結核-古くて新しい病気-

なぜ今「結核」なの? また増え始めた結核

結核「中進国」日本

結核は、かつての日本では「亡国病」といわれるほど高いまん延状況を示していました(1943年の結核死亡率は人口十万対235、2014年の約120倍)。戦後は急速に低下し、一時は「結核の流行は終わった」といわれるくらいになりました。ところが1996~1997年にかけて結核患者の発生件数、その人口対率(罹患率)が増加に転じ、その後3年間上昇を続けました。国も「結核緊急事態宣言」を出し注意を呼びかけました。その後やっと減少傾向に戻りましたが、結核は「再興感染症」として再び注目されるようになりました。現在の日本の結核罹患率は2014年人口十万あたり15(約6,000人に1人)で、他の先進諸国の数倍の高さ、米国の1970年ごろの水準にあることから、日本は「結核中進国」と位置づけられています(図1)。
図1 日本と先進国の結核罹患率

結核「再興」の要因

こうした「結核再興」の中で新たな問題点がでてきています。
集団感染の増加
若い世代で結核に対する抵抗力(免疫)をもたない人々が増えたこと、診断の遅れなどによる 集団感染・院内感染が増加しています(図2)。
図2 集団発生どこで起こっているか
重症化・重症発病例の増加
患者さんが発病するとたちまち重症化したり、重病にならないと診断がつかない場合があります。
しかも、結核と診断されて治療を始めた人の約10%の患者さんがその後結核で命を落とし、そのうちの半分以上は診断後1年以内に亡くなっています(図3)。
図3 結核患者致命率の推移
高齢者での発病増加

最近発病する患者さんの70%が60歳以上です。その最大の要因は、この年齢層の人々の多くが戦前・終戦直後に感染を受けており、さらに加齢に伴うさまざまな健康問題などで結核発病を促していることにあります。

社会的経済弱者の発病増加

ホームレスをはじめとして社会的に弱い立場にあり、健康管理の機会に恵まれない人たちの発病が目立つようになってきました。

多剤耐性結核の出現