糖質だけでは不十分!脳を活性化するバランス朝食

食事の内容が脳と体のパフォーマンスに影響

おにぎりだけでは何も食べないのと同じ!?

朝食を食べる場合と食べない場合、また、何を食べるかによって、体にどんな影響があるのかを、体温、疲労感、知的作業能力について調べました。

洋風パン食を食べた場合、栄養調整食品(固形タイプ)を食べた場合、おにぎりを食べた場合、何も食べなかった場合の、4つの食事タイプに分け、試験を実施しました。
対象とした人は普段から朝食を食べている健康な成人男性20名です。
試験は7日間おきに計4回行いました。

概要

目的 朝食欠食および朝食タイプが体温、疲労感等の自覚症状、および知的作業能力にどのような影響を及ぼすか検討する。
対象 朝食の欠食習慣のない健康な成人男性 20名
平均年齢:32.7±3.5歳、BMI:22.2±2.5(mean±SD)
試験デザイン 非盲検化クロスオーバー試験(ランダム割付)
  • 被験者(グループ)に、時期を変えて2つの試験を実施し、その結果を集計する方法。
被験物
洋風パン食、栄養調整食品(固形タイプ)、おにぎり、無摂取(水のみ)
  • イラストはイメージです。

結果

体温変化

まずは、食事のタイプ別に体温がどのように変化するのかを調べました。試験は各グループ同時に、午前8時に試験食の朝食を食べてスタート。
いずれのグループも、朝食を食べる直前の体温はほぼ同じでしたが、時間の経過とともに体温が上昇しました。
洋風パン食のグループは、朝食を食べていないグループやおにぎりのグループに比べて体温上昇率が大きく、栄養調整食品(固形タイプ)のグループも、洋風パン食と同じように体温が上昇していました。

体温の変化 摂取前からの舌下体温の変化値
洋風パン食 栄養調整食品(固形タイプ) おにぎり 無摂取(水のみ)イラストはイメージです。
結果
  • 栄養調整食品(固形タイプ)のグループも、洋風パン食のグループと同じように体温が上昇。
疲労感

時間経過とともに疲労感がどのように変化するかについて、VAS法を用いて調べました。
朝食を食べていないグループでは、疲労感は時間の経過とともに増加しました。
おにぎりのグループの疲労感が低かったのは8時に食べ始めてから30分後、8時30分ごろ(食べた直後)のみでした。
洋風パン食のグループでは8時30分ごろ(食べた直後)から疲労感は少しずつ増加しますが、おにぎりのグループに比べ、ほとんどの時間帯で疲労感は低くなりました。
栄養調整食品(固形タイプ)のグループでは洋風パン食のグループと同様の傾向がみられ、疲労感が低くなっていました。

  • VAS(Visual analog scale)法とは
    VAS法とは、両端に対照的な項目を記載した10cmの横線に、被験者が感じ方の程度に応じて縦線を書き込み、左端からの長さを測定することで、主観を数値化する方法です。そのためグラフの縦軸の単位はcmで表しています。
疲労感の変化
洋風パン食 栄養調整食品(固形タイプ) おにぎり 無摂取(水のみ)イラストはイメージです。
結果
  • 洋風パン食のグループは、朝食を食べていないグループに比べて疲労感が軽減。
  • 栄養調整食品(固形タイプ)のグループも、洋風パン食のグループと同じように疲労感が軽減。
集中度

知的作業への集中度についても、VAS法で調べました。
朝食を食べていないグループは試験を開始した8時から、10時30分まで集中力が低下し続け、その後わずかに上昇しましたが、すべての時間でもっとも集中力が低くなっていました。
洋風パン食のグループでは朝食を食べてから30分間は非常に集中できていましたが、その後、少しずつ低下していきました。しかし、全体を通じて集中力が高く維持されました。
栄養調整食品(固形タイプ)のグループも洋風パン食のグループと同じく、すべての時点で高い集中力を維持することができました。

  • VAS(Visual analog scale)法とは
    VAS法とは、両端に対照的な項目を記載した10cmの横線に、被験者が感じ方の程度に応じて縦線を書き込み、左端からの長さを測定することで、主観を数値化する方法です。そのためグラフの縦軸の単位はcmで表しています。
集中度の変化
洋風パン食 栄養調整食品(固形タイプ) おにぎり 無摂取(水のみ)イラストはイメージです。
結果
  • 洋風パン食のグループは、朝食を食べていないグループに比べ高い集中力を維持。
  • 栄養調整食品(固形タイプ)のグループも、洋風パン食のグループと同じように高い集中力を維持。
暗算作業量

暗算作業の能率が、時間の経過とともにどのように変化するかを調べました。

  • 【作業効率検査】 内田クレぺリン検査用紙を用い、一桁の足し算を1分間ずつ3回、1分間隔で実施

朝食を食べていないグループとおにぎりのグループでは試験開始から終了まで大きな変化はみられませんでした。
一方、洋風パン食のグループと栄養調整食品(固形タイプ)のグループでは、食べた後に暗算作業の能率が上がり、とくに栄養調整食品(固形タイプ)のグループでは、試験後半の10時15分過ぎに、暗算作業量が増えていました。

暗算作業量の変化(摂取前からの暗算作業量の変化値)
洋風パン食 栄養調整食品(固形タイプ) おにぎり 無摂取(水のみ)イラストはイメージです。
結果
  • 洋風パン食のグループと栄養調整食品(固形タイプ)のグループは、朝食を食べる前に比べ暗算作業の能率が向上。
    とくに試験の後半では朝食を食べていないグループに比べ暗算作業量が増加。
試験の結果
‐朝食欠食に見られる弊害‐

朝食を食べないと、洋風パン食の場合に比べ、

  • 日中に体温が上がりにくい。
  • 疲れやすい。
  • 集中度が低い。
  • 作業量が少ない。

栄養調整食品(固形タイプ)のグループは、洋風パン食のグループと同じような結果となり、栄養バランスの良い朝食を摂ることの重要性が示されました。