こんにちは。ランニングサポーターの久保です。
今回は、フルマラソンを完走するためにどのような能力を高めていかなければならないかについてお話しします。
体をつくっていく上でまず知らなければならないことはトレーニングには段階があるということです。ピラミッドのように下地からしっかりと積み上げていくことが大切で、いきなり負荷の高い練習やなりふり構わず走るといった自己満足的なトレーニングをしてしまうと怪我の原因となり、目標とするレースで最大のパフォーマンスを発揮することが出来なくなってしまいます。ですから最初は基礎的なところから鍛えていきましょう。
そこでまず始めてほしいのが、体と精神の『基本的な持久力』の育成です。言い換えれば、体を長く動かし続けることができる能力のことです。42.195kmを走り切るには体力的なスタミナだけでなく、長い時間を走ることに耐えられるだけの精神的なスタミナも必要です。これからランニングを始める方はゆっくりでも構わないので、距離に重点を置くよりも、長い時間走ることを心がけましょう。例えば40分間、60分間と時間を決めて、体を動かし続けることを目標にします。そして徐々に時間を伸ばし、最大2時間くらいを走れるようになるとマラソン完走への道が大きく開かれますよ。
この長い時間をかけてゆっくり距離を走ることをLSD(ロング・スロー・ディスタンス)と呼びます。体の中にある毛細血管の発達を促し、運動中にたくさんの酸素を取り込めるような体をつくることを目指します。酸素を全身に運搬させる能力を向上させることで基礎的な持久力を養い、しっかりとしたベースをつくりましょう。走るのがまだキツい方には時間を決めてのウォーキングでも効果的です。
また、LSDは基本的なトレーニングではありますが、マラソン経験者、上級者にも効果が期待できます。
私が30kmを走ったときの経験でこんな気持ちでいることがありました。当時、私は長い距離の練習がとても苦手で、10kmを通過すると「まだ10kmしか走っていないのか、長いな・・・」、20km地点では「あと10kmもあるんだ、辛いな・・・」というマイナスな精神状態で走ることもありました。現役を引退した後、私は市民ランナーのクラブで4時間LSDという練習を経験しました。ペースは1kmあたり8分です。現役当時、1kmあたり5分が私の中でゆっくり走るジョギングペースだったため、8分のペースは歩くような感覚でした。前へ行こうとする体を必死に抑えて走ったことを覚えています。
4時間もの間、私は速く走れない苦痛と戦っていました。徐々に体全体が重くなり、精神的にも疲れ果てて最後は歯を食いしばって走るような状態です。まだか、まだ終らないのかと考えながら・・・。そんな練習を経て臨んだマラソン前の30km走。なんと私の中で驚くべき変化が起こっていました!スタートして10kmを通過すると「もう10kmも走ったのか、短いな・・・」、20km地点では「あと10kmしかないんだ、もうすぐ終了だ・・・」といったように、精神的な余裕を持てていたのです。このときLSDは体のスタミナだけでなく、心のスタミナも養えるんだと実感しました。
主なマラソン大会は11月〜翌年の4月あたりに集中しています。今の時期から『基礎的な持久力』を少しずつ養い、目標に向けて計画的なトレーニングをしていきましょう。