ランニングサポーター久保のランニングスクール

薄底シューズからも恩恵を受けられる?

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2021.10.18 掲載
久保健二さん

ランニングサポーター 久保健二さん

  • ランニングが大好きで毎日のように走る傍ら、クラブチームのコーチも務め、
    数多くの一般ランナーの指導をおこなっている
  • ラン歴21年
  • 実業団陸上部に11年間在籍

こんにちは、ランニングサポーターの久保です。

前回厚底シューズから受ける恩恵のことについてお話ししましたが、今回は薄底シューズから受けるかもしれない恩恵についてお話しします。

厚底シューズと薄底シューズを履き比べてみると、地面から受ける衝撃や負担が明らかに違うと感じています。一度厚底シューズに慣れてしまったランナーはもう薄底シューズを履くことができない…なんてことを思ってしまうかもしれませんね。

しかし少しでも速くなりたいと思っているランナーは時として薄底シューズを履いて練習してみてはいかがでしょうか?なぜならそこに速くなるヒントがあるからです。

LT(Lactate Threshold)値をご存知ですか?

スピードを速めて走っているとだんだん息がハーハーしだしてキツくなってくるポイントがあります。これをLT値、または乳酸性作業閾値といいます。このとき身体は主に速筋線維を使って糖を分解し大きな力を生み出します。この力こそがスピードの源です。激しい運動のときは糖を、軽い運動や長時間継続できる程度の運動時は脂肪を使い、それぞれの状況に応じて身体はエネルギーを作り出しています。速筋線維を多く使って走るランナーはより多くの糖を使って速く走ることができるのに対し、遅筋線維を多く使用し脂肪をエネルギー源として身体を動かしているランナーはゆっくり長く走ることができますがそこまでのスピードを出すことが困難です。そのため速く走るためにはいかに多くの糖を使うことができる身体にするかといったところも大事になってくるでしょう。糖が使われれば自ずと乳酸が作られるといったこともありますが、そのことについてはまた別の機会でお伝えすることにします。

以前、厚底シューズと薄底シューズを履き比べてランニングエコノミーの違いを比較する研究を行なったという記事を読んだことがあります。そこで分かったことは、薄底シューズの方が乳酸が作られる回路が活発だったということです。乳酸が活発に作られているということは、速筋線維を動員していますから糖も多く使われているということになります。逆に厚底シューズは速筋線維の動員を抑えながらも薄底シューズと同じスピードで走れるようです。このことから時として薄底シューズで練習すれば糖を使える身体になり、自ずとスピード強化に繋がるということ。そしてレースに出場するときは厚底シューズ履けばエネルギーを抑えて走ることができ、後半の失速を防げる可能性が上がるということ。しかし普段の練習から頻繁に厚底シューズを履いていては糖を使うことを抑えているわけですからスピード強化に繋がりにくいとも言えます。上手く使い分けるとより高いレベルへと身体を押し上げていける可能性があるので試す価値はあるかもしれません。

恩恵というニュアンスからすると少しイメージが違うかもしれませんが、楽をして恩恵を受けるというよりは自ら頑張って恩恵を受けにいくというのが薄底シューズなのかもしれませんね。

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