結核-古くて新しい病気-

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あ行
【インターフェロンガンマ遊離試験】
【いんたーふぇろんがんまゆうりしけん】
ツベルクリン反応検査と同様、結核の感染を診断する技術で、血液を採ってこれに結核菌に固有の抗原を作用させ、その反応を測定します。ツベルクリン反応は結核菌の感染を受けていなくても、BCG接種を受けていると陽性になり、区別ができない問題がありますが、この検査ではその問題がないので、より正しい診断ができます。現在、クォンティフェロンとTスポットという、おなじような原理による2種類の方法が商品化され、保険適用で使われています。(「ツベルクリン反応検査」参照)
か行
【化学予防】
【かがくよぼう】
「予防内服」さらに最近は「潜在性結核感染症の治療」とも呼ばれ、結核の感染を受けた人がその後発病する可能性を小さくするために行います。日本では現在、すべての年齢にわたり、最近結核の感染を受けたことが明らかな人の他に、
  1. 未治療の結核治癒巣のある人
  2. 発病関連疾患(糖尿病など)をもち結核の感染を受けていると考えられる人
  3. HIV感染を受けている、あるいは免疫抑制治療(副腎皮質ホルモン剤治療ほか)を受けていて結核感染を受けているおそれのある人
といったリスクの高い人に対しても適用されることになりました。 治療には抗結核薬イソニアジドを6カ月投与します。発病予防効果は50〜80%とされ、感染直後の治療の場合には効果は生涯にわたるともいわれています。「潜在性結核感染症治療」参照。
【隔離】
【かくり】
まわりの人に感染のおそれのある患者さんは感染防止のため入院隔離が必要です。結核の場合には主として肺結核で塗抹陽性の患者さんを中心に排菌患者さんをその対象とし、保健所が入院を勧告します。勧告による入院は感染性の評価に基づきながら30日ごとに継続されます。最近の結核患者さんの平均在院日数は70日前後ですが、今後はさらに短縮化されると思われます。
【感染症法による結核対策の仕組み】
【かんせんしょうほうによるけっかくたいさくのしくみ】
結核対策は、1951年にできた「結核予防法」によって行われてきましたが、2007年からは他の感染症とともに「感染症法」という法律で行われることになりました。結核は二類感染症の1つとして位置づけられ、これに応じた対策(届出、病原体の取り扱い、感染防止・隔離、積極的疫学調査・健康診断など)が規定されています。また、感染症法で扱われる他の感染症とは別に、結核には慢性感染症として、患者登録、医療費公費負担、健康診断など独自の施策が別途規定されています。
【胸膜】
【きょうまく】
肺の表面と胸壁の表面を覆う膜です。胸膜は肺と胸壁の間で胸膜腔を形成して、肺の呼吸運動が滑らかに行えるよう補助しています。
【空気感染(飛沫核感染)】
【くうきかんせん
(ひまつかくかんせん)】
ウイルスや細菌を含む咳やくしゃみから水分が蒸発し、さらに小さな粒子になって飛散し、空気中に長時間浮遊している間に人に吸い込まれることで感染する様式です。飛沫核を含んだ空気の流れによっては感染は広範囲にわたって起こることもあります。
【頸部リンパ節結核】
【けいぶりんぱせつけっかく】
側頸部、鎖骨窩などのリンパ節に結核菌が入り込んで結核病巣ができると、外から手で触れてわかるこぶ(腫瘤)ができます。放置するとリンパ節が化膿して膿が皮膚を破って流れ出し、そのあとは引きつれを伴ったあとが残ります。
【結核性胸膜炎】
【けっかくせいきょうまくえん】
肺外結核で最も多いものです。肺の表面近くの炎症や肺門リンパ節の炎症が、胸膜まで達し、水(浸出液)が肺と胸壁の間のすきま(胸腔)に溜ります。
病気の初期には発熱と胸痛があることが多く、胸水が多量に溜ると息切れを伴います。
【結核性髄膜炎】
【けっかくせいずいまくえん】
結核菌が血液の流れにのって髄膜(脳を包んでいる膜)に達し、病巣を作り、けいれんや意識障害などさまざまな重大な障害をひき起こします。この病気はとくにBCG接種を受けていない0歳児に多く、ひとたび発病すると治療を行っても1/3は死亡、1/3は重症の後遺症を残すといわれています。最近は中年以降の成人にもみられます。
【結核予防会とストップ結核パートナーシップ日本】
【けっかくよぼうかいとすとっぷけっかくぱーとなーしっぷにほん】
政府の行う結核対策を民間の立場で支援するために、1939年結核予防会が設立されました。結核予防会は全都道府県に支部を持ち、結核や結核予防に関する普及啓発を行う傍ら、結核研究所を設置して結核対策の研究を進めました。
世界的に結核対策のさらなる強化と早期根絶への気運が高まるなかで、政府や医学界の関与を深めるために、結核予防会をはじめ官民の関連機関を糾合して「ストップ結核パートナーシップ日本」が2007年11月に設立されました。
【公的補助】
【こうてきほじょ】
結核治療には公費による補助が行われます。これは患者さんの経済的状況によって治療が継続できなくなるような事態を避け、同時に治療の質に行政が責任を持つためです。このため、主治医は患者さんの病状と、これから行おうとする治療方針をX線フィルム等とともに文書で保健所に提出して、診査で適当と判定されなければいけません。
【骨関節結核(脊椎カリエスなど)】
【こつかんせつけっかく
(せきついかりえすなど)】
骨や関節に結核菌がついて骨組織の中に結核性の病巣ができ、骨の破壊が起こります。脊椎カリエスの頻度が一番高く、骨が神経を圧迫して痛みが起こり、背中が変形します。そのほか、股関節、膝関節に高い割合で起こります。
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さ行
【サーベイランス(流行監視)】
【さーべいらんす
(りゅうこうかんし)】
サーベイランスは「流行監視」と訳されますが、感染症法では「発生動向調査」と呼んでいます。結核の場合には、発生の動きだけでなく、患者さんの臨床経過や関連する医療や対策の評価ができる点に他の一般の感染症サーベイランスにない特徴があります。
【再興感染症】
【さいこうかんせんしょう】
「既知の感染症で、すでに公衆衛生上の問題とならない程度までに患者が減少していた感染症のうち、この20年間に再び流行し始め、患者数が増加したもの」と定義されています[WHO(世界保健機関)]。この定義は1990年に発表されたもので、1970年以降に再び注目を集めた感染症をさし、結核も再興感染症に分類されます。
【再発】
【さいはつ】
いったん治った病気が再び発病すること。最初の治療がきちんと行われなかった場合、薬剤耐性があった場合にはとくに再発が多くなります。
【集団感染】
【しゅうだんかんせん】
1つの感染源が2家族以上にまたがって、20人以上に結核を感染させた場合を集団感染といいます。
【腎結核】
【じんけっかく】
腎臓に結核病巣ができると、尿の中に結核菌が混じって膀胱に到達するので、結核性の膀胱炎の症状が一緒に出ます。病気が進むと腎不全となります。
【潜在性結核感染症治療】
【せんざいせいけっかくかんせんしょうちりょう】
「化学予防」、「予防内服」とも呼ばれ、結核の感染を受けた人がその後発病する可能性を小さくするために行います。日本では現在、すべての年齢にわたり、最近結核の感染を受けたことが明らかな人の他に、
  1. 未治療の結核治癒巣のある人
  2. 発病関連疾患(糖尿病など)をもち結核の感染を受けていると考えられる人
  3. HIV感染を受けている、あるいは免疫抑制治療(副腎皮質ホルモン剤やTNFα阻害剤治療ほか)を受けていて結核感染を受けているおそれのある人
といったリスクの高い人に対しても適用されることになりました。 治療には抗結核薬イソニアジドを6〜9カ月投与します。発病予防効果は50〜80%とされ、感染直後の治療の場合には効果は生涯にわたるともいわれています。
【粟粒結核】
【ぞくりゅうけっかく】
リンパ節や肺の病巣から菌が静脈血中に流れ込むと、全身に結核菌がばらまかれます。肺の中には肺組織に引っかかった個々の菌が粟粒(あわつぶ)のような小さな病巣を無数に作ることからこのように呼ばれます。現在では、化学療法をタイミングよく行えば治るようになりました。
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た行
【多剤耐性結核】
【たざいたいせいけっかく】
耐性菌のうち、いまの結核の治療に最も大切なイソニアジドとリファンピシンの両薬剤に耐性を示す結核菌を多剤耐性結核菌と定義しています。
【超多剤耐性結核】
【ちょうたざいたいせいけっかく】
多剤耐性のうえにさらにカナマイシンのような注射薬(ストレプトマイシンを除く)とニューキノロン剤に同時に耐性になった菌による結核。治療は多剤耐性結核以上に難しくなります。
【WHO(World Health Organization:世界保健機関)】
【だぶりゅーえいちおー
(せかいほけんきかん)】
国連機関の1つで、世界の健康問題対策のために関係国間の調整、援助の実施、研究促進等を行っています。現在190を超える国や地域が加盟しています。本部はジュネーブ。
【ツベルクリン反応検査】
【つべるくりんはんのうけんさ】
結核感染の有無を診断する検査です。結核菌の成分(ツベルクリン、PPDとも呼ぶ)を皮内に注射して、48時間後に皮膚の発赤、硬結(しこり)を測定して、一定以上の大きさになると「陽性」と判定します。赤ちゃんにはとくに有用な検査です。(「インターフェロンγ遊離試験」参照)
【DOTS
(Directly Observed Treatment, Short-course:直接服薬確認治療)】
【どっつ(ちょくせつふくやくかくにんちりょう)】
WHOが打ち出した結核対策戦略で、結核患者さんを見つけて治すために利用されています。主な要素は、
  1. 政府が結核を重要課題と認識し適切なリーダーシップをとること
  2. 菌検査による診断、経過観察の推進
  3. 結核患者さんが薬を飲み忘れないよう医療従事者の前で内服すること
  4. 薬の安定供給
  5. 治療経過のモニタリングと評価
です。
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な行
【日本版DOTS】
【にほんばんどっつ】
患者さんが主治医から指示された治療を規則的に継続するために、入院・外来治療の全期間にわたって、主治医と保健所は連携して患者さんの受療を支援します。具体的には医療者の目の前で患者さんに服薬してもらったり、退院後も継続的に治療に来られるよう、対策を考えたりします。また、外来では保健所職員(主として保健師)が、患者さんや地域の状況に応じてさまざまな方法で服薬を確保します。これは法律でも成文化されています。
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は行
【肺結核】
【はいけっかく】
肺または気管支に起こる結核で、すべての結核症の8割を占めます。
【肺門リンパ節結核】
【はいもんりんぱせつけっかく】
気管が左右の肺に分かれている部分にはリンパ節(肺門リンパ節)が多く、肺で増殖した結核菌がリンパの流れに乗ってこのリンパ節(所属リンパ節)に到達し、炎症を起こします。子どもの結核には多い病型でした。
【BCG接種】
【びーしーじーせっしゅ】
BCGは結核菌の毒力を非常に弱めた菌を用いたワクチンです。結核菌の感染を受けていない人にBCGを接種して、ごく軽い結核性の変化を起こさせ、これによって免疫を作ります。接種をすると、しない場合に比べて結核の発病を1/5程度に抑えるとされており、効果は10〜15年間持続します。
接種の時期は予防接種法によって生後3カ月を過ぎてから生後6カ月に達する前と定められています。接種後10日くらいから皮膚に針痕に一致したポツポツが10〜18個でき、その後軽く化膿し、3〜6カ月には瘢痕になります。まれに脇の下のリンパ節が腫れたり、接種した場所が3カ月後も化膿がおさまらない、といった副反応が出ることもありますが、ほとんどは清潔にしておくだけで治ります。
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ら行
【罹患率】
【りかんりつ】
1年間に新たに病気を発病する人の数を人口十万対で示した数字。病気の流行の程度を示す基本的な指標。
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