PAD:手足の変化に気をつけて。

PAD:手足の変化に気をつけて。
「PAD」をご存知ですか?末梢動脈疾患は、最近増加している「PAD」を皆様に知っていただき、患者さんに1日も早く元気になっていただくためのサイトです。
総合監修:医療法人財団順和会 山王メディカルセンター
血管外科統括部長/国際医療福祉大学教授
 重松 宏


PAD(末梢動脈疾患)について
「PAD」が動脈硬化と関係があることをご存知ですか?ここではPADがどのような病気なのかを知っていただき、原因や診断方法、さらに治療法についてご説明いたします。
PADの診断
病院ではどのような検査をするの?

第1段階:脈拍の強弱の確認

自覚症状でPADが疑われるとき、第一段階の検査として脈拍の強弱の確認を行います。機器もいらず、患者さんの苦痛もなく行え、非常に有用な検査です。
検査は、股の付け根(そけい部)、膝の裏、足首で脈を直接触れたり、聴診器で音を聞いたりすることで血流の状態を調べます。動脈に狭くなったり詰まったりした部分があると、脈が弱くなったり触れなくなったりします。動脈が狭くなっている場合は、血管雑音が聞こえることもあります。

〔表5〕 脈拍の触知で分かる病変の例
脈拍の所見 病変
そけい部で脈が触れない 骨盤内の動脈の閉塞
そけい部で血管の雑音 骨盤内の動脈の狭窄
そけい部で脈が触れても膝の裏で脈が触れない 大腿動脈の病変
脈が触れるが、冷感やしびれがあり 糖尿病性末梢神経障害や整形外科の病気の場合

第2段階:血流の検査

血行障害が疑われたら、次に、ドップラー血流計や脈波計といったという機器を用いて、足首と上腕の血圧(ABPI:足関節部最高血圧/上腕動脈最高血圧)を測定します。この検査も簡単に行え、苦痛はありません。健康な人では、足と腕の血圧とはほぼ同じですが、下肢の動脈に狭窄や閉塞があると、足の血圧が下がります。
腕の血圧と足の血圧との比(足関節圧比)を計算することにより、血行障害の診断とその重症度が判断できます。足関節圧比が0.9(90%) 以下だと何らかの閉塞性病変の存在が疑われます〔図2〕。

〔図2〕ABPIの計算方法
〔図2〕ABPIの計算方法

第3段階:医療機器による全身の検査

さらに、血管内超音波検査、サーモグラフィ、CT スキャン、MR(MRI、MR A)、動脈の造影検査、血管内視鏡などの検査をすることによって、血管の狭くなっているところや詰まっている部分、また全身の血管や血流の状態を調べていきます。

〔図3〕 ドップラー血流計による下肢動脈血流聴診
写真提供:重松 宏
〔図3〕 ドップラー血流計による下肢動脈血流聴診
PADでは、他の部分にも動脈硬化が進行している可能性が高いため、狭心症などの心臓の病気、または脳梗塞などの脳血管障害の有無を調べることも大切です。

  • 注:日本では、「閉塞性動脈硬化症(Arteriosclerosis Obliterans;ASO)」と呼ばれている疾患ですが、海外では、「末梢動脈疾患(Peripheral Arterial Disease;PAD)」という疾患名が一般的です。
    PADの日本における保険適応上の疾患名は「閉塞性動脈硬化症」または「慢性動脈閉塞症」となります。