〜注目の栄養素を深堀り!〜

研究室

年々高まる糖尿病患者数、
フィッシュオイルが
インスリン分泌を促進

今、改めて注目される
フィッシュオイル
その驚きの効果とは!?

フィッシュオイルとは

フィッシュオイルとは、青魚などから採取される油のことで、EPA・DHAなどの脂肪酸を含みます。
イワシ、アジ、サンマ、サバ、マグロなどの青魚に多く含まれ、食事によって摂取することが出来ます。

DHA・EPAの基本情報はこちら

フィッシュオイルを
摂取している人は
糖尿病のリスク低減

糖尿病発症のオッズ比

糖尿病発症のオッズ比(男性/女性)

国立がん研究センターが報告した研究結果によると、魚介類の摂取量によって男女別に4つのグループに分類し、調査開始から5年後の糖尿病発症との関連を調べたところ、男性では摂取が多いほど糖尿病のリスクが低下する傾向が認められました。
また、男性の魚介類の摂取量が最も多い群では、最も少ない群と比べて糖尿病の発症リスクが約3割も低下したことがわかりました。
摂取した魚を脂の量で分けた場合、脂の多い魚(サケ・マス、アジ・イワシ、サンマ・サバ、ウナギ、タイ類)の摂取により糖尿病のリスクは低下する傾向がみられましたが、脂の少ない魚(カツオ・マグロの赤身、タラ・カレイ)では関連がみられませんでした。
それにより、フィッシュオイルが豊富な魚を摂取することで糖尿病リスクを低減できることが示唆されました。

出典: American Journal of Clinical Nutrition 2011 年 94巻 884-91ページ
フィッシュオイルでリスク低減! フィッシュオイルでリスク低減!

フィッシュオイルが
血糖値上昇抑えるホルモン
「GLP-1」の
分泌促進

GLP−1は血糖値が高いときのみ(体内のグルコース濃度依存的に)インスリン分泌を促して血糖値を正常に調節しています。2型糖尿病患者においてもインスリン分泌を促進し血糖値を改善すること、血糖値が正常以下に低下してしまう低血糖が起こりにくいことなどから、2型糖尿病の治療薬としても用いられています。
さらにGLP-1は中枢神経系・胃などへの作用を介した食欲抑制・胃運動抑制の効果があることが明らかになっており、ダイエット効果を期待して「やせホルモン」などとも呼ばれ注目を集めています。
近年、この血糖値調節や食欲抑制効果のある GLP-1 の分泌を、フィッシュオイルが促進することが明らかになってきました。年々高まる糖尿病疾患に対し、フィッシュオイルがGLP−1の上昇を介してインスリン分泌を促す作用は、今後さらに研究が進んでいくものと考えられます。

出典:
清野 裕「インクレチンの概念と研究の歴史」 糖尿病 52(6):415~417, 2009
山田祐一郎「インクレチン薬の現状と問題点」 日本内科学会雑誌 第 101巻 第 4 号・平成 24年 4 月 10日