改善した。

グラフのデータは最小二乗平均値±標準誤差(摂取前については調整平均値±標準誤差)で示した。
*:被験食品摂取前の摂取前値で調整した混合モデル(Cross-over type)を用いた解析にて、群間の差を比較した。

(Jpn Pharmacol Ther. 2016;44(5):743-50.)

これらの結果から、アスパラプロリンはソーシャル・ジェットラグによって生じる休日明けの不調の解消に役立ち、朝のすっきりとした目覚めを実現することが示されました。

また、これら一連の試験では、アスパラプロリンの摂取に関連する体調不良などの有害事象は認められませんでした。12週間の長期摂取試験や5倍量の過剰摂取試験においても、安全性に問題がないことを確認しています(大塚製薬社内データ)。

アスパラプロリンは特別な加工処理をすることで初めて得られる成分ですので、アスパラガスをたくさん食べたからと言ってこれらの効果が得られるものではありません。アスパラプロリンを摂取したい場合はアスパラプロリンを含んだサプリメントなどがおすすめです。