PAD:手足の変化に気をつけて。

PAD:手足の変化に気をつけて。
「PAD」をご存知ですか?末梢動脈疾患は、最近増加している「PAD」を皆様に知っていただき、患者さんに1日も早く元気になっていただくためのサイトです。
総合監修:医療法人財団順和会 山王メディカルセンター
血管外科統括部長/国際医療福祉大学教授
 重松 宏


PAD(末梢動脈疾患)について
「PAD」が動脈硬化と関係があることをご存知ですか?ここではPADがどのような病気なのかを知っていただき、原因や診断方法、さらに治療法についてご説明いたします。
PADに関するQ&A
Q.
糖尿病があるとPADが悪化しやすい、ということですが、なぜでしょうか。
A.
糖尿病は動脈硬化を促進するのみではなく、膝から下の動脈(下腿動脈)が詰まってくることが多く、血流の迂回路(側副血行路そくふくけっこうろ)ができにくいため、足部の虚血が高度となり重症化しやすいのです。
Q.
PADは生活習慣の面から、具体的にどのように管理していけばいいのでしょうか。また、PADを予防するためにどのようなことを心がけたらいいでしょうか。
A.
一般的な健康法と同様ですが、特に禁煙を励行し、糖尿病や高血圧、高脂血症などの病気がある場合には、それらを徹底的に管理する必要があります。適度な運動を行うことも欠かせません。
Q.
父がPADです。PADの発症には家族歴がかかわっているのでしょうか。PAD患者の子どもが、PADを発症する確率はどの程度なのでしょうか。
A.
糖尿病や高脂血症、高血圧を発症しやすいという遺伝的素因は考えられますが、PADそのものが遺伝するとは考えられていません。生活習慣を含めた環境因子が重要と考えられています。
Q.
PADで薬物療法を行う場合、薬は一生のみ続けなければならないのでしょうか。
また、薬を飲んでいても徐々に悪化するのでしょうか。
A.
PADは手足の部分的な病気にとどまらず、全身の動脈に動脈硬化症を起こしている場合が少なくありません。そのため、虚血性心疾患や脳血管障害などの合併症を防ぐためには薬を飲み続ける必要があります。病気が進行する危険因子として、加齢や男性であることも重要な因子となっており、動脈硬化の進行はある程度やむを得ないかもしれません。血行が悪くなる状態を悪化させないために、運動をして血管の迂回路(側副血行路そくふくけっこうろ)を発達させ、また足部の感染(水虫など)や外傷を避ける注意が必要です。
Q.
高齢で、糖尿病や高血圧などさまざまな持病があり、いくつかの薬を飲んでいます。すでに常用している薬があっても、PADの薬は服用できますか。
A.
糖尿病や高血圧、高脂血症に対する治療薬と抗血小板剤や血管拡張薬などが相互作用を示すことは少ないですが、医師や薬剤師に相談することは必要です。
Q.
PADで薬物療法をする場合の副作用を教えてください。
A.
抗血小板剤では皮下出血(あざ) や血尿などの出血傾向、種類により異なりますが肝障害や胃腸障害、また血管拡張作用のあるものでは顔面の火照りや頭痛、下痢、動悸などがみられることがあります。
Q.
間欠性跛行で足が痛くなっても歩いた方がよいのですか?
A.
歩けなくなるほど痛くなる少し前に休んで、痛みが取れたらまた歩く、ということを繰り返す運動療法が効果的ですので、なるべく歩いた方がよいとされています。特に糖尿病のある患者さんは、運動が病状の管理にも役立ちます。

  • 注:日本では、「閉塞性動脈硬化症(Arteriosclerosis Obliterans;ASO)」と呼ばれている疾患ですが、海外では、「末梢動脈疾患(Peripheral Arterial Disease;PAD)」という疾患名が一般的です。
    PADの日本における保険適応上の疾患名は「閉塞性動脈硬化症」または「慢性動脈閉塞症」となります。